拝啓
鹿児島市内に高速船で鹿児島へ。
渡海の一番の目的は秘密。
ですが二番目以降の目的と収穫をいくつかご報告。
一つは魚カレーの研究。
屋久島史上初?のインド料理店が10月末にオープンすると聞いたのはひと月ほど前。
その名も「すばらしい」。
そこで六角堂Spicy book cafe Eat Herbも新たなメニューをご提供できたらいいんだけど、もじもじうじうじ……
しててもモヤモヤが募るばかりなので、インド料理店でヒントを得ようと。
そこで大いに刺激を受けたのが……
天文館グルメ通りにある馴染みの「スリランカかごしま」の『青魚のカレー』。
今まで10回以上足を運んでおりましたが、今回初めて魚のカレーがあることに気付きました。
「青魚」は日によって変わるそうで、この日はカツオ。
タマリンドの酸味+青唐辛子のシャープな辛み+ココナッツミルクの甘味+千切り生姜の刺激が絶妙なバランスで混在。
魚は骨付きぶつ切りなので少しく食べづらさはありましたが、
味も風味も大当たりでした。
前夜には、ランプライスやタンドリーチキンも美味しくいただいたのですが、
『青魚のカレー』は病みつきになりそうです。
スリランカ かごしま - 本場スリランカ家庭料理 (gorp.jp)
そしてその夜、
初めて訪れたのは鹿児島中央駅から徒歩25分ほどにあるネパール料理店「ラリグラス」さん。
聞けば5年ほど前に開店されていたとのこと。
店名の入った「ラリグラス タリーセット」を注文。
二種類選べるカレーは「フィッシュピアザ」と「ランプ(羊肉)カレー」に。
魚はマグロを使用。
「ピアザ」は玉ねぎのことで、しっかり炒めた玉ねぎの甘味が濃厚。
魚の骨はなく食べやすい切り身。
「激辛」を頼みましたが、さほど辛みは強くなし。
スリランカかごしまとは対照的なフィッシュカレー。
良い勉強になりました。
本場インド料理 ラリグラス - Indian Restaurant in Arata (business.site)
屋久島に帰る直前に頂いたのは、
鹿児島中央郵便局向かいにある「サフラン」さんの『エビカレー ジャンボ サラダ付き』970円。
いわゆる洋風ジャパニーズカレーのお店で「魚カレー」がないことは承知の上。
ですが、重い病気や様々な苦難を乗り越えながら、
笑顔を絶やさず営業され続けているご夫婦から、元気を頂きたく参上。
※何年も前から駅前の路上に設置されている看板なので、創業40年以上です。
会社員風の方、地元の老夫婦、観光客風の若い仲間連れが次々訪れては満足そうに去っていく大衆カレー店。
たくさんの人からサフランは応援されています。
サフランはJR中央駅前の老舗のカレー屋です。 (kagoshima-machiaruki.com)
大いに学び直しました。
さて、
渡海のもう一つの目的は映画鑑賞。
カレー探求する合間、訪れたのが三軒の映画館。
その一本目は、
屋久島ほんの気持ちばかり第18回 2023年秋の明冥文庫より ① 福田村事件とマコモ - 屋久島六角堂便り~手紙 でご紹介した『福田村事件』。
上映終了になる前に観ておきたかった。
おおむね予想通りの内容。
資料的な価値がありそうに思えてパンフレットを購入。
観客の入りもそこそこですが、ご高齢の方が8割ほど。
ガーデンズシネマの方によれば好評で、今週に入ってようやく落ち着いてきたところだとのこと。
二本目は、
真木よう子が主演で、舞台が銭湯だということ以外分からぬままに鑑賞。
真木よう子演ずる主人公は銭湯の跡取り娘。
その夫はある日当然失踪。
それを探し出す探偵にリリー・フランキー。
作品の底流(アンダーカレント)にあるのは「嘘」。
隠ぺいされた、装われた噓を抱える人間の内面を描き出す、映画らしい映画だった。
やっぱり映画は役者の芝居の質で決まる。
お薦めの一本です。
真木よう子と最初にスクリーンで出会ったのは2005年。
井筒和幸監督の『パッチギ』。
朝鮮学校の生徒として登場。
パッチギ! : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
2004年の夏、息子(長男)がその他大勢のエキストラで撮影に参加し、出来上がった映画に一瞬映っているというので観に行った作品。
その時は、真木よう子をただ気の強そうな女の子ぐらいにしか感じませんでした。
しかし、
2006年に主演した、堀江慶監督の『ベロニカは死ぬことにした』を鑑賞。
閉ざされたサナトリウムで自殺願望を持つ女を見てから、気になり続けた女優さん。
ベロニカは死ぬことにした : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
三本目は、
映画館に行ってからポスターで上映されていることを知った、
