屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

心にともった火に蓋をさせない世の中を

拝啓

しばらく前、

とあるお店のマスターから、島の一人の少年の話を聞きました。

キャッチボールをしながら、その少年は語ったそうです。

「夢を見てもしょうがない。平凡に安全に暮らしていきたい」。

それは、その少年の本心なのでしょうか。

それとも、何かがそう言わせ、

それを話した大人に何かを求めていたのでしょうか。

 

今から四分の一世紀ほど前、

私が勤めたとある学校のとある教室で出会った少女が、

大人になって家庭を持ち、

ツルリンゴスターと名を変えて、

ツルリンゴスター|イラストレーター・漫画家 (tsururingostar.com)

女性差別やDV、偏見、抑圧、SOGIに関わる問題と取っ組み合い、

先日、一冊の漫画本を出版。

『君の心に火がついて』(KADOKAWA2022/5/26初版)

すごいことだと思います。

 

その一場面に彼女の面影を観ました。

いつの頃かともった心の火を、

自ら蓋をして閉じ込めてしまう諦め。

閉ざさせてしまう家族や恋人や社会の暴力。

老若男女に関わらず、

そこから心の火を解放させる道程。

よく描いたものだと思います。

 

その半年前の2021年11月に出版された、

漫画エッセー『いってらっしゃいのその後で』。

併せてamazonで購入して読みました。

 

その一ページにしばし沈黙しました。

彼女に最後に会ったのは、

彼女がまだ美大生だった頃のバイト先、

京都寺町通のたばこ専門店「錦玉堂」。

それから流れた10数年の歳月が、彼女を熟成させてくれたようです。

他者から支えられる者から、

他者を支えられる者へ。

支え合える社会へ。

これからの活躍、陰ながら応援しています。

そして、

島影で、何かをともしている少年少女を応援したいと思います。

 

書籍の無断撮影と転載。

許していただければ幸いです。

敬具

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