屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

おみずの島プロジェクト Rainbow Ⅽosmosを目指して

拝啓

屋久島は知る人ぞ知る虹の島。

今日も冬至前の高度の低い太陽の日差しを受けて、

種子島からグィンと虹が。

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春田浜から望んだ虹、分かりますか?

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安房大橋から望めば、

うっすら虹が種子島屋久島を結んでいます。

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虹を見るといつも思い出すのが吉野弘の詩。

「虹の足」

雨があがって
雲間から
乾麺みたいに真直な
陽射しがたくさん地上に刺さり
行手に榛名山が見えたころ
山路を登るバスの中で見たのだ、虹の足を。
眼下にひろがる田圃の上に
虹がそっと足を下ろしたのを!
野面にすらりと足を置いて
虹のアーチが軽やかに
すっくと空に立ったのを!
その虹の足の底に
小さな村といくつかの家が
すっぽり抱かれて染められていたのだ。
それなのに
家から飛び出して虹の足にさわろうとする人影は見えない。
―――おーい、君の家が虹の中にあるぞオ
乗客たちは頬を火照らせ
野面に立った虹の足に見とれた。
多分、あれはバスの中の僕らには見えて
村の人々には見えないのだ。
そんなこともあるのだろう
他人には見えて
自分には見えない幸福の中で
格別驚きもせず
幸福に生きていることが――。

虹の足 | 吉野弘の部屋 (ameblo.jp) には吉野弘の娘さんのエッセイがあります。

自分の幸せは「他人には見えて 自分には見えない」ものかもしれませんが、

他人の幸せを喜ぶことができる人は幸い。

他人の幸せを支えることができれば、猶の事幸い。

ヒトとヒトとのかかわりの中でしか、

幸せと言うものは成立しないのだと。

 

昨日可決した屋久島町パートナーシップ制度創設」の請願。

ただ、その実現までの道のりはまだ先に。

どうせ後発組として制度を作るのであれば、

押さえたいポイントが三つ。

異性カップル(事実婚)も含める事。
全国の条例や要綱を有する自治体とネットワークを結んで互換性を持たせること。
養子縁組に道を開くこと。

については、すでにいくつかの先行自治体が制度化しています。

についても関東のいくつかの自治体間で乗り入れ制度ができつつありますが、

田舎と都会、離島と本土(何とまあ古臭い表現ですが、島の人は今なお九州・本州を本土と呼びます)の自治体を結ぶパートナーシップ制度の存在を知りません。

そこで、屋久島町がそのパートナーシップネットの要となっていただきたい。

それでこそ「世界自然遺産の島」の面目躍如たる所ではないかと。

 

一番難しい問題はの養子縁組。

養子縁組をするための条件の一つに、
養親に配偶者がいる場合は、配偶者の同意の必要

特別養子縁組の場合には特殊な条件があり、
養親は配偶者のある者でなければならないとされています。

養子縁組をするには、どんな条件が必要なのか | オール相続 (all-souzoku.com)

養子縁組の条件は普通養子縁組と特別養子縁組で全く違うので要注意! - 遺産相続弁護士ガイド (isansouzoku-guide.jp)

パートナーシップ制度でカバーされる

同性カップル、異性カップル、

戸籍変更をしていないトランスジェンダーで子供のいるパートナーとのカップル、etc.

様々な状況にありながら「ふたりで子供を育てたい」と願うカップルがいます。

様々な事情で子供を産み、育てることができない同性・異性のカップルが、

日本の法律が許容するギリギリ一杯の範囲で「家族」として暮らせる環境を作る。

そのあたりを照準に、屋久島オリジナルのパートナーシップ制度を創設してもらいたいと願っています。

 

島の東側では、海の向こうと結ぶ虹の橋がかかっていましたが、

島の南では、コスモスがゆんらり日の光を浴びて咲く屋久島。

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尾之間の岩崎ホテルのすぐ西側の海側斜面。

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島の内外で、もう一つの暮らしを願っている人々の幸せを支えることが、

屋久島で田畑を耕し、森の樹々や海の魚を糧とし、

小さな商いで日々の生活を立てている人々の暮らしを支えることになる。

Rainbow Island から Rainbow Ⅽosmos へ

人の幸せを我が身の幸せと繋げ合う、新たな世界を創り出す。

 

島の西の最果てCafe La Pontoさんで、

離島カード割のハヤシライスと珈琲を頂きながら、

そんな思いをふつふつと。

ちなみに「Ponto」エスペラント「橋」を意味する言葉。

年末年始も営業されるとのこと。

年をまたいで、多様な人と人の橋渡しをしていただければ幸いです。

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ちなみに今日12月18日は、納め観音」の日

観世音菩薩は、本来男性であったと考えられるつつ、
中国では「慈母観音」などという言葉から示されるように、
俗に女性と見る向きが多いとのこと。
また、観音経では「婦女身得度者、即現婦女身而為説法」と、
女性に対しては女性に変身して説法することもあるため、
次第に性別は無いものとして捉えられるようになったとか。
いわばトランスニュートラル。

どうぞ屋久島が、観音様のお慈悲・庇護に恵まれますように。

敬具

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