屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島ほんの気持ちばかり第1回 温故知新の雪苔屋

拝啓

日向にハイビスカス、日陰に山茶花の咲き誇る六角堂の11月。日中はTシャツ一枚で過ごせても日暮れともなればジャージを羽織りたくなる島の秋。スポーツの秋とは無縁で、芸術の秋とはなかなかならず、食欲の秋に溺れていてはまたお医者様のお叱りが。

そこでBook Cafe Eat Herb を運営する六角堂のブログに相応しく、読書の秋にちなんで新企画「屋久島ほんの気持ちばかり」 をスタートすることに。

なんのこっちゃかと言えば、島の様々なお店(主に飲食店)の片隅に備えられた“本棚”のご紹介。ことによると「売り物」以上に滲み出るその店のスタンスや店主の思いを発見する……「んなもん暇つぶし以外の何物でもないわ」との批判を恐れぬ試みに、島を活性化させるヒントを見付けることができるかもしれません。

その第1回は六角堂となじみの深い宮之浦の「雪苔屋」さん。窓際にひっそり並べられた本棚を漫然と覗けば

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なんの脈絡もなさそうにも見えますが、その核となる本は

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高田渡の『バーボン・ストリート・ブルース』 ではないかと。高田渡は1960年台から70年代にかけて「自衛隊に入ろう」や「五つの赤い風船」で一世を風靡したフォークシンガー。店主の世代にとっては遠い過去の存在であるはず。にもかかわらずその自伝を店の本棚の片隅に置くところに、自ら歌唄いである店主の、雪苔屋の何を見るや……

訪れた11月5日は松本一哉氏の「落ちる散る満ちる リリースライブ」が催され

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「たべるりんごのホットレモン」と「ブラウニー 紅の夢(りんご)入り」を頂きつつ

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日頃とはレイアウトの違うその店内に据え付けられた楽器のようなおもちゃのような、そして黒幕。

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自己紹介の後おもむろに始められた演奏は初めて接する“音”でありながら、なかなかに興味深く親しみ深く深いバイブレーションに揺さぶられたひと時でした。それを響かす黒幕の中身は

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銅鑼でした。

翌日、所用ついでに雪苔屋に立ち寄るとちょうどフェリー屋久島2の出航。

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そこには年明け4月には再び屋久島を訪れるという松本氏の手を振る姿が。

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温故知新。新たな音を紡ぎ、新たな音を繋ぐ雪苔屋が末永く繁盛いたしますように。

敬具

PS.
松本一哉氏の人柄は「blog - NeKi 額縁と珈琲」の10月14日の記事で
“音”はYouTube 松本一哉 / 水のかたち Trailer.1で
接することができます。