拝啓
今更感満載ではありますが、屋久島の未来を考える手がかりを残すためでもあると思い、天草・長崎の旅のまとめの締め括りを二回に分けて書き留めます。
2月7日。
朝食をホテルのバイキングで満喫。
その脇にある「ペット同伴コテージ&ドッグラン」を視察しようかとも思いましたが、
この日の予定に急かされ、
向かったのは「伊王島地域センター」。
ここで改めて炭鉱の歴史に触れ、
長崎市内に渡った後、昨日双眼鏡で確認した通称「軍艦島」に渡ることを決意。
伊王島港から双胴船のフェリーに乗り、
あの映画『家族』で映された「岬のマリア」のお姿も拝むことも叶いました。
長崎港内に入っていくと三菱の造船所には最新のフリゲート艦や護衛艦がずらり。
長崎(や広島)が原爆投下の目標地点に選ばれた理由をしっかり実感。
フェリーの接岸少し前、窓の水洗機に新鮮な驚き。
上陸後、まず向かったのは中華街。
一昨日までのランタンフェスティバルの名残を楽しめました。
ここでいくつもの六角形と思わぬ遭遇。
六角形の構造物は金炉。
金紙と呼ばれる紙銭を燃やす炉。
「中国では、神様へお願いする時もしくは願いが叶ってお礼をする時、まずお線香を焚き、最後に金紙を火にくべてお参りの儀式を終えます。
金炉で燃やすことで、お金が神様や霊の手に渡るとされています。」
(崇福寺 | 長崎出島の観光ガイドより)
金炉がなぜ六角形なのかは存じませんが、
縁起が良いことに変わりなし。
空腹を満たすために寄った中華料理屋さんは大当たり。
ご馳走様の感謝。
そしていよいよBRACK DIAMOND(石炭)号で軍艦島ツアーへ。
船上から再び軍艦(自衛艦)とマリア様を横目に見つつ、
船はまず高島に寄港し、
模型を囲んでガイダンス。
青い屋根は島の映画館。
港の脇には明治の政商として暗躍し、
※ 岩崎彌太郎は1881(明治14)年、借金漬けの後藤象二郎から高島炭鉱を買い取り長崎造船所も入手。
そしていよいよ軍艦島へ。
上陸後、
ガイドさんの熱のこもった説明を拝聴。
ただ、いわゆる「徴用工問題」についてだけはぼかした表現をとっていらっしゃいました。
ここで誤解がないように補足すれば、
2015年の第39回世界遺産委員会でUNESCOの世界遺産リストに登録された「明治日本の産業革命遺産構成遺産」の一つであり、
山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島・岩手・静岡の8県に点在。
それを観光資源として活用しようとする動きは九州にも。
登録された全5エリアを一気に巡る!世界遺産制覇を目指す弾丸2泊3日コース | モデルコース | 九州の世界遺産
天草を訪れた際立ち寄った熊本県宇城市の「三角西港」も「三池エリア」の一つでした。
そこで翌日、長崎エリアの世界遺産の一部であるグラバー邸へと。
【長崎からの学び 1】
◎ ペット同伴
六角堂にもしばしば「ペット同伴で泊まれますか?」とのお問い合わせがあります。
ネットで「屋久島 ペット同伴」と検索すると……
「じゃらん」では屋久島の宿ではなく鹿児島本土周辺や奄美の宿が。
鹿児島県のペットと泊まれる宿・ホテル - 宿泊予約【じゃらんnet】
ペット愛好家さん用のサイト「ペット想い.com」では、
ペンションアクティブさんと民宿湖畔さんの二軒を紹介。
鹿児島県屋久島町の愛犬と一緒に泊まれる宿|ペット想い.com
ヴィラウルーさんのサイトには、
島内の同伴可能なお宿紹介や島の観光での同伴に関する注意が丁寧に。
屋久島にペット同伴で旅行する方法|ペットと泊まれる宿・注意点も解説 | 丘の上の小さな宿 ヴィラ ウルー
六角堂の案内には「コテージタイプの宿なので、ペットが一緒でも気兼ねなく滞在を楽しめます。」とありますが、
実はそうではありません。
六角堂でご用意するゲージ内でお過ごしいただき室内での移動は禁止など、
「同伴六か条」を了解される場合のみの、極めて限定的なご利用です。
そのため、お問い合わせがあっても条件が合わず、
ご予約されないお客さまも多数いらっしゃいます。
なんにせよ、
屋久島にはペット同伴で過ごせるお宿は極めて少ないのが事実。
せっかくを野生の屋久鹿肉をペットフードのジャーキーに加工している会社もあるのですから、
犬猫鳥爬虫類愛好家の方が安心して島の観光を楽しめる対策を、
島全体で考える時が来ているのではないかと。
◎ 馬毛島軍事基地
軍事基地が真っ先の、あるいは最終的な攻撃的目標となることは広島・長崎の原爆投下で明らかに。
ロシアのウクライナ侵攻でも同様。
米軍と自衛隊が「アジア太平洋地域における米空母の活動を確保し、日米同盟の抑止力・対処力を維持・強化」のために共同で使う基地の建設に対して、
様々な世論を突っ切る形で建設工事が開始。
それが屋久島のみならず、日本やアジアにどのような影響を及ぼすのか。
私はいかなる軍事施設の拡張新設にも反対です。
