拝啓
そもそも礼文島のことが気に掛かり始めたのは、屋久島に土地を買った20年近く前のこと。その時の湧いて来たのが名付けて『金の船と銀の匙』妄想。
まるで相似形のように見えて来て、屋久島の次には礼文島に対になる「場」を作ろうとも。
屋久島と形の似ている利尻でなくて種子島と似ている礼文にと思ったのはRISHIRIよりREBUNの方が言葉の響きが良いからといういい加減な理由ですが、潜在的には自分(文広)と妹(礼子)の名前が一文字ずつ入った島名だったからかもしれません。
そんな礼文島に2025年6月13日に北海道の上陸し、日本最北限のスコトン岬に到達後、強風吹き荒び時折小雨ぱらつく島内を小徘徊。
島は稚内市沿岸から西方60kmに位置し、南北29km・東西8km・周囲72kmで一番高い山礼文岳の標高は490mの細長くべたつい島。
来てみて一番驚いたのは、島全体がなだらかな丘のようで、その斜面にほとんど木が生えていない熊笹の島だということ。
「高緯度や冷涼な気候から、海抜ゼロメートル地帯より300種類以上の高山植物が咲き乱れ「花の浮島」としても知られる」という触れ込みで、さぞかし華やかな場所かと思っておりましたが、まだ花の季節には早かったようで花はまばら。
海を望むなだらかな丘の斜面にポツリポツリと点在するお墓に眠る人々がいる島。
人が暮らす集落は防波堤沿いの道から50mほどの海縁にへばりつくように建つばかり。
屋久島にない風景がある一方、似たような暮らしの風景も。
島の観光名所の一つ「北のカナリアパーク」に立つ学校は
2012年に公開された吉永小百合主演の映画『北のカナリアたち』のために建てられたオープンセットの校舎「麗端小学校岬分校」がそのまま保存された施設。
張られたポスターによれば、晴れてさえいれば青い海の彼方に利尻島が浮かぶ絶景のようですが、この日は霧と雲の中。
「年間を通して海の幸に恵まれ、夏はエゾバフンウニ、利尻昆布、ホッケの産地として有名である。また礼文島はウニ丼の発祥地としても知られている」という触れ込みに乗り漁師さんが営む民宿を宿に取ったのですが……
「6月に入って荒天が続き二週間で漁に出られたのは二日だけだった」ということで、夕食はウニ丼どころか生うにの一片もなく蒸しウニが小鉢に少々。刺身はサケとタコのみでメインは煮魚。朝食の納豆の量にびっくりという食事。
屋久島以上に物流が厳しい北の離島の現実をシミジミ嚙み締めながら頂きました。
トレッキングが好きな人々には魅力的な散策コースがあるのですが、時折ぱらつく小雨に加えた強風で短いコースの散策も断念。
翌6月14日の最終便で島を離れる予定でしたが、朝一便で北海道「本土」に戻ることに。
フェリー乗り場で乗船待ちする車のナンバーは全国各地。遠く沖縄ナンバーもありましたが鹿児島ナンバーはステップワゴンだけでした。
利尻島を背に迎えに来たフェリー。
さよならREBUN。
つづく