拝啓
11月22日は「いい夫婦の日」。1988年に財団法人余暇開発センター(現日本生産性本部)によって提唱されたとのことですが、この日に「入籍」する人も多いようで、NHKの朝のニュースでは東京都立川市の「プレミアム婚姻届」の話題が取り上げられておりました。
その届けの表紙は写真を差し込んで飾れるフォトフレーム形状。
2016年度「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」地方創生大賞や2019年度グッドデザイン賞を受賞した優れもの。届け出用紙自体は複写式となっていて大切な記念品として手元に残すことができます。
その詳細は立川市のHPで知ることができます。
専用ページでも案内。
知らない方も多いようですが、婚姻届けは旅先の役場に届けることも可能。
それを町おこしや人口減少対策に結びつけたところが立川市職員のすごいところ。
その発案から発売、その後のいきさつが「立川市、「1000円の婚姻届」に人気殺到のワケ 北海道から沖縄まで、全国から人が来た!| 東洋経済オンライン」(2017/01/14)の記事で紹介されています。
「人口減にどう対策を打てばいいいのか。2015年、立川市は20~40代の職員の中から地方創生のアイデアを練る人材を募集。同年6月に集まったのは16人の職員だった。これを3つのグループに分け、各グループで対策を練っていった。街コンや育児アプリなど、さまざまなアイデアが浮かんだ中で、新しい形の婚姻届を販売する案が選ばれたのだった。」
ここで学ぶべきは、市が抱える問題解決のために役所幹部が若手職員の意欲を引き出そうとしたこと。
そして、地元の企業や個人商店ともタイアップして地域活性を図ろうとしたこと。
婚姻届け発行に関しては、特別な条例を設けることなく「立川市プレミアム婚姻届売払い事務取扱要綱」が定められただけ。その気になればすぐに真似できるので立川市の「成果」に学び各地の自治体が後に続いているのですが、屋久島は……
新婚旅行ばかりでなく結婚式を挙げに島を訪れるカップル様やそのご家族も少なからず。それを増やすばかりでなく、結婚生活の折目節目にリピーター様としてお迎えするきっかけにも。
さらに、人口1万3000の僻地の離島であるにもかかわらず、島には有能なデザイナーが何人もおり、美大や芸大で学んだ移住者が知る限りでも十数名いる稀有な島。立川市をしのぐデザインや工夫を凝らしたプレミアム婚姻届けを生み出せる可能性は十分に。
観光立島を目指し移住促進を願うなら、何故にすぐさま真似せぬか。
「町報やくしま」令和元年11月号No.146でようやく紹介された
「屋久島町第二次振興計画」の「10年間の重点目標」の★point★は
「加速する人口減少・少子高齢化に備え、限られた財源で最大の効果を発揮し、住民、集落、行政が協同する人情豊かなまちづくり」に重点的に取り組みます。
基本構想では一次産業の担い手不足を課題に挙げ
若者の町外流出を嘆き
いくら課題を指摘し目標を掲げても、人口増加のための道筋を描ける若手の人材を育てなければ、近い将来屋久島高校は廃校になり徳洲会病院は撤退し、子育ても福祉もままならぬ島となっては、高齢移住者も子育て世代移住者も島を見限り人口減は増々加速。
一次産業のみならず観光業の担い手も失って、島に残るのは何とか畑と墓を守れるだけの足腰残る老人と、農協と役場の職員、あとは……
そんな悲劇を避けるために、3期目を迎えた町長は従来の慣習や常識にとらわれず、「役場の若い職員が様々な人材を発掘し、島の活力に結びつける発想を育む場」をこそ作るべきかと。
話を「プレミアム婚姻届け」に戻しますが、どうせ先行自治体の取り組みに学ぶなら、より目的達成に近付け、国内外にインパクトを与えられるものであってほしいもの。
そこで提案したいのは婚姻届けにとどまらぬ「プレミアムパートナーシップ証明書」の発行。
屋久島は多様な人々を包含する島であり、LGBTのカップルだけでなく、事実婚のカップルも安心して暮らせる島となることを世界中に宣言する。その宣言の具体策の一つとして日本の離島初の「パートナーシップ条例」を発効させる。
その具体的な内容や島の活性化との関わりについては次回。
敬具