屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島グッドモーニング第16回+屋久島ほんの気持ちばかり第21回+屋久島カレー事情第119回 あまやどりしながら島の未来を

拝啓

六角堂の庭のバナナが色付き、

芙蓉の花咲き、

街宣車から町長選挙候補者名の連呼が響く朝。

長期ご滞在のお客様用に備えておきたい本を求めて、

島唯一の書店、安房泊書店へ。

そこで購入したのがこちら。

『島に棲む』

口永良部島・火の島・水の島

貴船庄二著 南方新社 2018年5月刊行

表紙には「忘れてはいけない生の力」山際寿一京都大学総長の文字。

これが思わぬ偶然、奇なるご縁に繋がるのですが、これはまた後ほど。

 

その足で、泊書店のすぐそばの「あまやどり」さんで遅めの朝食。

前前回は「和定食」

前回はホットサンドだったので、

今回は「カレー」を注文。

 

待つことしばし、

店内の壁一面に掛けられた絵の作者を尋ねれば……

全部マスターが描いた絵なのだとのこと。

寂し気な風景画は40年ほど前の学生時代、

東京で故郷を懐かしみながら描いたものだと。

人物画も数枚。

中でも気になったのはこの少女。

聞けば、瞳と黒髪が印象的な娘さんはマスターの三人いる子供さんの長女さんだとのこと。

今は鹿児島の霧島市BOULANGERIE NOELというパン屋さんをご主人と営んでいらっしゃるとのこと。

早速Instagramで検索すれば、

BOULANGERIE NOEL(@boulangerie.noel) 

ほほっほ〜、絵とそっくりなお嬢さんの近況写真が。

スマホを所持せぬマスターやママさんに見せると「初めて見た」と、恥ずかしそうにしていらっしゃいました。

そうこうするうちに運ばれたカレーを頂きながら、

話はママさんの昔語り。

今は無き「小杉谷小・中学校」の卒業生で、トロッコ列車で町と往復するのが楽しかった、「小杉谷廃学50周年記念行事」に参加して楽しかったと懐かしそうに。

その模様は屋久島パインのブログにも。

屋久島発 田舎暮らし通信: 小杉谷廃学50周年記念行事に参加して (seesaa.net)

 

ここでトロッコ列車について復習。

 

屋久島の通称トロッコ列車安房森林軌道とは、屋久島(鹿児島県熊毛郡屋久島町)にある、日本で唯一現役で稼働している森林鉄道。

安房森林軌道 - Wikipedia

その様子を丹念な取材でまとめて下さっているWEBサイトがあります。

津島軽便堂写真館さんが5回に分けて掲載されたページがこちら。

屋久島森林鉄道 (la9.jp)

屋久島2 (la9.jp)

屋久島3 (la9.jp)

屋久島4 (la9.jp)

屋久島5 (la9.jp)

そこには「武田産業」の文字がくっきり写るこんな写真も。

このブログでも小杉谷の再開発や、

木材搬出・ダム維持管理用のトロッコ列車を観光列車にすることの提案も。

 

島の住人でも知らない人がけっこいいらっしゃるのが、

NPO法人屋久島森林トロッコ (yakushima-forest-railway.com)」。

その法人の理事長は、

かつて屋久島町議であり今回の町長選挙に立候補されている小脇清治氏。

その「後援会資料」には観光トロッコの実現が示されております。

 

そのことをあまやどりのマスターやママさんに問うてみれば、

お二人曰く、

もう十何年も前から観光トロッコの話は出ていたけど実現せんね……

弁当屋をやっていたころは、一日の縄文杉登山客が1,000、2,000人といたけど今は多くても2~300人。これからどうなるのか。

一度島に戻ってきた次女も、また鹿児島市内に出て行ってしまってもう帰ってこないだろう……と。

屋久島の未来で最大の課題は、観光客の誘致以上に住民減少に歯止めをかける対策。

老夫婦の願いに耳を傾け、島の未来を支えてくれる行政や政治家はどこに⁈

 

実はこの翌日、安房公民館で開かれた町長選のもう一人の候補者「岩川たくのり」氏の対話集会が催されて、それを覗きに行ってまいりました。

岩川たくのり Facebook

岩川たくのり公式サイト | #屋久島町の未来を創る (takunori-iwakawa.com)

対話集会には100名以上の方が集まっておられましたが、

会場の前方4分の3は私より高齢の方(その大半は男性)がほとんど。

後方4分の1に私より若い方々(その大半は女性、そして小さな子供達)。

ざっと見渡したところ、有権者にもなっているはずの屋久島高校の生徒らしき姿を見つけられなかったのが残念。

※後で聞くところによると高校生2名の参加があったとのこと

岩川氏が課題として取り上げた、高齢者がズシンと頭に乗って若年労働者がゲッソリ細る人口ピラミッド」のリアル版のようで、なんとも……。

 

選挙は10月29日。

全立候補者が論戦まみえる公開討論会があれば参加したいものですが……

 

さて、話は最初にご紹介した本に戻って山際寿一氏とのご縁。

実は「口永良部」の本を手に入れ「あまやどり」さんでブランチを頂いたその夜、

宮之浦の「屋久島環境文化村センター」で催された、

屋久島の世界自然遺産登録30年記念シンポジウム「山極寿一と語る 屋久島のこれから」」に参加。

屋久島の未来、山極寿一さんと考える 世界遺産登録30年でシンポ:朝日新聞デジタル (asahi.com)

仕事の都合で途中からの参加でしたが、

一番面白かったのは対談後の質問タイムで、屋久島高校の生徒の問への山際氏の答え。

「自分が好きなことを問い詰めなさい」

そして山際氏が対談中に引用した山尾三省の著書の一節。

アニミズムという希望 琉球大学の五日間 山尾三省 講演録』

山尾三省 野草社 2021年刊行

(その一節がどこにあるのかただいま探索中)

何十年も前から屋久島と関わりを持った山際氏の著書も六角堂明冥文庫にはございます。

シンポジウムの後、会場で買い求めた小野寺氏が監修する本がこちら。

屋久島 知の巨人たち』

屋久島環境文化村構想

企画監修屋久島環境文化財団 キルティブックス発行

 

様々な「知」に学びつつ、

屋久島の、日本の、地球の未来を考え、

そのより良き道を探るためにも、

10月29日の町長選挙&町議補選は、心して投票したいものです。

敬具