屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島カレー事情 第93回 不屈の精神が付加価値 安房 じぃじ家

拝啓

「不屈の精神」と聞いて次の詩を思い起こす日本人は多いのでは。

f:id:y-6kakudo:20210219194503j:plain

写真は『新潮日本文学アルバム 宮沢賢治』から拝借したものですが、

「サウイフ ヒトニ ワタシハ ナリタイ」の後に続く「南無妙法蓮華経」の題目と諸仏の名に、賢治の精神的バックボーンをひしひし感じます。

今日ご案内するのは、その一節をレジ代の下の色紙に記したお店。

f:id:y-6kakudo:20210219195151j:plain

雨ニモマケズ

ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

安房の「じぃじ家」さん。

f:id:y-6kakudo:20210219200053j:plain

と聞けば、

「えっ!じぃじ家さんはラーメン日高屋がつぶれた後、本店も廃業されたんじゃなかったの?」と思われる島民の方も多いかと。

ところが先日、フェイスブックで2月12日復活のお知らせが。

 居酒屋じぃじ家 | Facebook

その「基本データ」には

屋久島素材の創作料理と黒さつま鶏、屋久島コーラの居酒屋」と。

と言う訳で、夕方6時前に伺い、メニューシートを手に取れば……

メニューに付けられた◎は「屋久島素材使用」とのこと。

f:id:y-6kakudo:20210219200758j:plain

まずは店の売り、の「屋久島千年クラフトコーラ」を。

それに合うご飯ものは何かと尋ねれば「今は鶏をメインにしています」とのことなので、

は付いていませんが手羽元スパイスカレー丼」(味噌汁付)と、

◎の「屋久島ウコン餃子」を頂くことに。

 

まず登場したのは「屋久島千年クラフトコーラ」。

f:id:y-6kakudo:20210219201520j:plain

ほう、居酒屋だけにお通し付きですか。

f:id:y-6kakudo:20210219201556j:plain

グビリと飲めばレモンとショウガの風味が効きつつも、島らしいしっかりとした甘み。

次に登場したのは「屋久島ウコン餃子」。

f:id:y-6kakudo:20210219201739j:plain

小振りですがパリッとした焼き加減。

f:id:y-6kakudo:20210219201812j:plain

ウコン独特の苦みはなくあっさりとした食べやすいお味。

最後に登場したのが「手羽元スパイスカレー丼

f:id:y-6kakudo:20210219201929j:plain

器が丼ではなく皿なのに「丼」と呼ぶのは屋久島あるあるの一つ。

f:id:y-6kakudo:20210219202025j:plain

フルーティーで優しい、何やら懐かしいお味。

隣の席ではご高齢のご婦人お二人が、仲良く鳥刺しでビールを嗜んでいらっしゃり、ストーブに置かれた薬缶が湯気を立てるホノボノとした雰囲気。

聞けば今週から定休なしでランチ営業(11:30~2:00)も始められたとのこと。

カウンターの立派な髭の金猫に挨拶をし、

f:id:y-6kakudo:20210219202407j:plain

お会計をすれば??

いやいや、メニューに書かれた「税別」「テーブルチャージお一人様 300」の表示通りの計算でした。

六角堂に帰ってから気付いたのは、カレー丼に付いているはずの「味噌汁」を頂きそびれたこと。

ご亭主独りで店を回す大変さが、我がことのように偲ばれます。

お店のフェイスブックの2/19付け記事には次のような記述も。

「このじぃじ家をやっている建物は、尊敬する祖父が残してくれたもの。
ここを拠点にしたいという想いがあります。
もちろん、じぃじ家は飲食店として13年目を迎え、これからも頑張って参ります。
が、一度、飲食店、居酒屋という概念から離れて、新たな定義を見つけていこうと思っています。
飲食店でありながら飲食ではない、新たな付加価値を皆様に提供していこうと思っています。
じぃじ家を始めた時のコンセプトは
"cozy home〜居心地のいい場所〜
その頃、シングルファザーだった僕は、いつでも2人の娘の側に居たくてじぃじ家を始めました。」

幾度倒れても猶立ち上がる不屈の精神に敬服。

末永くお店を守って行かれますように。

追記:翌昼ランチをの親子丼を頂きに伺うと、お味噌汁を忘れたお詫びにタンカンがおまけに。

ランチタイムは席チャージ300はありませんでした。

詳しくはこちらで……

 

さて、

昨日は志戸子のkiinaさんでホットココアを頂いていると突然の霰(アラレ)。

f:id:y-6kakudo:20210219203448j:plain

今朝は晴れて気温も上がりましたが、尾之間のモッチョム岳の奥には残雪。

f:id:y-6kakudo:20210219203609j:plain

尾之間温泉向かいの障碍者支援施設「サロン湯の峯」で、おまけ付き豆乳ココアを頂いてしばし一息。

f:id:y-6kakudo:20210219203750j:plain

其処此処でその店なりの工夫や心意気を分けて頂いた分、

ちんたらBookCafeもボチボチ次回営業の段取りを付けようかと思いつつ、うだうだ。

サクラ咲けども六角堂の春まだ遠し。

敬具

「屋久島カレー事情」の記事一覧