拝啓
2020年10月1日十五夜、仲秋の名月。
今年はその月の出を春田浜でとっぷり味わおうと思いつつも、
浜に着いた時にはすでに洋上。
昇る月を堪能して帰宅の途に着かれる方もいらっしゃる中、
ずいずい波打ち際に進んで三脚立てておもむろに、色付く十五のお姿を。
昇るにつれて海に月への道が拓かれ
月の波間を漂うものも
闇の静寂の銀の道。
さて、
彼岸のおはぎは堪能できなかった島の秋。
十五夜には月見団子をと夢見ていたおりました。
はてさて屋久島の月見団子は関東風の丸団子か?
それとも里芋や月にむら雲を見立てた関西風か?
まさか里芋型三食タイプの名古屋風ではなかろうに。
などと思いを巡らしつつ、
島の食や世相に通じた安房のスマイリーさんに月見団子の所在を問えば、
「屋久島で十五夜に作るのは団子じゃなくっておはぎ」とのこと。
それを聴いてはっと気がついたのがこちら。
この日のお昼、原の「つむコロキッチン」さんで売られていたきな粉おはぎ。
二つに割れば一方は餡入り、もう一つは餡無し。
なんでこの時期にと思っておりましたが、十五夜だからと言う訳だったのかと。
ただ、あれこれネットで調べてみると
「月見団子は地方によって違う!? 本棚のこびとたち」さんのページには、月見団子のタイプ別分布図が示され、屋久島は「白丸タイプ」に属して居るよう。
そこで、
十五夜で団子を作る風習が島に本当にないのかを「屋久町郷土誌 第四巻 歴史・文化・民俗」で紐解けば……
栗生では米粉を練って蒸した白い鼻高団子や里芋を供え、
中間では米粉に小麦粉を混ぜてこね、月桃の葉に巻いて蒸した餅を供え、
永田では小さなぼた餅十五個とつのまきも供えたとのこと。
やっぱり屋久島にも月見団子を供える風習はあったのだ。
それが消えてしまったのは、何とももったいない話。
商工会や観光協会、役場の観光振興産業課が、季節折々、節目節目の行事で供えられた団子や餅を集落各処で頂けるよう、音頭を取る気はないものか。
世界各国全国各地から島を訪れて下さるお客様の心を惹きつけるスウィーツは、
そうした文化民俗歴史の香りに包まれた一品なのではないかと思う、仲秋の夜更け。
敬具
追伸:島の方のフェイスブックに、湯泊の十五夜の神事で米粉で作った団子を供える記事に接しました。画像を転載させて頂きます。
https://www.facebook.com/photo?fbid=2190742574394601&set=a.523496251119250