拝啓
4月のある日、
島最北のうどんを求めて一湊の「なちゃん食堂」へ向かうと……
なんどモジャコ漁期間中にて休店!
ま、これもいかにも屋久島らしくて良い体験、
と、漁が終わるのを見計らって出直すことに。
島の漁業は大きく二つに分かれていて、
北はサバ、南はトビウオが中心。
そんな中で、春のモジャコ漁は別格の営み。
「もじゃこ」とはブリの幼魚で、流れ藻に潜むブリの赤ちゃんを藻ごと掬う漁。
鹿児島県の養殖ブリの生産量は全国の25.6%(2019年、26654トン)で、
その天然種苗となるのがモジャコ。
定められた春の半月ほどの期間の漁で一年の暮らしが立つという話もあるほどの貴重な漁。
と言われてもピンとこない方は種子島での素人体験記をご参照ください。
モジャコ漁に乗り子として参加!まじできつくて本当につらい | よかろー種子島 (yokaro.net)
You Tubeの動画もありますが、
『一攫千金!!』1Kg○○万円!? 超ハード!!種子島の漁師のモジャコ漁! <前編> - YouTube
「屋久島 モジャコ漁」の検索でヒットとした屋久島のモジャコは1件のみ。
それもモジャコ料理の動画で視聴回数84回と寂しい限り。
はじまりました!!【屋久島 もじゃこ漁】ハーブ香る南蛮漬けに料理します。 - YouTube
屋久島の「広報力」が問われているのではと懸念しつつ、一週間後にリトライ。
お店の前を車で通り、開店していることを確認して漁協近くの空き地に車を止めて戻ってみると……
閉まってる!
しかし店の中に人影が。
そこで、意を決して声をかけてみると、
「ごはんがなくなってしまったので閉めました」とのお答え。
「うどん食べに来たんですけど」と訴えると、
「うどんならできますよ、どうぞ」との温かいおもてなし。
何故だか今日はお客が続いて、さっきも外国人の三人連れがやってきたもののお断りしたとのお話。
うどん狙いでラッキーでした。
6年前に頂いたうどんは「噂のカレーうどん」だったので、
屋久島カレー事情 第54回 しぶとさの秘訣は迷わぬ自然体 - 屋久島六角堂便り~手紙 (hatenablog.com)
今回は「天ぷらうどん」を頂くことに。
思いっきりレトロなテレビを見ながら待つことしばし。
こんな昭和な雰囲気が外国人観光客や若い街の子達の心を鷲掴みにするんだろうなと。
そして登場した天ぷらうどん。
ムッチリした海老天。
最後の一滴までおいしくいただきました。
このなっちゃん食堂、開店〇周年記念のグッズを見ればその創業時期がうかがい知れます。
「なっちゃん食堂10周年記念乗船券」の日付が平成11(1999)年5月なので、それから計算すると創業24年に。
しかし、
その乗船券のイラストは「フェリー屋久島2」ではなく「フェリー屋久島」。
「フェリー屋久島」の後を継いだ「フェリー屋久島2」の就航は今から30年前の1993年。
おまけに、店に壁に掛けられたTシャツには「おかげさまで30周年」の文字が。
謎を孕んだお店。
このTシャツが作られたのがいつなのか、聞きそびれてしまったのが心残り。
高齢者率高まる集落の人々と世界中からやってくる観光のお客様のためにも、
丼の底の龍のように末永く元気であってほしいものです。
さて、そんな一湊には毎週日曜、
漁が可能だった週にだけ一湊公民館で営業する「一湊食堂」が。
一湊食堂さんのFacebookで「本日はうどんセットのみで営業します!」とあったので、急遽うどんを頂きにまいりました。
ところが……
公民館の大広間には、ポツンと海鮮丼の案内が。
聞けば、首折れサバが思った以上に獲れたからだとのこと。
うどんか海鮮か選択に迷いつつ、
いつもの決断方式。
海鮮丼セットとうどんセットの両方を頂くことに。
思えば、以前のブログで一湊食堂をご案内した時にも同じようなことが。
屋久島丼紀行第62回&屋久島トッピーサバダバ 第16回 島の海が丼に 一湊 一湊食堂 - 屋久島六角堂便り~手紙 (hatenablog.com)
思いっきり賑やかな大漁旗の真ん中に据えられたテレビでは、
一湊集落の祭りの様子がリピート放映。
それを眺めて待つことしばし。
まずやってきたのは海鮮丼セット。
今回の海鮮丼はムロアジとサバなので若干彩りに欠けますが、
おいしさはひときわ。
※こちらが以前頂いた海鮮丼
そして今回のメイン「うどんセット」の登場。
サバ節とトビウオのつけ揚げが載ったウドンの出汁はサバ節主体。
トビウオの漬け丼は私の好物。
添えられたアラ煮は4種類ほどの魚のごった煮。
小骨が多くて食べにくいですが、楽しい味わい。
このセット二食併せて2,000円。
島一番のお値打ちセットと断言できます。
公民館に掲げられた「一湊音頭」の歌詞には集落の人情が偲ばれます。
そして一湊食堂のFacebookの過去記事に綴られた次の文章。
一湊では、はめつけ隊や消防団、一湊を語る会などたくさんの地域団体が日々汗を流して地域活動を行っています。
それでも人口減少は止まりませんしお金が落ちる訳でもありません。
すこしでもみんなの活力になるために、一湊に違う風を吹かしたい。
そんな思いで運営してます。
現在一湊食堂は地元の有志が4人で運営しています。
島で一番ふくよかな一湊の町恵比寿様が温かく見守る一湊のお店、
そして集落の繁盛を願って止みません。
次回「屋久島うどんドン」は島の南の個性的なウドン二品をご案内予定です。
敬具