拝啓
本日ご案内するリンゴはこちら。
この画像を一目見て、これが何か分かる方はDr.Appleを自称されても構わないかと。
先週振られた湯泊の珈琲はまゆさんでアップルパイをリベンジしに伺うと……
想定内のことでしたが、アップルパイはなし。
そこで今日はリンゴを外して栗にしようか、
あるいは2年前のカボチャプリンを懐かしみつつカボチャタルトを頂こうかと迷いましたが、
日頃ちんたら生きている人生なればこそ、スィーツぐらいは筋を通そうと「リンゴのタタンパウンド」を。
そのお供には何を選ぼうかとドリンクメニューをじっくり読み進めれば……
なんと、「りんご」の文字が三か所に。
②りんごジュースを温めて摩り下ろしリンゴと一緒にした「ホットジンジャーアップルサイダー(温)」
③「秋田のリンゴジュース」
①は「のような」なので外し、③は想像がつくのでまた今度。
問題は②。あったかいサイダーってどんなんやろ?と言うことで、「ホットジンジャーアップルサイダー」を注文。
この日の「リンゴのタタンパウンド」はいつもよりカジュアルな雰囲気。
そしてお待ちかねの「ホットジンジャーアップル」は思わぬ姿で登場。
湯気立つそのお姿に、ほわ~~っと戸惑い。
カップの中をはれ~~~と凝視。
「泡ぶくぶくなのが炭酸なの?」とママさんに問えば、
「サイダーって言っても日本の炭酸のサイダーじゃなくって、アメリカではリンゴジュースのことで、ぶくぶくは摩り下ろしたリンゴのぶくぶく」とのこと。
慌ててWikipediaで確認すれば、
「アップルサイダー(Apple cider)とは、リンゴを原料に作る無濾過・無加糖・ノンアルコール飲料の、アメリカ合衆国およびカナダの一部での呼び名である。リンゴ果肉粒の懸濁により透明でなく、使用するリンゴの種類により一般的な濾過済みリンゴジュースよりも味が濃い……温めて香辛料を加える場合もある」とのこと。
更には
「『ホットアップルサイダー』(Hot apple cider)は秋と冬に人気の飲み物であり、アップルサイダーを煮立つ直前の温度に温め、シナモン、オレンジピール、ナツメグ、クローブ、または他の香辛料を加えて作る」と。
私にとってサイダーと言えば温泉で飲む「三ツ矢サイダー」。
サイダーとラムネとソーダの相違=類似はなんとなく知っておりましたが、元祖サイダーが炭酸抜きのリンゴジュースだったことを認識しておりませんでした。
この世は未知なるものに溢れており、宇宙は遥かに無辺広大。
わが身の無知卑小さを改めて感じつつ、
アッツイアップルサイダーをフーフーしながら頂きました。
そして沈思黙考。
入っているスパイスは何か?シナモンはあまりかぐわず、微かにクローブの香り。あとは???
再度ママさんに尋ねれば「カルダモンとクローブと、えっと」とのお答え。
このところ何かとざわつき、引き攣れかける心の筋がほんのり和らぎ、午後の仕事に精出すことができました。
ただ、正直哀しかったのはアップルパイと出会えなかったこと。
ところが、捨てる神あれば拾う神あり。
なんと夕刻、ご近所さんがお手製のアップルパイを届けて下さいました。
箱を開ければヒマワリのような輝き、プロの技。
思わず頭の中に地平線まで広がるひまわり畑、ソフィア・ローレンの涙をこらえる顔と共に映画「ひまわり」のテーマソング、ヘンリー・マンシーニの曲が流れてまいりました。
サクッとしたパイ生地にどっしりと濃厚な焼きリンゴ。
どうにかしてこのパイを島に暮らす多くの人々にお裾分けできないかと。
そこで思い起こしたのは「マタイによる福音書14章 パンの奇跡」。
ただ、不信心な私の前に神の子はついに現れず、皆様にアップルパイをお届けできなかったことをお許しくださいませ。
敬具
追伸
翌日、再度伺って頂いた「パンプキンクリームタルト」。
二年前に頂いた「カボチャプリン」とはまた、全く趣が異なりますが、
セクシーさに増々磨きがかかっておりました。