拝啓
庭中でさんざめいていた鈴虫の声が次第にか細くなった十月中旬。
何やら鉛のようなだるさがズズンと肩にかかって沈み込む、
そんな時に元気を分けてくれるのが六角堂の絵本たち。
今日のお薦めは、
「アップルパイはどこいった?」
バレリー・ゴルバチョフ作、徳間書店2003年刊
作者のバレリー・ゴルバチョフは1944年ウクライナ生まれ。
ソ連時代に児童書の挿絵画家として活躍したのち、
1991年アメリカに移住し、絵本作家として活躍。
ヤギさんとブタさんが繰り広げるユーモラスな絵本がいくつも。
※ 昨年(2022)8月に亡くなったソビエト連邦最後の指導者ミハイル・ゴルバチョフ氏は、ロシアの集団農場で生まれたので関わりはございません。
で、
「きっとあそこにアップルパイがある!」と向かった先は、
宮之浦の新月堂さん。
ショーケース上段に鎮座。
一切れ頂き六角堂で衣装を剥ぐと。
あな、うつくしや。
焼きリンゴの透け感が堪りません。
甘い甘い焼きリンゴを口いっぱいにほおばる幸せ。
しばし腰と背中の痛みを忘れました。
御菓子司 新月堂(@shinngetsudou60) • Instagram
お次は、
尾之間のパンドシュクルさんのアップルパイ。
今回は、ハロウィン仕立てのメロンパンと艶々しいイチジクデニッシュをお供に。
トロントロンの焼きリンゴを包んだパイは、
サササササクッと軽やかな触感。
ザクザクメロンパンとの相性も良し。
しばし、肩の重みが抜けました。
パン・ド・シュクル(@sure.310) • Instagram写真と動画
そして今年も帰ってきた、
原のノマドカフェさんの「りんごいっぱいのケーキ」。
ノマドカフェ 屋久島(@nomadocafe_yakushima) • Instagram写真と動画で見つけて、登場初日に伺いました。
リンゴケーキに合う飲み物は?と尋ねれば、
「苦みが強めのキャラメルティはいかがでしょう」とのアドバイスを受け注文。
ノマドさんならではの絵になる構図。
キャラメルティは期待をはるかに超えた味わい。
甘酸っぱい焼きリンゴと紅茶のアンサンブルは、
緩やかで落ち着いた時間を創出。
これでしばし、
頭の芯に淀んだ鉛が少しばかり流れたようで、
何とか年を越せそうです。
秋深し隣はカレーにカオマンガイ
改めて思うのは、ケーキもパイも季節のパンも、
お持ち帰りで頂くのはもったいない。
そのお店に漂う空気、香り、風景を楽しみながら頂きたい。
新月堂さんでは「夏のかき氷に代えて、冬場はつぶつぶ小豆餡の善哉を」とお願いしてしまいました。
シイバさんやパンドシュクルさんの店先テーブルは貴重な場所。
ただ、アップルパイに合う熱っつい紅茶を紙コップではなく、ホーローなんかのマグカップで頂ければ尚良しかと。
先にご紹介したバレリー・ゴルバチョフの絵本。
こんなんもございます。
六角堂の明冥文庫。
カレーを始め食べ物に関する絵本とヤギさんが登場する絵本は、
1Fフロアのコーナーに移動しております。
よろしければ次回(いつになることやら)ご来店の折に、手にとってご覧頂ければ幸いです。
次回の「リンゴブギウギ」はこれに出会えれば……
敬具