日米安保条約をはじめとする軍事同盟に頼らぬ安全保障の道を、いかなる苦難や犠牲を払っても進むべきだと思っております。
3月18日付のの南日本新聞では、いよいよ港湾工事が着手され、
「とこぶし」の好漁場がなくなることが報じられています。
基地建設反対を「観光に差しさわりが出るのではないか?」「静かな住環境が破壊されるのはごめんだ」という視点だけで語っていてよいのか。
馬毛島がいつの日か、かつてのイギリスの人形アニメ「サンダーバード」のような国際救助隊の基地になればと妄想する次第。
◎ 船のツアー
天草から長崎に渡った19tの高速フェリー。
同じく19tの軍艦島クルーズ船。
そして伊王島と長崎を結ぶ124tの鷹栖と180tの俊寛の双胴船。
それに対して旅客を載せて屋久島に寄港するのは、
鹿児島種子島指宿戸を結ぶ種屋久高速船のジェットフォイル「トッピー&ロケット」。
そして屋久島町内の一部である口永良部島や、お隣の種子島とを結ぶ町営船「フェリー太陽Ⅱ」。
いずれも貴重な足でありながら、フェリー太陽Ⅱはしょっちゅう欠航。
屋久島町営「フェリー太陽Ⅱ」就航 鹿児島:朝日新聞デジタル (asahi.com)
ただ、案外知られていないのが家畜の輸送。
家畜のことはさておいて、
「本土」が起点になるのではなく、
屋久島を起点として種子島、トカラ、三島をも絡めてローカルな物流や観光を。
そして、海から眺める屋久島ツアーをも。
それについてはかつて、
このブログの『お水の島プロジェクト』シリーズでも取り上げましたが、
改めてその意義を提起したいと存じます。
◎ 「岩崎」つながり
世界的大企業かつ大軍需産業の「三菱」は暗い話題で持ちきり。
国産ジェット旅客機「スペースジェット」のとん挫。
夢、ついえる...三菱重工、「国産ジェット旅客機」開発が頓挫 技術力への過信、対応の遅さ、社内体制の不備...約500億円投じた経産省の責任も
国産ロケットH3の打ち上げ失敗。
三菱重工、国産プロジェクト相次ぐ失敗 人工衛星の商機生かせず
このあおりで、
屋久島空港2000mへの延長と合わせて期待されていたジェット便の就航も遠のいたのではないかと。
それとは全く関係がないのですが、
ずっと気になっていたのが屋久島の「岩崎=いわさきグループ」の来歴。
いわさきグループについて - いわさきグループ | 新卒採用ウェブサイトには、
創業は大正11年(1922年)にさかのぼり、枕木を主とする木材事業から始まりました。日本屈指の木材業者と呼ばれるまで成長した岩崎産業は、より持続的に鹿児島の経済を潤す事業として、まだ観光という概念すら確立していない時代に、いち早く観光業に着目したのです。
と会社案内。
さらに……
観光業界のパイオニアとして絶えず時代を先取りし、鹿児島の魅力を国内外へ、地方(ローカル)から世界(インターナショナル)へ発信しているいわさきグループ。『インターローカル企業』として鹿児島の自助自立を目指す当グループにおいては、社員1人1人の独自の発想や輝く個性こそが大きな力となります。
私たちは、そんな先取の気風と個性溢れる『変わったやつ』を求めています。
とのこと。
ならば、屋久島の産業・観光業の発展に、もっと粉骨砕身していただきたいものだとも。
ところで、その創業者は岩崎彌太郎とは縁もゆかりもない岩崎與八郎氏。
いわさきグループ | 新卒採用ウェブサイト - 創業者・岩崎與八郎アーカイブスによれば、
関東大震災をきっかけに、鉄道省より枕木納入業者の許可がおり、その後自他共に認める日本一の枕木納入業者になったのが創業の基礎だとか。
さらに「岩崎與八郎 - Wikipedia」によれば、
世界恐慌により打撃を受ける業者が多い中で、不景気で買う人がいなかった奄美大島の山林を買ってくれるよう依頼があり、これを購入してそこから産出する木材をやはり枕木へ加工して販売を行うようになったとのこと。
第二次世界大戦に際しては、枕木1本を1円で購入し、40-50銭程度で輸送して、販売価格は12円であったため、5万本の枕木を積んだ1隻の船で50万円儲かるという荒稼ぎぶりで、本人もこんなに儲けてよいのかと不安になったという。
はたまた朝鮮戦争が発生すると、朝鮮半島での鉄道復旧に資材が必要となり、枕木の大量発注を受けて大きな利益を上げることができた。
震災や度重なる戦争で莫大な利益を上げて成長してきた会社のドンは、
一方で、稼いだ金で社会貢献も積極的に行い、鹿児島県立岩川高等学校や鹿児島大学医学部、工学部の前身を援助。
また、財団法人岩崎美術館を設立。
1993年に91歳で老衰した彼が、今の屋久島を見て何を思うのか。
聞いてみたいものです。
ところで岩崎グループのバスのマーク。
三菱とベンツを組み合わせたものなのか?
いずれの観光・物流・安全保障の問題をも、
時期町長選挙に立たれる方には、考えをしっかり示していただきたいものです。
つづく