屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

もう一つの日常 夕陽に燃える花畑と松谷みよ子の絵本

拝啓

屋久島南部の小島集落。

県道からシドッチ記念カソリック教会に向かう道路の西側にはコスモス畑。

コスモス(cosmos)の名はギリシャ語のコスモス=秩序・調和・美しいが由来。

沈みゆく夕陽を浴びて燃え立つようなコスモスを見ていると、「世界の調和」が燃え尽きていくような感傷に。

 

道路を挟んだ東側はひまわり畑。

まだ蕾が半分以上。例年12月には咲きそろっています。

 

ヒマワリはウクライナの国花であると同時にロシアの国花。

ウクライナやロシアの正教会では、聖枝祭(キリストのエルサレム入城を記念する祝日)前の40日間は一部の食品を断食。
ほとんどの油脂食品が禁止とされる中、16世紀に北アメリカから伝わったばかりのひまわりは禁止リストに載っておらず、断食中の貴重な油分の食糧として民衆に広まったのだとか。

そのロシア正教会のキリル総司教プーチン大統領を、悪魔払いをする「チーフ・エクソシスト」と呼んだとのこと。

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対立と確執はロシアとウクライナの宗教界でも。

神は何を望み給うか。

 

ひまわりの花言葉は「あなたを幸せにします」「あこがれ」などが知られていますが、

大輪のヒマワリは「偽りの富」という花言葉も。

【ひまわりの花言葉】本数・種類・色ごとの花言葉の意味や由来、プレゼントやプロポーズに! | 庭革命株式会社

ひまわりの花言葉とは?意外と知られてない意味を全て解説! | kurashi-no

 

ロシアのウクライナ侵攻により双方の多くの兵士、ウクライナポーランドの住民の命が失われ、電力水道などのインフラ破壊により凍える冬の暮らしを強いられる住民、祖国を離れて暮らす人々、夫や父や息子を戦場に送った家族の辛さ切なさ、不安と恐怖と怒り。

ウクライナと日本の時差は7時間。

屋久島の夕陽は7時間後のウクライナの夕陽。

 

そんな思いを抱きながら六角堂に戻って探し出した三冊の絵本

 

その一冊は、

先日、屋久島を訪れてくれた大学時代の友人との談話で話に出て、その時は見つからず、やっとのことで本棚から掘り出した絵本。

 

松谷美代子文・味戸ケイコ絵の新編・絵本平和のために5『わたしのいもうと』偕成社、初版1987年)

転校先の小学校でいじめを受け、引きこもり、その数年後にひっそりと死を迎えた「いもうと」のことを綴った姉が松谷みよ子に送った手紙から生まれた絵本。

 

自分と違うものを許さな差別がいじめを生み、戦争をも生む。

 

そんな思いで描かれたこの絵本は発表された35年前に大きな反響を呼び、今も読み継がれています。

そして後の二冊は、

共に松谷美代子・文、司修・絵による作品。

『わたしのいもうと』の10年ほど前に編まれた「絵本・平和のために」シリーズ。

その1が『まちんと』、その4が『ぼうさまになったからす』

 

『まちんと』は、アメリカ軍が広島に投下した原爆で身を焼かれ、今も鳥になってトマトを欲しがり「まちんと まちんと」と鳴いている三歳のままの女の子の話。

 

『ぼうさまになったからす』は、ある日村のカラスがすべて飛び去り、戦場で死んだ村の女たちの夫や父や息子の弔いに海を渡って飛び立ち、戦争が終わってから戻ってきたという話。

 

今日も六角堂の東の海は朝焼けに染まって始まり、

西の空は夕焼に包まれて暮れました。

 

138億年の宇宙の歴史の中での、

掛け替えのない瞬間。

であるはずの一日。

せめてどの教室にもいじめがなく、

どの家庭でも職場でも暴力がふるわれず、

どの国にも戦乱を起こさせず、

死にたくない人が殺されずに済む世の中に。

 

そう思わずにはいられない、

もう一つの日常の一コマ。

 

11月30日㊌には六角堂で、

モンマサラさんの間借りカフェ開催。

https://www.instagram.com/monmasala/?hl=ja

www.instagram.com

併せて湯泊の「珈琲はまゆ」さんがドリンクをご提供下さいます。

 

よろしければ絵本なども手に取りながら、

ゆるゆるお過ごしくださいませ。

※ ご予約は直接モンマサラさんに電話かSMSで。

 

敬具