屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島ラーメンの細道 第8回 島のファミリーレストラン

拝啓
 
本日は普段の営業日(一応日・月・火・水なのです)とは違う臨時営業
Openの12時を過ぎてもご来店のお客様の気配はなし。
ああ今日こそ、開店二周年を前にして初めてお客様ゼロの日を迎えるのか」とため息つき掛けていると、顔馴染のお二人様のご来店でほっと一息。
 
その後どうやら中国語圏からお越しの観光客風のお二人様がご来店。
ご自身のスマホをかざし、随分前のイートハーブのメニューボードを写した画像を示され、「これをください」とのこと。
キーマカレーをご所望のご様子。
メニューシートでAカップキーマカレー(正式名称:クマゲンキーマAカップ仕立て)と焼きチーズキーマカレー(正式名称:ヤキーマ)のコーヒーセットを確認。
 
楽しそうに召し上がってくださいましたが、お皿を引くとごはんがちょっぴり残っていていてお気に召さなかったのかと心配に。
しかし、お二人のお皿には同じほどのご飯が同じように残されていて「そ~~か!これがあの話に聞く中国流のご馳走様サインか!」と一人で勝手に納得。
失礼ながら記録に採らせていただきました。
 
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お帰りの際の「カレー美味しかったです」の一言にほっと一安心。謝謝。
 
そこで思い起こしたのがまたしても浮雲の一場面。
 
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新潮文庫版『浮雲』より
空襲で焼け野原になった新宿に終戦後立ち並んだバラックの一軒、第三国人※1がやっている「中華蕎麦」の店でゆき子が注文したのは「竹の子蕎麦」
それは赤く染めた竹の子が入っているというものですが、たぶんそれは支那竹(シナチク)※2ではないかと。
※1「第三国人」ご参照ください→第三国人と言う呼称は?
※2「支那」ご参照ください→支那(しな)という呼び名はなぜ避けられるのか
1946(昭和21)年6月に日本の外務省が総務局長岡崎勝男名で東京都下の主要新聞社あてた申送り文書支那の呼稱を避けることに關する件」は次のページで確認できます
 
この場面は敗戦の翌年なので「ラーメン」という言葉はまだ普及しておらず、一方支那蕎麦」と言う呼び方は作者林芙美子が避けたのかもしれません。
文学におけるラーメン-中華そば-支那蕎麦については面白い考察をされた方がいらっしゃいます。
 
ラーメンと近代文学 - リスト表示 - BUNGAKU@モダン日本 - Yahoo!ブログ
 
と言う訳で、7時までにかたずけを済ませて閉店し、暮れなずむ県道の先、かねてから食べたかったあのラーメンのある、あのお店に向かうと……
 
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がっくり
 
しからばビッグコミックビッグコミックオリジナルの最新刊をめくりながら酢豚定食でもと思って車を引き返し、六角堂の前を通り過ぎてひた走ること10分……
 
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むなしい
 
こんな時頼りになるのはやはり屋久島唯一の「ファミリーンレストラン かもがわ」さんと、車を回して入店。
メニューを開いて一思案。すんなりラーメンを頼もうと思ったのですが、ラーメン一杯ではお腹が満ち足りなさそうだし……
 
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そうそう、先日春牧の喜楽里さんでカツ丼を注文した折、炒め煮した玉ねぎがカツの上に卵と閉じられているのではなく、カツとご飯の間に入っていたことを思い出し、かもがわさんはどうなのか確かめようと思い直すものの……
 
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やはり今日はラーメンが本命だったのではないかと逡巡しつつ、決断したのは
 
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とんこつラーメン
&
カツ丼
 
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カツ丼についてはまたの機会に「屋久島丼紀行」でご紹介することにして、今回はとんこつラーメン。まず運ばれてきて目を引いたのがレンゲの置き方。
屋久島ラーメンの細道 第5回 レンゲの位置から見えるもの」で取り上げた「レンゲの置き方」のどれにも当てはまらない左奥に背を向けておかれたレンゲ
逆向きに出されたのではないことは、レンゲの下にチャーシューがあることから推測できます。
これはまず蕎麦を食し、その後スープを味わえというサインか⁈と思いその順で頂くことに。
 
ファミリーレストラン」らしく、誰もが安心していただける平和な味わいを堪能した後、がっつりカツ丼を頂きました。
カツ丼には通常味噌汁が付くのですが、ラーメンを頼んだので味噌汁を遠慮すると、お会計の際に値引きをしてくださいました。
そんなところが行きつけとなる嬉しいお店です。
 
ただ、お子様連れのお客様の姿はめったに見ることはなく、バックパッカー風の外国人観光客の姿が目立つお店。
“International exchange dining Kamogawa”と看板を変えてみるのも良いのではないかと思うのは……余計なおせっかいですね。
失礼しました。
 
敬具
 


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