ネットで検索すると、
10月13日公開、映画「月」オフィシャルサイト (tsuki-cinema.com)
素材は、記憶に新しい相模原の障碍者施設で起こった元職員による大量殺人事件。
それを元に辺見庸が描いた小説が「月」。
それを石井裕也監督が映画化。
宮沢りえ演ずる主人公は書けなくなった小説家。
そして主人公と生年月日が同じ植物状態に近い施設入所者の女性。
ラストで次々と殺人を犯す元施設職員の若い男性。
その四人を合わせ鏡のように絡ませた緻密な作品構成。
深く重いテーマを観念的にならぬよう、しっかりとした人物像を通して描いた佳作。
社会の課題に対する「正義」の手前勝手さ、
加害(傍観)の側に立つものの当事者意識の低さは、
「福田村事件」とも共通するテーマでもあります。
ただ、それ以上に罪を犯すものの内面と、
罪を起こさせてしまうものの内面が深くえぐられ、
鮮烈な映像で描かれた映画らしい映画。
こちらもパンフレットを買い、帰りの高速船の船中でシミジミ読みました。
宮沢りえと言えば、
一番心に残っているのは2016年公開、
中野量太監督の『湯を沸かすほどの熱い愛』。
映画『湯を沸かすほどの熱い愛』ネタバレあらすじ結末と感想|映画ウォッチ (eiga-watch.com)
封切すぐに京都シネマで二回観ました。
その結末の衝撃がいまだに忘れられません。
思い返すたび、切なさが身に染みます。
さて、どうした訳か。
『湯を沸かすほどの熱い愛』の舞台は銭湯。
その女主人が宮沢りえ。
失踪中の夫はオダギリジョー。
『アンダーカレント』の舞台は銭湯。
その女主人が真木よう子。
主人公の夫は失踪中。
「湯を沸かすほどの熱い愛」×「アンダーカレント」≒「月」?
底に流れるのは人が語ることができないまま抱える「嘘」?
偶然とはいえ、この絶妙なコンビネーション。
それを10月19日に観られたのは何かの因縁かと。
その他二本。
『君たちはどう生きるか』と『こん、こん』。
『君たちはどう生きるか』は、
封切直後に一度観たのですが、見た直後から記憶が曖昧に。
人に話をすることもままならないことにモヤモヤしていたので再度鑑賞。
エンドロールの最後、「監督 宮崎駿」の文字がスクリーンの真ん中で十数秒止まったまま消えていったのが、この作品を象徴するかのようでした。
そこに監督の「失うことの必然」と「消え去ることへの抗い」を実感。
忘れ去られてしまうものだったから、私が中身を覚えていられなかったのも当然。
と妙に納得。
『こん、こん』は、
映画紹介にあった「カメラが好き。カレーが好き。」のキャッチコピーに釣られて鑑賞。
すれ違ったまま失ったら、二度と取り戻せないものがある。
切ないラブストーリー。
普通なんてものはない。
誰もがオリジナル。
ただ、その中には普遍的な人間の性(さが)がある。
それを再認識させてもらえました。
「サフラン」でカレーを頂いた後、
その並びにある「たばこ用品専門店 エフアンドエム」でシガリロを購入。
本当は「マリポーサ」が欲しかったのですが、取り扱っていないとのこと。
そこで女将さんお薦めの四種を頂くことに。
天文館行きの市電に駆け乗り、
いずろの交差点で下車。
宝くじ「ハロウィンジャンボ+ミニ」を購入。
そこから汗だくになりながら速足で港まで。
出航10分前に到着。
港に浮かぶ「十島丸」。
死ぬまでに行ってみたいなトカラ列島。
高速船トッピー2時間乗船の後、宮之浦港着。
帰路の県道際には、新インド料理店「すばらしい」の看板が完成。
立ち寄った先で、メニューのチラシを入手。
オープンが待ち遠しい。
そして、宝くじの順番が回ってくるのはさらに待ち遠しい。
ガーデンズシネマの上映開始前にスクリーンで流された「ミニシアター・エイド基金」の映像。
それを眺めつつ思うことは一つ。
屋久島にも映画の上映と芝居とライブもできる小屋を作りたい。
できれば天然温泉の銭湯とリラクゼーションショップと薫り高いSpicyな食事を頂ける飲食店も併設。
候補地は麦生のボタニカルガーデン。
もしくは島内のとあるパチンコ店。
このブログにも以前、その妄想をご紹介。
※すみません。なんの許可もなく勝手に妄想しているだけです。
「星に願いを」ならぬ「三日月に願いを」。
願いを共有して下さるみなさま、
ハロウィンジャンボ&ミニの一等連番が、
屋久島に巡ってくることを祈って頂ければ幸いです。
なにせ、来たる10月29日の屋久島町長選挙の公約で、
ミニシアター建設を公約にして下さる候補者が見当たらないのです。
今からでも島の映像・音楽・温泉・飲食文化向上のための「大衆娯楽的施設建設」を掲げて下さる方に一票を投じます。
などと、なんだかな~~~な終わり方に。
敬具
追伸
この記事を書いた翌朝、寝ぼけ眼でスマホの着信確認すると、