屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島ほんの気持ちばかり第4回 デイビスで出会った極楽と地獄

拝啓

今年の日本列島は記録的な厳寒と豪雪。屋久島でも奥岳ばかりか、里にも積雪が見られる立春過ぎ。それでも県道沿いの寒緋桜はそろそろ散り染めで、たわわなタンカンが春の近いことを教えてくれる屋久島南部。

先週、そんな麦生の里のCafe & Cottage Davisさんへランチを頂きに。当日のメニューは……

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頂いたA Lunch「松田さんの美味しい聖護院蕪と緑の春野のスパゲッティー」

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程よい触感に茹で上がり浅緑に染め上がった蕪やパスタが春の香りたっぷりに。

デザートのシルクスイートのスウィートポテトと自家製アイスクリーム」も絶品。

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熱々スウィートポテトにのっかったアイスクリームがトロトロ溶けて極楽至極。

そんなデイビスさんの書棚にはイタリア系の料理本の数々と共に並んでいる個性豊かな本の内

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目に留まったのは石和鷹著『地獄は一定すみかぞかし 小説 暁烏敏』

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真宗大谷派の改革を推し進めつつ女性スキャンダルに明け暮れた僧侶暁烏敏(あけがらす はや)を軸に、モラルと信仰の在り方が描かれた長編小説。20年ほど前、これを読んでいかばかりかのショックを覚えたことを思い起こしました。

タイトルの「地獄は一定すみかぞかし」は親鸞『歎異抄』にある有名な一節。諸国から極楽(浄土)への道を教えてほしいと尋ねてくる者達の前で親鸞は答えて曰く。「微塵の善もできない私(親鸞)は、地獄のほかに行き場がないのである」と吐露し「この上は念仏を捨てようと親鸞に同心して念仏を信じたてまつろうとも、おのおのがたの、勝手になさるがよかろう」と語ったとか。

洋画が飾られクラッシック流れるデイビスさんで極楽アイスを頂きつつ、煩悩にあがく人との出会い再会。まさにこの世は地獄極楽綾なす世界と感嘆しつつ、口福に満たされてお店を後にいたしました。

敬具

追伸
『地獄は一定すみかぞかし 小説 暁烏敏』は六角堂の書棚にもございます。よろしければお手にとってゆるゆるおろおろご覧ください。



これまで紹介した「屋久島ほんの気持ちばかり」インデックス

前野隆司『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』
荒木経惟『いい顔してる人』
鍵井靖章『アシカ日和』
高田渡『バーボン・ストリート・ブルース』