屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

怖いのは宗教ではなくそれぞれの思想信条信教の自由を奪うもの

拝啓

六角堂の母屋には神棚が祀ってあるので六角堂は神道かと思わる方もいる様子。
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確かに恵比寿さんの福笹もあれば
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干支の縁起物と一緒に鬼火焚きで頂いた笹も吊るしてありますが
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それらは皆、ちいさな人である自身の驕りを戒め、多くのものに生かされているありがたさを反芻するための装置と言えるものかも。

六角堂の文庫はseiとshiがテーマ。聖の棚には日本古来の神さんや
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仏さんや
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親鸞さんや
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キリストさんやムハンマドさん
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その他諸々宗教に関する本があれこれ
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信仰というより哲学、文化習俗伝統とそれらが抱えた差別や平和にかかわる問題を考えるための材料です。

例えば屋久島の歴史を紐解く「屋久島の港町 一湊百年」という小冊子にある

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真宗信仰にまつわる対立や集団移住の話は興味深いものがあります。

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そういえば先日、「ものみの塔」の冊子を持った方がご来店。「ものみの塔聖書冊子協会」を傘下法人に抱えるキリスト教系の新宗教「エホバの証人」の信者数は全世界で約820万人、日本には約21万人いらしゃるとか。屋久島にもきっと信者の方がおられるのでしょう。

ちょうどそんな折、Amazonで注文した『平和と戦争の絵本4 非暴力で平和を求める人たち』(文:日良誠二郎、発行:大月書店)が到着。

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国家的暴力である戦争の機運が高まり、戦時下ともなれば、それに反対することは容易ではありません。裏切り者・卑怯者・非国民呼ばわりされ、不当な圧力や暴力を受け、逮捕拘禁処刑されることも。それに屈せず非暴力で暴力と戦い続けた人の信念と勇気に圧倒されます。

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その中には日露戦争中に兵役拒否したキリスト教徒とともに、日中戦争開戦後「〈人を殺してはいけない〉という教えを守りたいので銃を返す」と申し出て懲役刑に処せられた「灯台社」=ものみの塔の信者の話も載っていました。

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wikipediaによれば「エホバの証人」の信者は
・戦争に参加せず、兵役につかない。(良心的兵役拒否)
・国旗への敬礼、国歌斉唱は国家崇拝であり偶像崇拝であるとして行わない。
・格闘技に参加しない。
・他の宗教の冠婚葬祭に出席するか否かは「個人の良心」として各信者に委ねられているが、宗教的な行為には一切参加しないため事実上出席できない。
・反聖書的・異教由来とみなす七夕、節分、ひな祭り、キリストの誕生日といった宗教的背景のある行事を祝わない。
とのこと。

小・中・高校と一緒だったジャンというあだ名の女の子が給食のクジラ肉を食べなくても先生が無理強いしなかったこと。「今年は真面目に生きます」と書くつもりが「今年は真実に生きます」と彼女に書いて出した年賀状に対し、正月明け普通のはがきで送られてきた返信に「真実に生きるとはどう生きることですか?」と書かれていて焦ったこと。友人の葬式に参加できないと言った時、初めて彼女がエホバの証人の信者であることを知り、信仰というものの存在を始めて実感したこと。品行方正・成績優秀・敬虔無垢な彼女を通して多くのことを学びました。

偏狭な愛国心の押し付けや拙い歴史認識によるヘイトスピーチにが横行する今、自分と異なる者であっても、思想・信条・信教の自由を認めた日本国憲法の下でうした特定宗教の信者の行動や表現をもしっかり守るべきかと。恐れるべきは「異端者」ではなく、権力にとって都合の悪い人たちを権力にすり寄って忌避・非難してしまう己の弱さではないでしょうか。

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5月3日の憲法記念日を控える季節。少しばかり理屈っぽくて読みずらいですが、平和と戦争の絵本6『憲法で平和を考える』も一緒にお茶のお供にしていただければ幸いです。

敬具