屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島カレー事情第123回 デイビスさんのエビカレーと洋ナシと女神ヘラ

拝啓

六角堂から歩いて3分ほど。

県道から海側に坂を下ったところにCafe & Cottage Davisさんが。

以前はそこでランチを頂けたのですが、諸般の事情で今はテイクアウトのデリカテッセンに。

そのFacebookデイビス屋久島 Facebook」にホホホのホの字のお知らせが。

先日のブログでも話題にした「エビカレー」と、

「みち草」と「すばらしい」の カツカレー&Kiinaの栗鹿の子 屋久島カレー事情第123回&屋久島ボンボンポイ第76回

好きな果物の第3位の洋ナシ(ラ・フランス)を使ったケーキが頂けるというのですからこれはもう即予約。

12時過ぎに伺うと庭のポインセチアが真っ赤に。

容器を用意していったのですが、

デイビスさんの容器入りカレーをそのまま頂いて帰ることに。

(容器はちゃんとその日に洗って返しました)

これがその「海老とココナッツのタイ風カレーと黒米入りご飯」。

ココナッツカレーにはエビがゴロゴロ。

優しい風味が口いっぱいに広がり、

黒米入りのモッチリしたご飯との相性が抜群。

 

食後に頂いたのが「洋ナシのガトーショコラ」

しっとりとした上品な触感でした。

 

ところで屋号のデイビス

ご主人がイギリス人なのでデイビスさんなのでしょうが……

そこに掛かれた横顔のこと、ず~~~っと前に伺ったことがあるような気もするのですが既に忘却の彼方に。

なんとなくギリシャ神話のゼウスのようにも。

しかし、ネット記事によれば、

デイビス」はウェールズ語で「ダビデの息子」を意味する一般的な父称姓であり、「最愛」を意味する名だとのこと。

一般的な家系の名前デイビスの背後にある意味と起源は何ですか?

 

イスラエルの王ダビデは、

ハレムを作り六人の妻を娶って、母親が異なる六人の異母兄弟(それぞれ跡継ぎとなり得る長男)をもうけたとも。

ヘブロンで生まれたダビデの息子たち 2022年3月02日 水曜 聖書と祈りの会 羽生市の教会

 

ただ、キリスト教世界では「ダビデの息子」と言えばイエスを指すのだそうで、

エス旧約聖書で預言されていたダビデの子孫の預言の成就者=メシヤ=キリスト(救済者)という意味だとのこと。

イエスはなぜダビデの子と呼ばれているの?

メシア - Wikipedia

 

そのダビデの像とデイビスサインの横顔が似ている……ようにも。

横顔の由来が何か、また機会があれば聞かせて頂こうと。

 

ついでながら、セザンヌの絵にも良く描かれる洋ナシ

それにも神々との関りが。

 

ギリシャ神話の中で女性的な曲線を持つ洋梨は、

愛の女神アフロディーテと神々の女王ヘラを称える神聖な果物とされていたとも。

果樹園にまつわる神話と伝説 - イングリッシュペアー & フリージア | ジョー マローン ロンドン

アフロディーテ古代オリエント小アジアの豊穣の植物神・植物を司る精霊・地母神

ギリシャ神話では生殖と豊穣、すなわち春の女神

ヘーシオドスの『神統記』によれば、クロノスによって切り落とされたウーラノスの男性器にまとわりついた(アプロス、aphros)から生まれ、ゼウスが養女にしたとも。

 

一方、ヘラギリシア神話に登場する「神々の女王」

世界の西の果てにある不死のリンゴの園「ヘスペリデスの園」を支配

なんとここでまたリンゴ。

ヘスペリデスは世界の西の果てにある果樹園に住むニンフ(精霊)たちのことで、植えられた黄金のリンゴの木の世話係

何と黄金のリンゴの木にはヘビが!

リンゴの木は、ゼウスとヘラの結婚の祝いとしてガイアが贈ったものだったのに、

ゼウスがこのリンゴを採っては恋の贈り物としてばらまいてしまうため、ゼウスの手が届かないよう、妻のヘラはアトラース山の頂にある果樹園に移し植えたそうな。

また、リンゴの木の周りには百の頭を持つ竜(蛇)ラードーンがぐるぐる巻き付き、番をしていたとも。

ヘスペリデス - Wikipedia

ヘラはゼウスが三番目に兄弟姉妹婚した正妻
女好きで浮気を繰り返すゼウスとの夫婦仲は良いとは言えず、ゼウスとよく口論。
ある時ヘラはゼウスと争った後、オリュンポスから離れキタイローン山に家出。
ゼウスはヘラを誘い出すため、花嫁衣装で着飾った大きな女性の木偶人形を造り、新しく結婚すると言って山の中を通った。
それを知った嫉妬深いヘラが飛び出して新しいゼウスの妃の衣装をむしり取ると、木像であることに気付いて和解。

なにやらアマテラスの天岩戸隠れを彷彿とさせるエピソードも。

ヘーラー - Wikipedia

多種多様な人間臭い神様たちにあふれるギリシャ神話の世界は、八百万(やおよろず)の神々が登場する古事記の世界と相通ずるものがあるようにも。

閑話休題

「黄金のリンゴ」は前回のブログ『リンゴブギウギ ⑨ 雪苔屋に棲む北欧の女神イズンとギリシャの精霊カリュアー』でもご案内した北欧神話にも登場。

またリンゴと蛇のかかわりは『リンゴブギウギ ⑦ エバと私がリンゴに惹かれたわけ Trip Curry & Oashisu & Song Lines 』でもご案内した旧約聖書の創世記の記述ともオーバーラップ。

ドイツでは昔、リンゴの木と洋ナシの木は一対をなし、

リンゴが男性性、洋ナシが女性性を象徴したとのこと。

クリスマスと新年の間、深夜に若い女性は洋ナシの木の下に行き、木靴を脱いで洋ナシの木に投げ、靴が木の枝にかかれば翌年には素敵な男性が求婚するだろうと言われたとのだそうな。

セイヨウナシ - Wikipedia

 

エジプト-ギリシャユダヤ-キリスト-アッラー、そして北欧。

様々な神話や聖書に出てくる果物に目を向けることで、

今夜も戦火に明け暮れるヨルダン川のほとりの民族・宗教対立の根っこを理解し、

その解決の道筋を見つけるヒントになれば幸い。

 

今夜の夕食は、屋久島を拠点に世界を回るマッサージ師ケニーさんがわざわざ差し入れて下さったジャパニーズフライドチキンカレー

その温情に感謝しつつ有り難くいただきました。

これを節目にブログ記事「屋久島カレー事情 はしばらくお休みさせて頂きます。

敬具

追伸

六角堂の「スパイシー ブックカフェ イートハーブ」。

この月末に数日オープンさせて頂くかも。

また「ヤルヤル詐欺」になるかもしれませんが、

準備が整いましたら、どうぞお立ち寄りくださいませ。