屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

モーニングの作り手は魔女か女神か 新店探訪 ➂ (グッドモーニング 第9回)

拝啓

1月14日、看板立ち並ぶ集落の県道際、ふと目に入った見慣れぬ看板。

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気になって車を止めて確認すると「喫茶・朝食 ノルン」とな。

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早速看板の地図を頼りに辿ってみれば

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ラーメン屋久島オリオンさんの裏手、元屋久島パインの事務所の奥に確かにありました。

「norn」の看板がかかったお宅が。

しかし営業されていない様子。

まだオープンされていないのかと思い、その足で木村珈琲さんに行き、昼食を頂きつつ伺えば「去年から営業されているようですけど、朝9時には閉まるようですよ」とのこと。

知らなんだ。

そこで日を改めて朝8時過ぎに伺えば、おおOpen。

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店内は明るく清潔で、昔何処かで観たような趣き。

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他のお客様はいらっしゃいませんでしたが、全体を眺められる隅っこが好きなので窓辺のカウンター席に座り、メニューを一覧。

「ママのきまぐれ朝ごはんワンプレーとモーニング700円」

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正式な店名はなぜか三文字目だけが大文字の「noRn」。

 

「ノルンってなんやったっけ」とスマホに「norn 意味」を入力すると……

アイスランド語 『魔女』」

魔女を逆引きすれば

英語 wizard
ドイツ語 Zauberer
フランス語 sorcier
イタリア語 strega
スペイン語 bruja
ポルトガル語 bruxz
アイスランド語 norn
オランダ語 heks
ラテン語 magus
古代ギリシア語 magikos

そこでオーナーさんに

「魔女が手料理を出す隠れ家みたいなお店ってことなのでしょうか」と尋ねれば、

「娘が付けてくれた名前で、女神と言う意味だと聞いておりましたが、魔女などとは知りません」とのお答え。

 

東京にお住まいだったオーナーさんは6年前、保育園の調理師生活を切り上げ、娘さんと二人で移住されたとのこと。

ところが娘さんは島で結婚・転居、一人になったのでお店を始めたそうな……

12月3日にオープンし、ひっそりやろうと何の宣伝もしていないせいかお客様がなかなか来られず、ご友人が県道際に看板を立てて下さったとのこと。

などとお話を伺っているまに「モーニングプレート」の登場。

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14種類のおかずに3種類の自家製パン、具だくさんの味噌汁とナッツ入りヨーグルトに珈琲付き

見えないですが目玉焼きの下にはハンバーグが隠れております。

お好みでどうぞと蜂蜜ボトルも。

「料理は好きなのですが、盛り付けに自信が無くって」っとおっしゃいますが、

ほんまに700円でよろしいのでしょうか?

いつもと違い、一口一口咀嚼して味わいながら、有難く頂きました。

 

しばらくしてご来店されたお馴染みさんのご夫婦が、オーナーさんとのんびりおしゃべり。

奥の部屋から忠犬「ハチ」がこちらを覗き、棚の上では猫が寄り添う店の景色は、何やらどこかのドラマで見た絵のよう。

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ご馳走様、また参りますと店を出た後も、気掛かりなのは娘さんが名付けた店名。

娘さんが何を願ってお店の名前をノルンとされ、しかも「noRn」とRだけを大文字にされたのかは、伺ってみなければ分かりません。
よもや、すべて小文字にすると「norn=n o r n」と「nom=n o m」の見分けがつかないからなんてことはないわなあ。

聞けば娘さんの夫は島のライアー奏者

スピリチュアルな世界がその名の奥に眠っているのかと。

 

それで六角堂に戻ってWikipediaやらなんやらでざっくりノルンを調べれば

➀ノルン(古ノルド語)は北欧神話に登場する運命の女神で、複数形がノルニル。

➁  通常は巨人族の3姉妹である長女ウルズ(過去を司る女神)、

次女ヴェルザンディ(現在を司る女神)、

三女スクルド(未来を司る女神)のことを指す。

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➂ 三姉妹はウルズの泉(運命の泉)の畔の住居から出てきて、

泉から水を汲み上げユグドラシルに注いで樹勢を保たせている。

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➃ ウルズの泉は3本に分かれたユグドラシルの根のうち、

アースガルズ(死すべき定めの人間の世界)に向かう根の直下にある泉

ユグドラシル北欧神話に登場し、九つの世界を内包するWorld tree=宇宙樹。

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ざっくり整理すればこんな感じになりましたが……

ここではったとあることにお気付きの御仁もいらっしゃるかと。

この「新春新規オープン案内」その1でご案内した閻魔大王(yama)は北欧神話の巨人ユミル(Ymir)と同起源であったという事実。

閻魔(yama)は人間で最初の死者となり、死者が進む道を見い出して死者の国の王となった。
インドでは生前によい行いをした人は天界にあるヤマの国に行くとされたとのこと。

一方、巨人の王ユミルは、巨人と対立していた神々によって倒され、

神々はユミルの血から海や川を、身体から大地を、骨から山を、歯と骨から岩石を、髪の毛から草花を、頭蓋骨から天を造り、脳髄から雲を造り、

残りの腐った体に湧いた蛆に人型と知性を与えて妖精に変えたとされたそうな。

期せずして結びついた北欧-インド-日本の神(仏)話。

 

ノルウェーを中心とした海洋民族ヴァイキングフィンランドムーミンスウェーデンの先進的な福祉社会制度etc.と以前から北欧の文化に関心があるものの、北欧神話は今まであまり馴染みがなく、改めて勉強しようかと。

年をとっても、知らないこと知りたいことが次から次へと湧いてきますが、かすむ眼と集中力が落ちた脳の限界は、如何ともし難いものがあります。

 

敬具