屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島ラーメンの細道 第9回 丼鉢にみる歴史

拝啓

わらべ歌というものは、洋の東西を問わず不思議な歌詞が多いものですが、それも時代や地方によって歌詞が変わっています。

「かごめ」なども、馴染の歌詞は
かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に 鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ?
ですが、古くは
かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に つるつる滑った 鍋の鍋の底抜け 底抜いてたもれ

「鶴と亀」という言葉は明治以降の歌詞にしか出てこないそうですが、それを無視して様々な解釈が横行している話題作。出だしの「かごめ」一語についても「囲め」または「屈め」がなまったもの、「籠目」(六角形)、「籠女」(見た目が籠を抱いているような妊婦、あるいは妊婦の腹の中の胎児、あるいは自由のない遊女)などと諸説紛々ですが、六角堂的には籠目でも籠女でも親近感を覚えます。

また信号機のメロディでお馴染みの「通りゃんせ」のように、恐れや不安を含んだものもあるのが面白いところ。

通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの 細道じゃ
天神さまの 細道じゃ
ちっと通して 下しゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ
この子の七つの お祝いに
お札を納めに まいります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ 通りゃんせ

今回はそんな天神様の細道ならぬ、益救神社(旧称:須久比ノ宮、主祭神は天津日高彦火々出見命(あまつひこひこほほでみのみこと)=海幸山幸神話に登場する山幸彦)の参道

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鳥居近くの中華料理店「龍鳳」さんへ

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「ラーメン」の黄色い幟が気分を盛り上げてくれますが、暖簾をくぐろうとした玄関脇には

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「炒飯なら普通肉が入っているだろうに、わざわざ《肉入り》と断っている炒飯を試してみるべきか」とぐらつきながら入店し、座敷の端の席に座ると招き猫が列をなしてお出迎え

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メニューを見て

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やはりここは九州らしく「とんこつラーメン」に。せっかくだから餃子も頼み、待つことしばし……

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豚骨スープにモヤシの香りがよくなじんだラーメン。気になったのは餃子を入れた器。店名に加えて電話番号が印字されているのが何とも昭和的。そしてラーメンを啜り進むと丼鉢の隅に店名が見え隠れ。「ひょっとしてこれは」とレンゲでスープをせわし気にかきこむとやはり

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電話番号が浮かび上がりました。しかも市内局番が餃子の器の「42」ではなく「2」。屋久島で市内局番が一桁だったのは何10年前のことだったのか、どなたか教えていただければ幸いです。丼鉢がこのラーメンと島の歴史を物語っているようで、何やらゆかしくいただけました。

敬具


屋久島ラーメンの細道インデックス

  安房 ファミリーレストランかもがわ「とんこつラーメン」
  安房 八重岳食堂 「ラーメン」
  安房 じいじ屋の「塩ラーメン+ミニ豚こつ丼」と「味噌ラーメン」
  宮之浦 ランチボックスの「らーめん+小どん」
  宮之浦 王龍(わんろん)の「屋久島黒ラーメン」
  宮之浦 楓庵の「屋久島もののけラーメン」
  宮之浦  琉誠の「屋久島ラーメン」
  安房  南国酒場Amaraの「屋久島トビウオ・トムヤンクン」
  安房 萬来軒の「ラーメン定食天津飯セット」