屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

トビウオに魅せられて観る梅雨の午後

拝啓
 
今日も朝から降ったり止んだりの屋久島麦生でしたが、六角堂から望める沖合では何艘もの漁船が操業しておりました。
 
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竿で釣っているのではなく、どうやら巻網で魚を獲っている様子。
 
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何を獲っているのか気になり、屋久島近海で獲れた魚を水揚げする安房漁港に社会見学に出かけました。すると漁港では島でご縁を得た「なつき丸」も水揚げの最中、今日はトビウオがたくさん取れていました。
 
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ありがたいことに、獲れたての飛び魚を分けて下さり、トビウオの種類も教えて下さりました。
 
六角堂に持ち帰った四種類のトビウオを一種類ずつじっくり観察。
 
① 体長30㎝ほどの「中(ちゅう)トビ」
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鹿児島県水産技術開発センターのHP「うしお」325号(http://kagoshima.suigi.jp/ushio/book_html/ushio325/ushio325.pdf)によると中トビにはオオメナツトビ,トビウオ,ツクシトビウオの三種類あるそうですが、今日の中トビがどれだか素人の私の眼にはわかりませんでした。
 
② 青トビ(カラストビウオ)
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青い羽根(胸鰭)がとても凛々しいトビウオです。
 
③ 赤トビ
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赤トビは、鹿児島県水産技術開発センターの事業報告書「200カイリ水域内資源総合調査事業-Ⅲ(資源評価調査委託事業:トビウオ資源動向調査)」によると、アカトビ、チャバネトビウオ、オオトビウオ、マトウトビウオの四種類があるようですが、やはり今日の赤トビがどれだかわかりませんでした。
 
④ セミトビ(アヤトビウオ)
 
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東京市場でセミトビ,室戸岬でモンツキ,種子島でホシトビなどと呼ばれているようです。小型なので唐揚げやすり身にも利用され、鱗が硬くないので処理がとても楽です。ただ、熊毛支庁 林務水産課 のHP「トビウオの新たな加工品開発と販路開拓の取組を支援」(http://kagoshima.suigi.jp/fukyu/jigyou/nen/h24fu-18.pdf)によれば、魚価が安く加工の仕方が検討課題となっているそうです。
 
しっかり観察した後は、頭を落し、内臓と胸鰭、腹鰭を取って塩を擦り込んで寝かし、塩抜きしてから一匹一匹ラップにくるんで冷凍ストッカーに保存しました。
 
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トビウオは運動能力の高い魚で、海面から3mくらいの高さを300m程も飛ぶとか。屋久島はトビウオ漁日本一で、安房港では年間1000tの水揚げがあるそうです。

こうしたトビウオにまつわる文化については『屋久島、もっと知りたい 人と暮らし編』(南方新社刊)に詳しく載っています。その内容の一部はGoogle ブックス(http://books.google.co.jp/books?id=doT-_Z3Tg8cC&pg=PA122&lpg=PA122&dq=%E5%B1%8B%E4%B9%85%E5%B3%B6+%E4%B8%AD%E3%83%88%E3%83%93&source=bl&ots=6ljyW9GHR8&sig=OTwjQOtuEEOTUmSD5EM7hGQsJp4&hl=ja&sa=X&ei=1mqxU7u7BsKi8AWz3ICwAw&ved=0CCoQ6AEwAg#v=onepage&q=%E5%B1%8B%E4%B9%85%E5%B3%B6%20%E4%B8%AD%E3%83%88%E3%83%93&f=false)で紹介されているのでご参照下さい。
 
何はともあれ、知れば知るほど面白いトビウオと間近に出会った有意義な一日でした。
 
敬具