拝啓
立冬も過ぎ、日の出の時刻は日々遅く。
先日奇妙な夢で目が覚めた夜明け前。
雲間から三日月の細い残月が。
刻一刻と広がる朝焼けを眺めつつ、
海から登る日の出を拝めるのは冬至前だろうと思っていたその刹那、
あけまして、今日。
そんな11月初旬のとある夜、
安房の「かもがわ」さんでご飯を頂いていた折、
開いた南日本新聞の記事に目が留まりました。
「鹿児島県産水産物を使用したシーフードカレー」
それは、
全国一の生産量を誇る鹿児島県産養殖ブリのフライを載せ、
中国が輸入停止した青森産のホタテを使った、
その名も「ブリカツカレー」。
水産業の活性化や消費拡大への意欲は大いに買いますが、
カツ=フライのトッピングに何やらがっかり。
載せずに何とかならんのか!
そうした思いはこれまでエビにも。
私にとってエビカレーと言えばこんな感じ。
これはギリギリエビカレー?
だけどぉ、
これはどうしたって「エビフライカレー」やろ。
屋久島でも「エビカレー」と書いてありながら、
その実「エビフライカレー」が出て来てエエッとなったことが幾たびか。
そもそもルーが同じなのに、
トッピングを変えるだけで「〇〇カレー」と名付けることに違和感が。
ところが先日、
屋久島の宮之浦にグランドオープンしたインド(ネパール)料理店「すばらしい」のメニューになんと「カツカレーランチ」が。
今まで幾たびか通った街のインド料理屋で見ることのなかったカツカレー。
あったかもしれないけれど観て見ぬ振りしてスルーしてきたかもしれないカツカレー。
どんなもんじゃろう?
ここはそれ、ちゃんと向き合わねばと決意。
ただ心の準備なしでは正面から向き合う心もとなし。
そこで、ある心と口の準備を。
昔々、ある学校で現代文を読み解く時、
よく口にした言葉が「コントラスト」と「オーバーラップ」と「リフレーン」。
ただ単にストーリーを辿っているだけだったり、
自分が強く印象に残った部分だけにとらわれてしまうと作品の深みを味わえない。
コントラスト=対照的な表現
オーバーラップ=重なり合う表現
リフレーン=繰り返される表現
ここで言う表現とは場面・行為・言葉・色・形・音etc.
それに気を留めることで、
作品(人間や社会)が線や平面ではなく立体的に見えてくる。
などと……講釈垂れておりました。
その習慣は今なお暮らしの折々に。
今回、「すばらしい」のカツカレーを頂く前に、
島を代表するカツカレーから島のカレーを再確認し、
しかるべく「すばらしい」カツカレーとの「コントラスト」を咀嚼しようと。
いわゆるスパイス系カフェカレーではなく、
標準的かつ大衆的なカレールーでしっかりしたカツのお店。
選んだのは春牧の「みち草」さん。
表看板に「地卵のカツ丼」を掲げているお店のカツカレーをと。
そのお姿はこちら。
しっかりとした豚肉がぎっしり詰まった大ぶりのカツ。
フルーツ系の甘味がある洋風ジャパニーズカレー。
山登りや外仕事の後の空腹にしっかり応えてくれるボリューム満点の一品。
今もやっていらっしゃるかどうか定かではない、
春牧の「のどか」さんの特大カツカレーや
屋久島カレー事情 第75回 平静でいられぬ特大カツカレー 春牧 のどか - 屋久島六角堂便り~手紙 (hatenablog.com)
この秋、島から撤退された「サンキュー食堂」さんの赤富士カツカレー。
屋久島カレー事情 第99回 赤富士仕立てのカツカレー 尾之間 サンキュー食堂 - 屋久島六角堂便り~手紙 (hatenablog.com)
そうしたカレーをしみじみ思い起こしつつ、
毎週金曜のクビツリハビリ治療の後、
「すばらしい」カツカレーを頂きに。
まずはその全体像。
カレーとカツのアップ。
聞けば、カレーは「鶏肉のキーマカレー」。
カツはトンではなくチキンのカツ。
今回の辛さは7HOT「大辛」に。
先日頂いた9や8HOTほどではありませんが、
脳天から少しく汗をかく爽やかな辛さ。
ハグッと齧ればあっさりヘルシー鶏の胸肉?
鶏+鶏=キーマカレーの旨味とチキンカツの触感が良いコンビネーション。
そうだよな。
そうでなくちゃ……とひとり合点。
何もジャパニーズカツカレーが悪いわけではありません。
それもお店によっては美味しくいただけます。
ただ、インド(ネパール)料理店には、
それにふさわしいカツカレーが存在するのだと再認識した次第。
以上が「コントラス」。
そして以下は「オーバーラップ」。
カツカレーの堪能後、
ルーティーンとなりつつある志戸子のkiinaさんへ。
そこには幽かに予測をしていたあれが。
「秋です!!」と呼び掛ける「栗のチーズケーキ」が待っておりました。
アップ。
トッピングだけでなくケーキの中にも栗がゴロリン、口中栗の秋で大満足。
心豊かに六角堂へ戻る道すがら、
ハッと気付いたことが。
栗チーズケーキは似ている……
栗鹿の子餅に。
秋のおすすめ商品ご紹介 菓匠にいつま (niituma.com)
そして、
「不破福寿堂の鹿の子餅」に似ている。
唯一無二のふわふわ食感、羽二重餅と金時豆のハーモニー「鹿の子餅」 | 日本全国お取り寄せ手帖 (otoriyosetecho.jp)
そしてまた、
この秋頂いたあれにも似ている……
パンドシュクルの鹿の子パンに。
パン・ド・シュクル(@sure.310) • Instagram
鹿の子パンと鹿の子餅については先日このブログでもご紹介しましたが……
リンゴブギウギ ④ mori cafe Halloween & パンドシュクルとペイタのパン 屋久島ボンボンポイ第73回&屋久島パンデチョッコラ 第10回
日本の四季感、秋を食で演出しようとすると、
和菓子・洋菓子・パンの垣根を越えて重なるものが。
日本の文化を通底する美意識がそこから浮かび上がって参りました。
そしてまた更に、
そうだったのかと気付いたことが。
あの「島レモンのギモーヴ」に私が心深く惹かれた理由が。
それはまた、次回。
敬具