拝啓
2月3日の午後3時半、
にこにこレンタカーのスバルR2でいざ、世界文化遺産「天草の﨑津集落」 へ。
※この写真はこの日の一番最後に訪れた大江天主堂前で撮影したR2
天草にはサイクリングロードが設定されているのでそのマップで位置をご案内。
天草市の中心本渡から島の中央を突き抜ける道路を約35㎞を走り、
50分ほどで埼津教会に到着。
近くにある「天草市﨑津集落ガイダンスセンター」で話を聞いている内に、閉館時間の5時を過ぎてしまい、残念ながら教会の中には入れませんでした。
トンビが一羽、静かなたたずまいの教会の十字架に、ずっと停まっておりました。
教会の脇の池のほとりにはマリア様が。
下からマリア様を拝んでいる修道女(信者)?がいるので「ルルドのマリア様」を模したものかと。
教会から100mほどの山手には諏訪神社。
この後の天草巡りでも各所に諏訪神社が。
その中心はどうやら本度にある諏訪神社のようにも。
本渡諏訪神社 - Wikipediaより以下一部抜粋
本渡諏訪神社(ほんどすわじんじゃ)は、熊本県天草市にある神社。二度に亘る元寇の折、本渡城主の天草大夫大蔵太子(あまくさだゆうおおくらふとこ)という女傑が水軍を率いて出陣し、諏訪大明神の御加護により戦功をいただいた神恩に感謝し、弘安6年(1283年)8月1日、天草氏領土内の総鎮守として諏訪大社より御分霊を奉じた神社。
境内から海を眺めれば、鳥居の向こうに埼津カトリック教会。
その階段下にはお地蔵さん。
静かな面持ちで道往く人をお守りしていらっしゃる様子ですが、
そのお顔がはっきりしないのは、ひょっとしたら廃仏毀釈によるものではないかと勝手な推測。
実は、レンタカー業者の方に送迎していただく間、島の信仰についてあれこれ訪ねたところ次のようなお答えが。
「天草はカトリックの島だと思われているけど、それはほんの一握り。多くは仏教徒です。」
島の信仰の歴史的経緯については、次のサイトでご覧いただくとわかりやすいかと。
天草の﨑津集落とは / 世界文化遺産「天草の﨑津集落」 / 天草市 (city.amakusa.kumamoto.jp)
(以下一部抜粋)
「天草の﨑津集落」は熊本県天草市河浦町に位置し、禁教期において仏教、神道、キリスト教が共存し、漁村特有の信仰形態を育んだ集落です
﨑津の潜伏キリシタンで漁業を生業としていた人たちは、デウスを豊漁の神として崇拝しました。
また、アワビやタイラギの貝殻内側の模様を、聖母マリアに見立てて崇敬するなど漁村特有の信仰形態が形成されました。
﨑津では、キリシタンと発覚しないよう、表向きは仏教徒や神道信者となることで宗教を偽装して生活していました。
そのため、仏教行事である盆には、仏壇や祭壇に魚肉を供え、おらしょを唱えていました。
※オラショとは、日本のキリシタン用語で「祈り」の意。ラテン語のオラシオ(oratio、祈祷文)に由来
さらに村人が寺院や神社に参詣するときは「あんめんりゆす=アーメンデウス」と唱え、宗教間の共存が図られていたことも判明しています。
検挙されたキリシタンは、自らの信心具を﨑津諏訪神社の境内に設置した箱に投げ捨てるように指示しました。
これに従った者たちは、「心得違い」として無罪放免となりました。
厳しい弾圧を潜り抜け、信仰を守り抜く「隠れキリシタン⇒潜伏キリシタン」の力の根源とは何なのか。
改めて考えさせられます。
そのあと向かったのは、
雪苔屋の熊ちゃんに是非見てきてくださいと教えられた「海上のマリア様」。
夕陽を背にしたマリア様のお姿が格別と聞きましたが、残念ながら雲がかかっておりました。
マリア様を正面から拝める漁船のチャーター便もあるとのことでしたが……
その「マリア像の夕陽展望デッキ」の脇には小さな祠が。
