屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

BookCafeの散歩道&おみずの島プロジェクト 屋久島トマソン その5 黒崎から島のテイクオフ

の続編です。

 

拝啓

今回ご案内する本は、

講談社スポーツシリーズ「ハンググライダー」と

山と渓谷社の「パラグライダー 入門とガイド」

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どちらも30年ほど前に購入した本。

空を飛びたくて、伊吹山のパラグライダースクールに通い、

J.H.FのB級技能証も取得し、

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マイパラグライダーも購入し、

パイロット証を取得するための学科試験も合格して、

フライトに必要なアマチュア無線の資格も取得。

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しかし、諸般の事情でその先に進むことなく幾星霜。

 

その後もずっと、見晴らしの良い場所に立つと、

ああ、ここから飛べたらどんなに気持ちよかろうと思うことしばしば。

 

屋久島に通うようになってからも、

千尋の滝の展望台から水平線を見渡したり、

ヤクスギランドに向かう県道沿いの展望所から、

ロケットが打ち上がる様を眺める時にはなおさら。

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※2018年10月のH2打ち上げ

山のトレッキング、海のスキューバーダイビング、川のカヤッキングに加えて

スカイスポーツを楽しめる

パラグライダーの発着場を屋久島につくりたい。

 

そんな思いを新たにしたのが中間集落の散策。

小さな集落ですが、かつてはトビウオ漁で栄えた漁村。

漁港の入り口にはヱビス様もちゃんとお見守り下さる集落の、

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小高い丘からひと飛びし、

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浜に降り立つ様を想像。

中間の浜は知る人ぞ知る島のサーフィンスポット。

情緒あふれる集落の公園に、トイレや更衣室やシャワールームを設置して、

サーファーとフライヤーが交流する場をつくればどんなに楽しかろうと。

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ついでに、バス停に飾ってある写真、

かつて走ったボンネットバスの復活も。

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などと想いを巡らせつつ、

黒崎の「緑の回廊」へ。

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しばらくぶりに「回廊パーク 黒崎公園」を散策しようと伺えば……

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トカラや口永良部を指し示す標識は朽ちかけ。

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まあ、そんなもんかと先に進むと、

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回廊を閉ざす電気柵。

回廊巡りは巡ることなく1分で終了。

これもまた、立派なトマソン

 

その茂みの合間から姿を現したのは黒牛。

「モウ」挨拶すれば、木立から何頭も出現。

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どうやら、

「太平洋と東シナ海が接する大海原とロマンチックな水平線のサンセットビューを楽しめるガジュマルロード」は、

牛の放牧場にされてしまったよう。

 

近くにはサンセットならぬ

「SUNRISE FARM 町営旭牧場」。

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この看板から先に進んだことが無かったのですが、

先日、役場の防災無線やHPで

「牧場管理作業員を募集します」のお知らせに接したこともあり、

※ちなみに給与は月額206,700円~ とのこと。

それで、ちょっと覗いてみようと。

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その事業規模にちょっとびっくり。

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一、十、百、千、万……4億3千万円。

どう考えても、元のとれる事業とは思えないのですが、

その牧草地は緩やかな斜面に広々と。

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海に開けて山を背負って、

いいじゃないですか!

パラグライダーのランディング(着陸場)や初心者講習場にぴったし。

 

そこで、

牧場の全景を確認しようと、

通称南部林道、正式名称は林道基幹道「屋久島南部線」へ。

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坂道をグイグイ登れば、

「フォレスト・コミュニティ総合整備事業 屋久島南部線 3工区起点」の標識に。

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その付近が牧場を見下ろせるポイント。

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いいじゃないですか!

少し先から東側を見渡せば、尾之間まで広がる緑の絨毯。

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この林道の適地に、

パラグライダーのテイクオフ(発進場)を作ることができれば、

いままで屋久島に関心を持たなかった全世界のフライヤーが集うこと間違いなし。

どんなアウトドアスポーツも危険を伴い、

万全の注意が必要ですが、

パラグライダーの負傷率は山登りよりも低いのも事実。

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馴染みのない方は、次の動画でイメージ作りを。

www.youtube.com

www.youtube.com

まずは、鹿児島のパラグライダースクールへ

https://windlove001.wixsite.com/windlove

興味を持った島民や島のガイドさんの体験ツアーなんぞを企画すると共に、

経験豊かなフライヤーを島にお招きして、

島でのフライトの可能性を探ってみてはと……

空への構(妄)想は拡がるばかり。

 

ところで、

先の標識の「フォレスト・コミュニティ総合整備事業」。

どんなもんかとネットで検索してみたものの、鹿児島県の事業はヒットせず。

替わりに京都府の資料を。

フォレスト・コミュニティ総合整備事業補助金交付要綱

第1条 知事は、森林を基軸とした居住環境の整備を図るため、森林居住環境整備事業実施要綱(平成14年3月29日付け13林整整第883号農林水産事務次官通知)に基づき、市町村、森林組合森林組合連合会及び知事が別に定める要件を満たしている団体が行うフォレスト・コミュニティ総合整備事業に要する経費に対し、補助金等の交付に関する規則及びこの要綱の定めるところにより、予算の範囲内において補助金を交付する。

とのこと。

で、

「森林環境保全整備事業実施要領」を探してみると、

林野庁の資料が。

https://www.rinya.maff.go.jp/j/seibi/sinrin_seibi/attach/pdf/index-32.pdf

全26ページの資料の中には、こんな一文も。

3 森林資源循環利用林道整備事業 要綱に規定する森林資源循環利用林道整備は、

次により実施するものとする。

(1) 事業内容

意欲と能力のある林業経営体への集積・集約化が見込まれる、

資源豊富な人工林等に対して路網ネットワークを重点的に整備するため、

「路網整備に係る生産基盤 強化区域の設定について」 (平成30年2月1日付け29林整整第713号林野庁長官通知) に定める生産基盤強化区域内等において、

次の各事業を効果的に組み合わせて、幹線となる林道を整備すること。

 

これに基づいての「屋久島南部線」のよう。

トマソン化した黒崎回廊パークや

トマソン化の可能性潜む町営牧場や南部林道の未来を

大空から俯瞰してみることで、

島の新たなテイクオフが見えてくるのかもしれません。

 

次回は、

さてどこから島の「新しい生活様式」を探ってみましょうか。

 

敬具

 

6kakudo-tegami.hatenablog.com