拝啓
「不屈の精神」と聞いて次の詩を思い起こす日本人は多いのでは。
写真は『新潮日本文学アルバム 宮沢賢治』から拝借したものですが、
「サウイフ ヒトニ ワタシハ ナリタイ」の後に続く「南無妙法蓮華経」の題目と諸仏の名に、賢治の精神的バックボーンをひしひし感じます。
今日ご案内するのは、その一節をレジ代の下の色紙に記したお店。
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
安房の「じぃじ家」さん。
と聞けば、
「えっ!じぃじ家さんはラーメン日高屋がつぶれた後、本店も廃業されたんじゃなかったの?」と思われる島民の方も多いかと。
ところが先日、フェイスブックで2月12日復活のお知らせが。
その「基本データ」には
「屋久島素材の創作料理と黒さつま鶏、屋久島コーラの居酒屋」と。
と言う訳で、夕方6時前に伺い、メニューシートを手に取れば……
メニューに付けられた◎は「屋久島素材使用」とのこと。
まずは店の売り、◎の「屋久島千年クラフトコーラ」を。
それに合うご飯ものは何かと尋ねれば「今は鶏をメインにしています」とのことなので、
◎は付いていませんが「手羽元スパイスカレー丼」(味噌汁付)と、
◎の「屋久島ウコン餃子」を頂くことに。
まず登場したのは「屋久島千年クラフトコーラ」。
ほう、居酒屋だけにお通し付きですか。
グビリと飲めばレモンとショウガの風味が効きつつも、島らしいしっかりとした甘み。
次に登場したのは「屋久島ウコン餃子」。
小振りですがパリッとした焼き加減。
ウコン独特の苦みはなくあっさりとした食べやすいお味。
器が丼ではなく皿なのに「丼」と呼ぶのは屋久島あるあるの一つ。
フルーティーで優しい、何やら懐かしいお味。
隣の席ではご高齢のご婦人お二人が、仲良く鳥刺しでビールを嗜んでいらっしゃり、ストーブに置かれた薬缶が湯気を立てるホノボノとした雰囲気。
聞けば今週から定休なしでランチ営業(11:30~2:00)も始められたとのこと。
カウンターの立派な髭の金猫に挨拶をし、
お会計をすれば??
いやいや、メニューに書かれた「税別」「テーブルチャージお一人様 300」の表示通りの計算でした。
六角堂に帰ってから気付いたのは、カレー丼に付いているはずの「味噌汁」を頂きそびれたこと。
ご亭主独りで店を回す大変さが、我がことのように偲ばれます。
お店のフェイスブックの2/19付け記事には次のような記述も。
「このじぃじ家をやっている建物は、尊敬する祖父が残してくれたもの。
ここを拠点にしたいという想いがあります。
もちろん、じぃじ家は飲食店として13年目を迎え、これからも頑張って参ります。
が、一度、飲食店、居酒屋という概念から離れて、新たな定義を見つけていこうと思っています。
飲食店でありながら飲食ではない、新たな付加価値を皆様に提供していこうと思っています。
じぃじ家を始めた時のコンセプトは
"cozy home〜居心地のいい場所〜
その頃、シングルファザーだった僕は、いつでも2人の娘の側に居たくてじぃじ家を始めました。」
幾度倒れても猶立ち上がる不屈の精神に敬服。
末永くお店を守って行かれますように。
追記:翌昼ランチをの親子丼を頂きに伺うと、お味噌汁を忘れたお詫びにタンカンがおまけに。
ランチタイムは席チャージ300はありませんでした。
詳しくはこちらで……
さて、
昨日は志戸子のkiinaさんでホットココアを頂いていると突然の霰(アラレ)。
今朝は晴れて気温も上がりましたが、尾之間のモッチョム岳の奥には残雪。
尾之間温泉向かいの障碍者支援施設「サロン湯の峯」で、おまけ付き豆乳ココアを頂いてしばし一息。
其処此処でその店なりの工夫や心意気を分けて頂いた分、
ちんたらBookCafeもボチボチ次回営業の段取りを付けようかと思いつつ、うだうだ。
サクラ咲けども六角堂の春まだ遠し。
敬具