拝啓
予定では、今回のおみずの島プロジェクトのテーマは「日本の離島初のパートナーシップ条例発効」だったのですが、ゆえあって「防災アプリ」に変更のお許しを。
先日は一気に冷え込みその後ザザ振り。いよいよ冬の到来かと思いましたが、勤労感謝の日は再び穏やかな晴天。午前11時、北側のトイレ内は21℃、南の日向にあるニャーの従業員宿舎内は30℃。
六角堂に引き籠っている限り、穏やか極まりない秋の午後ですが……
先週は台風25号 Fengshen(フンシェン:中国の風神)と台風26号Kalmaegi (カルマエギ:北朝鮮のかもめ)が南洋上をさ迷い、
三日前には台風27号Fung-wong(フォンウォン:香港のフェニックス山)が発生して沖縄に接近。
11月に台風が5個以上発生するのは、1991年以来28年ぶりだとのこと。
また、先日トンボ帰りの帰郷をした折、屋久島に向かうJACの機体から見た桜島は噴煙を長く長く東に延ばし、
覗く火口からマグマの鼓動が聞こえてきそうに。
屋久島から海と空をいくら眺めても、はるか南洋で産まれては消える初冬の台風の存在を知ることはできず、桜島の対岸の鹿児島市内から噴煙の流れの行方を知ることはできません。
科学の力を借りて俯瞰することの大切さをしみじみ。
その一方、六角堂の小さな庭では様々な命の営みが。
接客担当従業員は仕事の合間にせっせと狩りに勤しみ、どんなもんやのどや顔すれど、獲物の名前は教えてくれず
川縁に咲く野性の山茶花をじっくりとっくり眺めれば、六角堂にちなんでか通常五弁の花に混じって六弁の花も。
高い視点から世界を俯瞰する鳥の眼と、身近な世界のディテールを凝視する虫の目、その両方を持ち合わせて自分たちの暮らしを見つめることでしか、安全安心快適な暮らしを築く手がかりは得られないのだと再認識。
さて、先日配布された「町報やくしま」令和元年11月号No.146。「屋久島町第二次振興計画」の紹介はあるものの、冊子配布のお知らせは残念ながら未だなし。
「今後とも、住民参加型の協働のまちづくりを進めて参りますので、ご意見等につきましては、下記担当までお知らせください」との呼びかけが。
しかし、一人でスマホの画面をひっそり眺めるのではなく、計画の冊子を手に手に車座なして意見・感想述べ合う場造りにこそ、役場の「本気度」が示されるものかと思うことしきり。
審議会のメンバーのお一人、田宮さんが振興策への意見を集めるフェイスブックページ「屋久島町『わたしたちの町の未来』」を作成されましたが、
https://www.facebook.com/groups/3129216897148569/
このひと月の投稿者は数えるほどで寂しい限り。
そんな折、島の情報ネットワークと
防災に関する課題に対して
新たな書き込みを発見。
避難訓練の度重なる実施を強調されていらっしゃいました。
現在実施されている学校や集落ごとに避難訓練が、災害の種類(風水害・土砂崩れ・津波など)や、その集落や地区の特徴を踏まえた分析・計画に基づいた訓練が実施されているのか。ひょっとすると「おざなり」と言われてみ仕方のない取り組みがあるかも。
一方、日毎迫りくる南海トラフ大地震による大津波や、今年の5月にも見舞われた土砂崩れや水害などへの防災対策について「屋久島 議会だより」令和元年9月第47号を読む限り、
幾人もの議員から質問がなされているものの、町長の答弁は「なおざり」と謗られても仕方のないような一般論に終始する内容。
今問われるのは、この数年列島各地を襲った災害で被災した各自治体の対応から何を教訓とし、どんな対策を学ぶかという町長はじめ役場職員の意識と姿勢と行動では。
一月前にも「おみずの島プロジェクト」で災害対策について触れましたが、
そこで提案した「屋久島アプリ-屋久島HOYHOY」の前段階版ともいえる「防災アプリ」が11月18日のNHK「おはよう日本・まちかど情報室」で紹介されていました。
長野県宮田村のHPによれば
防災行政無線やJアラートの音声放送を住民のスマートフォンへ瞬時に自動転送放送する「地域防災コミュニケーションネットワーク」を導入しました。調整期間を経てこの6月中旬から順次運用を開始します。これにより、防災行政無線の屋外スピーカーで聞こえづらいご家庭や個別受信機の電波状態の悪いご家庭へも情報を伝達できるとともに、村外への通勤や買い物、出張や旅行で家を離れても情報を受けることができるようになります。
と、その概要や目的、操作方法などを丁寧に案内。
そのシステムを提供する「SKY-NETWORK株式会社」はプレスリリース(2019年4月27日)でシステムを紹介。
内閣府のサイト「TEAM防災ジャパン」の2019年6月26日の記事にも記載が。
防災に気を配る責任ある立場の行政職なら、日本各地の防災情報を掲載し「まなべる いかせる つながれる 防災・減災のオンライン基地」がキャッチフレーズの「TEAM防災ジャパン」を日常的にチェックしていらっしゃるかと。役場の担当部署はチェックして当該地域に活かせそうな情報を町長に提言してしかるべき。
宮田村と比べ屋久島は海に囲まれ津波の危機が。スクールバスも徳洲会の病院バスも海沿いの周回県道一本が頼り。おまけに年間数十万人の観光客が訪れ、その中には多数の外国人観光客や長期滞在者も。
一周100㎞の島。バス利用者や観光客の安全確保を想定した避難訓練は困難至極。
だからこそ、一日も早い多言語対応防災アプリの開発普及が必須だと繰り返す次第。
「そんなことおまえにいちいち言われんでも、ちゃんと役場はやっとるわい!」と叱っていただければ幸いです。
敬具