屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

おみずの島プロジェクト 旅情溢るる社会実験基地の島に 13の歩道とトロッコ列車

の続編です。
 
拝啓
今年5月の豪雨災害でヤクスギランドや荒川登山口に向かう県道・町道が崩落し、
自衛隊や海保までが出動する救難活動が全国的なニュースとなりました。
その結果、ツアーのキャンセルが相次ぎ、
飲食店や土産物店やガイドショップでは「今は2月か?」との声が出るほど閑散と。
それもこれも、縄文杉登山偏重の付けが回ったとも。
 
さて、
屋久島REALWAVEの
「島の登山>登山道マップ」には
13の歩道(トレッキングコース)が紹介されています。
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1 安房~荒川登山口~大株歩道~縄文杉宮之浦岳
~花之江河~淀川登山口~安房
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/01.htm
2 楠川歩道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/02.htm
3 永田歩道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/03.htm
4 花山歩道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/04.htm
5 栗生歩道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/05.htm
6 湯泊歩道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/06.htm
7 尾之間歩道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/07.htm 
8 安房登山道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/08.htm
9 愛子岳登山道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/09.htm
10 本富岳(モッチョム岳)登山道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/10.htm
11 太忠岳登山道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/11.htm
12 安房前岳登山道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/12.htm
13 益救参道
https://www.realwave-corp.com/08climbing/02/00/13.htm
 
これほど多様なコースがありながら、その多くには次のような※ご注意が。
このルートは人がほとんど通らない為、倒木や草木で道が荒れています。
また、途中、河を渡らなくてはならない箇所があって増水時は大変危険です。
渡渉箇所では過去に遭難事故もおきています。
このルートへの単独入山、登山経験の浅い方の入山は非常に危険ですので、
ルートのご変更をお願い致します。
 
まさに宝の持ち腐れ。
 
一方、
REALWAVEの「島で遊ぶ・体験>海」は極めてあっさりしたページ。
https://www.realwave-corp.com/07play/01/index.htm
 
REALWAVEの「島で遊ぶ・体験>釣り」には
「鹿児島の海釣り 大隅半島と離島」の図版を利用したと思われる
釣り場案内があります。
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しかし、シュノーケリングやダイビング、シーカヤックの案内ページはなし。
リバーカヤック沢登りが楽しめる
「川」に至ってはその項目すら立っていません。
 
「水の島」を売りにしながら、この森(山)とのギャップや如何に。
自然の営みに沿いながら島の「資源」を活かさせて頂くには何が必要なのか。
 
アウトドアに関心が薄く
「ボーっと生きてる軟弱もん」
好奇心を揺さぶりチャレンジ精神を掻き立て、
飛行機のチケットとガイドの予約へと駆り立てる
仕組み作り、
コーディネーターやプロデューサーの役割を果たすのは
島外の旅行会社ではないはず。
 
と、問題を提示したうえで、今回は
「それぞれの努力」では如何ともし難い課題に立ち返ることに。
 
その一つのキーワードが
「脱くるま」。
 
島に限らずどこの田舎でも、自家用車なしの生活は困難。
しかし、
車の運転がおぼつかなくなった高齢者は足を失い、
子供たちは途中下車もできない窮屈なスクールバスや
寄り道無用の親の送り迎えに自由を奪われ、
飲兵衛のお客を接待できずに飲食業もままならず。
 
加えて免許を持たない街暮らしの若者や
外国人観光客にとって、一時間に一本しかなく
夜7時が最終の路線バスでは島を存分に楽しむことは困難極まり……
 
そんな島(社会)で暮らしたがる若者は限られ、
観光客や移住者が増えないのは道理。
 
それではバスの増発と運賃補助をとなりがちですが、
それで上手く行くなら世話はなし。
また、いくらネット環境を整えようと、
人と人が気軽に集い、
自由に行き来できる環境がなければ島の底力は高まらないかと。
そして「移動すること」「移動する空間」そのものに
楽しさが加わってこその観光地。
 
それだけのことなら資金を要する電車ではなくバスで十分、
ジブリの猫バスにちなんだ猿バス鹿バスはどう?
とおっしゃる向きもおありでしょうが……
旅情を掻き立て、ドラマが産み出されるのは何といっても
「鉄道」
と言うのはあまりに……でしょうか。
 
長距離を走る列車が舞台になった映画は国内外に数知れぬほどありますが
通勤電車やローカル線を舞台にした秀作も。
 
NHKのテレビドラマ『恋の三陸 列車コンで行こう!』は高視聴率を得たようですが
 
2012年の第35回 日本アカデミー賞を受賞した
映画阪急電車 片道15分の奇跡』は繰り返し見たくなる逸品。
 
今春封切した「RAILWAYS」シリーズ第3作、
肥薩おれんじ鉄道」を舞台にした
映画かぞくいろ -RAILWAYS わたしたちの出発-』も好評上映中。
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起死回生の「心霊電車」を企画した銚子電鉄が舞台となる
映画『電車を止めるな!』今年8月に封切予定ですが、
 
