拝啓
六角堂の明冥文庫(カフェの本棚)のテーマは「SEIとSHI」。
SEIは生と性と聖、SHIは死と詩と子。
一番目に付き冊数も多いのが性=ジェンダーとセクシュアリティに関する書籍。
学校の保健の授業であまり習わないような生理や出産に関する本や
性愛に関する本が並んでいるのは、33年間女子中・高校で思春期の女の子やそのお母さま方と接する内、女の子が生まれる前から死んだ後まで巡り合わせる様々な出来事に関することを勉強するために読み漁った名残の一部分。
もちろん、女性と対になる男性の性に関する本も。
国語科教員でありながら、ひょんないきさつで保健主事も務めたり、ジェンダーに関する特別講座を持ったことから、いくつかの取り組みもしましたが……
屋久島に来て、大変だなと感じたのは島唯一の総合病院「徳洲会病院」産婦人科の体制が不安定なため、多くの妊婦さんは鹿児島の病院を受診し、出産の2週間ほど前から鹿児島に渡って出産されること。
その一方で、驚いたことの一つが助産師さんの援助を受けながら自宅での自然分娩を選択する女性の多さ。特にナチュラルな生活を求めて島にやってきた移住女性に多く見られます。
そんな島で11月10日、「性と生 いのちの輪」と題されたイベントが催されるとのチラシを頂きました。
2019年11月10日 Open10:00~17:15
開催場所 屋久島 湯泊 Hutte
これまで活動されてきた女性だけのつどい「けやき小屋」の進化バージョンとのこと。
女性だけでなく、子ども男性もいろんな性別で、いろんな世代の人たちと「性」をテーマにとなりにいる人とコミニュケーションを深める日にしようという趣旨。
詳細は、こちらのフェイスブックページで。
是非とも参加したいのですが、仕事の都合上いけないのが残念無念。
さて、「屋久島町第二次振興策」の32pから始まる【出生から老後まで安心して暮らせる仕組みをつくる】の章では、そのほとんどの記述が高齢者への課題が占め、後は障碍者福祉やバリアフリー、虐待や救急体制について。
出生に関しては、最後に「☆少子化への対策」として学童保育や保育料についての記述があるのみ。
今回の振興策の「基本理念」の(2)10年間の重点目標の★point★を
「加速する人口減少・少子高齢化に備え、限られた財源で最大の効果を発揮し、住民、集落、行政が協同する人情豊かなまちづくり」に重点的に取り組みます
と掲げながら、生=性にまつわる記述が皆無なのは何故に。
先述のように、島で助産師さんの力を借りて自宅で自然分娩される方の中には、昔ながらの「座産」や、浴槽での「水中分娩」を選択されて無事出産された方も。
そして、屋久島の自然のパワーを頂きながら自然分娩することを願って、出産のために長期滞在されている都会の方もいらっしゃいます。
それが可能なのは、優秀な助産師さんが複数島にいらっしゃればこそ。
そうした「意思と願い」を持った女性やそれを援助する助産師さんの声に、振興策を練った委員の方や、それをまとめた役場職員の方がどれほど耳を傾けたのか疑問です。
性は生。そこでこのおみずの島プロジェクト、次回は性にまつわる条例の課題について触れてみたいと思います。
つづく