屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

2023-2024 ゆく年くる年 その③ 松の内が明けるまで

拝啓

パタパタトロトロ過ごす内、はや2024年の松の内も開けてしまいました。

その間の出来事をサクサクッと記しておきたく存じます。

 

屋久島の正月の区切りは1月7日の七草祝い。

この日の「鬼火焚き」で正月飾りを焼き、一年の無病息災を願います。

1月7日の朝、六角堂の上空には三日月の残月。

そして地球の上の天災人災に関わらず登る朝日。

朝からコトコト鍋で煮たのは年越しのために買った野菜やベーコンの残りもん。

これを作ったのはこの日の夕餉に頂く六葷粥の下準備

それが何かは後程……

 

この日の午後訪ねた小島のカトリック教会脇のひまわり畑は年越し満開。

その後様子を見に行った平野の慶照院、延命地蔵さんの寒緋桜は三分咲き。

そうこうする内、午後3時に麦生の広場で「鬼火焚き」の始まり。

今年は男鬼。

裏には集落の子供たちが描いた鬼と願い事。

七草祝いの子供たちが点火。

立ち上る火と煙。

折からの強風であっという間に鬼は焼かれて厄払い。

残り笹を頂きに駆け寄って、

六角堂にも厄払いの福笹を飾ることができました。

その日の夕餉、

六角堂では世間の七草粥ならぬ五葷(ごくん)+1で六葷粥

 五葷(または五辛)とは……辛くて臭気のある五種の野菜。

仏教では、韮(ニラ)、忍辱(ニンニク)、辣韮(ラッキョウ)、葱(ネギ)、野蒜(ノビル)。

道教では、韮、忍辱、辣韮、油菜(アブラナ)、胡荽(コエンドロ=コリアンダーパクチー)。

ともに、欲情や怒りの心をおこすとしてこれを禁じた野菜。

仏教・道教以外にもオリエンタルヴィーガンと呼ばれる方々が避ける「強壮野菜」を敢えて選んで一年の始まりに喝!。

今回はニラ、ニンニク、ネギ、ラッキョウ、ノビルの代わりにタマネギ、コエンドロ(パクチー)の代わりに同じセリ科のセロリの葉を使った粥に。

残り野菜とベーコンのスープをベースに、

賞味期限が切れた非常食のアルファ米五目御飯と共に炊けばできあがり。

ネギとニンニクはごま油で炒めてトッピング。

ラッキョウは添え物で。

 

野菜スープの残りは、後日カレー鍋やら牛乳豆腐鍋……

 

11日の鏡割りには野菜スープ雑煮に。

この日種子島から打ち上げ予定だったH2A48号機は天候不良で明くる12日に発射。

グイグイ上って

残されたロケット雲は干支の辰の如し。

ちなみにロケットが運んで行ったのは、情報収集衛星光学8号機。平たく言えば偵察衛星北朝鮮の軍事基地を見張り、訳の分からん間に閣議決定された「敵基地攻撃」を可能にさせる衛星。

「反撃能力」とは【Q&Aで詳しく解説】 - クローズアップ現代 - NHK

 

その雲を横切って行ったのは米軍の輸送機C130。

11月29日のオスプレイ墜落事故の捜索活動は12日で終了。

それに伴い屋久島空港から飛び立っていったのかも。

 

翌13日、冬季休業に入る雪苔屋さんで新作「フルーツグラタン」を頂いた後、

田代海岸を散策すれば、

先月何艘も浮かんでいた海保·海自·米軍の艦船の姿は、何事もなかったかのように消え果てていました。

対岸の種子島の先、馬毛島では日米軍事基地造成工事が始まって満一年。

熊毛郡の暮らし、日本やアジアの暮らしはどう変わって行くのか?

否、どう変えていくかはお前ら次第やろ!

と日向ぼっこに明け暮れる接客担当招福従業員。

天災から逃れることはできませんが、最大の人災、戦争を回避することは人の力で可能なはず。
戦争が起きた時の備えではなく、起こさせないための知恵と声と行動を育て合いたいものだと思うことしきり。

敬具