実は先日、
京都の「妖怪電車」を舞台にした映画嵐電を鑑賞したばかり。
 
いずれも「そこ」で暮らす人々や
「そこ」を訪れる人々が交差して織りなす人間模様に惹きつけられます。
 
嵐電」は路線の半分が路面電車
道を走る電車が人の目線で街の風景に溶け込むように、
『益電』(ヤクデンと呼びます)は島の森や海や里の景色の一つになるものと。
そんな電車を1万3000人が暮らし、
年間30万人が訪れる屋久島で走らせたらどうなるか。
想像するだけでワクワクするのは、
全国全世界の鉄っちゃん鉄子に限らないはず。
 
また
鉄道(電車)にはバスや自動車にない環境特性や運用方法があるからこそ、
2013年に富士山が世界文化遺産に登録された事を契機に、
富士山のふもとから登山者や観光客を運ぶ「富士山登山鉄道」構想も再燃。

朝日:富士山に「登山鉄道」再浮上 何度も頓挫、新知事が意欲
https://digital.asahi.com/articles/ASM5P624QM5PUZOB00R.html
 
富士五湖観光連盟の検討会は、
登山者が殺到する夏のピーク時でも入山者数をコントロールでき、
冬も5合目まで行けるため「通年観光」の展望が開けると説明する。
富士スバルラインへの鉄道敷設は技術的に可能で、
自動車の排ガスの影響をなくせることも利点に挙げる。
こちらはその構想の動画。
 
 
聞くところによれば、
台湾の太平山森林鉄路は屋久島のトロッコと同じ規格で、
観光トロッコとなって大繁盛の様子。
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https://ja.wikipedia.org/wiki/太平山森林鉄路
 
宜蘭太平山一日遊|蹦蹦森林小火車、復古日式車站、紅葉步道、
全球最美森林小路見晴步道、鳩之澤煮蛋煮玉米超好吃 !
https://fupo.tw/blog/post/tpsweb?fbclid=IwAR2N7qNijbZBpRjT666iK9PIcKGf8D68XopeS-nmDPXw9LDwJwyf6BzzTyQ
 
森のトロッコ
希少なトロッコ列車の魅力は世界共通。
ここらで、「文化・産業遺産」としての森林鉄道の価値を
再認識してみては。
 
今から40年ほど前のトロッコの様子を記録された次のサイトは、
屋久島再生を考える重要なヒントになるに違いありません。
津島軽便堂写真館
屋久島の森林鉄道1-安房森林鉄道1976(昭和51)年の記録です
http://tsushima-keibendo.a.la9.jp/yakushima/yakushima1.html
屋久島の森林鉄道2-荒川の入換
http://tsushima-keibendo.a.la9.jp/yakushima/yakushima2.html
屋久島の森林鉄道3-荒川→小杉谷 
http://tsushima-keibendo.a.la9.jp/yakushima/yakushima3.html
屋久島の森林鉄道4-小杉谷→小杉谷線終点
http://tsushima-keibendo.a.la9.jp/yakushima/yakushima4.html
屋久島の森林鉄道5-小杉谷線終点→荒川  
http://tsushima-keibendo.a.la9.jp/yakushima/yakushima5.html
 
ただ、今のトロッコの軌道は狭く運搬能力や安全性にも制限が。
また特殊な車両のために保守点検にもコストがかさみそう。
 
そこで、
少なくとも現在二車線道路部分については
鹿児島市電と共通の路面電車を走らせ、
車両の保守点検は鹿児島で。
鹿児島駅発の電車と旅客をかつての鉄道連絡船のようなフェリーで島まで運び、
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そのままヤクスギランドや大川の滝、永田浜や海中温泉まで。
 
さらには種子島奄美にも共通規格の路線を拡大……
離島の鉄道網はヤポネシアラインの一部として列島の人と人、
里と里とを結びます。
 
そこで登場するのが、
路面電車の駅で待機し、集落内を巡る「自動運転カート」
運転手の高齢化や人手不足が押し寄せる島のもう一つの足として、
登録済みの家やお店に、ぴっぽっぱで連れて行ってくれるし、
スマホから呼べば集落内のどこにいても迎えに来てくれます。
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それは『益電』実現以上にあり得ない話と
鼻で笑う方もいらっしゃるでしょうが、
すでにヤマハによる実証実験が各地で始まっています。
 
ヤマハ発動機 一般公道での遠隔型自動運転の実証実験へ電動小型車両を提供(石川県輪島市
https://news.yamaha-motor.co.jp/2017/015471.html
こちらはYAMAHA移動サービスシステム」の実験走行映像
 
ノスタルジアが掻き立てられ
自然への入り口が其処此処に開かれ
しかも最先端の暮らしを体験できる島造り。
 
国や県にぶら下がった補助金頼みの町政ではなく
日本の企業にとどまらず、GAFA中国企業に向けて
屋久島を新交通システムの「社会実験基地」として売り込み誘致する。
自ら構想を打ち上げ、国や県や企業に対応する自治能力ある人材を育てる
それができる人物が、この秋の町長選挙に立って下されば、
全身全霊応援致します。
 
つづく