拝啓
前回のブログ記事「屋久島丼紀行第70回 & 屋久島うどんドン第5回 「エアポートやくしま」にて島の名物考 」でもご紹介しましたが、
2023年12月1日から屋久島の8店舗で「屋久島ごっそう」という食企画がスタート。
その概要は次のWEBサイトに。
「屋久島ごっそう」の条件は次の4点。
さてさてどんなもんじゃろうと伺ったお店をご案内。
最初に頂いたのは長峰のカレー茶房「ハイビスカス」さんの、「屋久島ごっそうあいがけカレー」1,800円。
トビウオのつけ揚げが入ったサバ節カレーと屋久島縄文牛のひき肉キーマカレー。
屋久島産ウコン(ターメリック)を使ったターメリックライスに島特産の柑橘。
サバ節カレーは島のキッチンカー「Trip Curry」とのコラボカレー。
𝗧𝗥𝗜𝗣 𝗖𝗨𝗥𝗥𝗬 ❤︎ トリップカリー 屋久島(@trip_curry.yakushima) • Instagram写真と動画
一方、
こちらは島の住人に人気の「えびフライカレー」。1,200円。
ごっそうあいがけカレーはコラボ代と縄文牛代がかかるので、定番カレーより高くなっても仕方ないのかも。
次に頂いたのは、
安房の「かたぎりさん」の「二段重」。2,500円。
屋久島 定食・ぱすた かたぎりさん(@yakushimakatagiri3) • Instagram
地魚の漬けと縄文牛のすき焼き風がそれぞれご飯の上にのったお重。
それに掛けて頂く「屋久トロ」と「青切り塩タンカン」に島の豆腐。
華やかな見た目とかたぎりさんお得意の地魚漬けは島外のお客様に喜ばれるかと。
ただ、汁物が付いていないのは“画竜点晴を欠く”と言ったところかも。
一方、
こちらは先日頂いたかたぎりさんの「日替わり地魚漬け丼」。1,100円。
メニューボードには「本日のおさかな マハタ」と表示されておりましたが、
スタッフさんの説明では切り身の厚いマハタと定番のカンパチの二種盛りだとのこと。
ニ匹の魚の触感の違いを楽しみつつ頂く漬け丼はいつも以上に美味でした。
日替わり漬け丼の2倍以上するごっそう二段重を注文するのは、今まで以上の贅沢を楽しみたい方に限られるかも。
そして三番目に頂いたのは、
麦生のおうちごはん「オアシス」さんの「屋久島ごっそう定食」。
1,500円。
おうちごはん オアシス(@ouchigohan_oashisu) • Instagram
定番メニューの「トビウオのつけ揚げ定食」1,200円に縄文牛のつくねの照り焼きがプラスされた豪華版。
この写真には写っていませんが、その日折々のスイーツが付いてます。
その一方、
島民に人気の「週替わり定食」がこちら。
先週は焼売がメインでデザートにはチジミとゴマ団子。
これで1,000円ぽっきり。
12時前から連日お客様が詰めかけるのも道理。
翌週の週替わりメニューが楽しみです。
四番目に訪れた宮之浦の「樹(いつき)」さんは、残念ながら「ごっそう」は予約制で頂けませんでした。
それでくじけた上、財布も軽くなりすぎてごっそう実食体験ツアーはこれにて終了に。
それぞれのお店が大変なご苦労を重ねつつ、
創意工夫、試行錯誤を繰り返して新たな屋久島の味を探求して下さっていることに敬服。
ただお昼代が1500円を超えるのはちょっと……
などと渋るの半年金暮らしのジジイだからか。
そもそもこの“ごっそう”は、円安の恩恵を受けた外国人、株高や不動産で大儲けして値段など気にせず贅沢品を求めるセレブ観光客にご満足いただくためのおもてなしメニューなのかも。
そうはいっても、島の庶民に愛されないものは、いずれ廃れてしまうのではないかという危惧も。
そこでう~~~んと考え込んでしまったのは「縄文牛」の扱い。
実際どここのお店もこれに苦戦されていたご様子。
そもそも「縄文牛」とは……
屋久島の副産物を飼料にオリジナル配合し、6か月のあいだ、経産牛に与えました。
捨てられていた資源を再び食の循環に取り組むことを通じて、
無駄・無理のないナチュラルな地域資源のサイクルの実現を目指しています。
屋久島で肉と言えば鶏のから揚げかトンカツ。
牛肉を素材に使ったメニューを出しているのは、売値が高くても受け入れられる焼肉屋さんやホテルのディナーメニュー以外にはめったに見ません。
敢えてその牛、縄文牛をこの“屋久島ごっそう”の条件に入れたのは、新たな食材の普及と消費、新メニューの開拓を狙ったからだと。
それがうまく当たることを願って止みませんが……
縄文牛料理を頂きながら思い浮かんだのが、開幕まで500日を切りながら前途多難な「2025 大阪万博」。
大幅な追加費用もさることながら、
大阪・関西万博、インフラ整備費9.7兆円 政府が全体像示す (msn.com)
目玉となるパビリオンの建設が一向に進まないという大問題が発生。
ミャクミャク困惑?大阪万博 2025 海外パビリオン なぜ進まない? | NHK | 大阪・関西万博
そもそもこの万博、大阪維新の会創設者で元大阪府知事で元大阪市長の橋下徹氏、維新の会の松井氏、吉村氏が当時の安倍晋三首相、菅義偉官房長官を酒宴に招き、実現への一歩を進めた企画。
2025年大阪・関西万博に橋下徹氏「松井さんが安倍さんにお酒を注ぎ倒して実現した」 : スポーツ報知 (hochi.news)
そうまでして万博誘致を推し進めた理由は、カジノを含むIR=統合型リゾート施設の建設を国の予算で補おうという目論見だったいうことは、もはや日本の常識になりつつあるようで。
IRって何? 政府が大阪の整備計画初認定|サクサク経済Q&A|NHK
カジノありきだった大阪万博 “カジノ用地不当鑑定疑惑”をめぐり「公文書隠蔽」も発覚!|LITERA/リテラ (lite-ra.com)
カジノで大儲けようとしているのは国内外の賭博中毒のお客様ではなく、大阪府と大阪市、それを支える政治家なのかも。
そんな思惑からスタートした万博が、「いのち輝く未来社会のデザイン」などと旗を振っても多くの支持を得られるかは疑問。
カジノはカジノ、万博は万博。
それぞれ目的の違うものを合わせ技で一石二鳥にしようとしたのが間違いのもとかと。
屋久島の“ごっそう”とは話がずれてねじ曲がってしまったようですが、
本来肉質が固めで脂身の少ない経産牛、縄文牛は縄文牛なりに美味しく活かせる手立てを探るのが本道なのでは。
経産牛が大ブーム中!肉質が柔らかく旨味が濃い「経産牛」の秘密に迫る (liter6.com)
お年寄りも安心して楽しめるじっくり煮込んだ“縄文ビーフシチュー”
低脂肪の牛肉ガッツリ食いたい肉食人が満足する“1ポンド縄文ロースステーキ”
季節折々の地元野菜を煮込んだミネストローネと組み合わせた“縄文ローストビーフ”
そんな牛肉料理の王道単品メニューが縄文牛にはふさわしいのではないかとも。
子牛を産む役割を終えた母牛のもう一つの役割、「いのち輝く老後のデザイン」を描くことができれば島の幸いです。
経産牛|安福久の優良血統で再飼育の黒毛和牛を扱っています。 (kawaai.net)より
敬具