残念ながら祀られている神さんのお名前は判読できませんでした。
埼津集落についてご興味をお持ちの方はこちらをご参考に。
世界遺産の天草・﨑津集落で、美しい教会と海上マリア像に出合う旅│観光・旅行ガイド - ぐるたび (gnavi.co.jp)
埼津集落を後に、向かったのは大江天主堂。
こちらもまた世界文化遺産の一部。
教会の脇にはマリア様のレリーフ。
そして教会の下には、
やはりルルドを模したマリア様。
昔から思っていたのですが、キリストさんよりマリアさんの方が人々の信仰の対象になりやすいのではと。
それはちょうど、仏教でも如来さんより観音さんの方が多くの信仰を得ているのと似ているのかもと。
分けても慈母観音さんとマリア像との類似は特に。
救いを求める者にとっては、偉すぎるキリストさんや如来さんより、マリアさんや菩薩さんの方が身近に感じやすいのだとも。
とっぷり日が暮れ、7時過ぎに栄美屋旅館に到着。
天草の海の幸をたっぷりいただきました。
お刺身や天麩羅も美味しゅうございましたが、
鯖の西京焼きとアオサの味噌汁が格別。
ゆっくりお風呂を頂いて、部屋で明日の道程を。
【潜伏キリシタンからの学び】
◎鹿児島の隠れ念仏
天草の潜伏キリシタンから連想されるのは、
熊本から鹿児島にかけて存在した「隠れ念仏」。
隠れ念仏 - Wikipediaより以下一部抜粋
「隠れ念仏」とは権力から禁止された浄土真宗(一向宗)の信仰を、権力の目から逃れて信仰すること、或いはそれを行う者や集団を指す。
南九州の旧薩摩藩や旧人吉藩では、三百年にわたり浄土真宗が弾圧された。
かくれ念仏の歴史 | かくれ念仏 | 浄土真宗本願寺派(西本願寺) 本願寺鹿児島別院 (hongwanji-kagoshima.or.jp)
屋久島も薩摩の一部。
『屋久島の港町 一湊百年』(著者:林益人)には島の真宗の歴史の一辺が描かれています。
また屋久島には観音様を祀るお堂をあまり見かけませんが、小瀬田の恵比寿さんの近くにいらっしゃる観音様をこのブログで以前ご紹介。
島の仏教史から屋久島をとらえ直すのもまた意味があるのではないかと。
屋久島にあるキリスト教の教会として観光客が訪れるのは小島にあるカトリック教会。
このブログでもクリスマスミサの様子をお伝えしたことがあります。
現在、江戸時代に布教を目指して密航したシドッチ神父の記念館の建設計画も。
シドッティ記念教会 | 屋久島シドッティ記念館設立実行委員会 | 屋久島町 (yakushima-sidotti-museum.com)
一方、宮之浦にはプロテスタント ペンテコステ派の純福音教会があることを、島民でもご存じでない方が多い様子。
https://church.ne.jp/yakushima/
こちらはかつて尾之間にあった教会が移転されたものだとお聞きしたことも。
※『屋久町郷土誌』第一巻村落誌上より
なお、ネットで「屋久島 キリスト教会」と検索すると、まったく別の場所が表示されます。
カトリック屋久島教会(キリスト教会|熊毛郡)TEL:0997-47-2992【なび鹿児島】 (navikagoshima.com)
何人かの方に聞いてみたものの、その実態は知れませんでした。
また、先日は六角堂にエホバの証人の方が伝道に来られ、冊子を置いて行かれました。
平内で70年以上暮らしている島の住民だとのこと。
カトリックやプロテスタントなど一般のキリスト教はエホバの証人=ものみの塔をキリスト教と認めていないようですが、それでもキリスト教の一派かと。
いずれにせよ、屋久島ではあまり関心を持たれないキリスト教だからこそ、そこに焦点を当てることで、もう一つの屋久島の姿を見つけることができるのでは。
つづく