屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

神知らぬ人の内にも祈りあり

拝啓
 
六角堂のある麦生(むぎお)集落の西隣は原(はるお)。そこには屋久島三大滝の一つ「千尋(せんぴろ)の滝」があり、その展望所近くにはモッチョム(本富)岳への登山口があります。そこに鎮座ましますのが千尋嶽神社。
 
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原初的かつ土俗的な信仰の場は仰々しい神殿や仏殿などなく、かつまた人々の祈りを伝えようとする意思が働いている場は、ひっそりとして人目に付かなくともちゃんと手入れされた場なのだということをしみじみ感じさせられる祠です。
 
この祠の脇には屋久島人々が今もなお引き継いでいる「屋久島岳参り(たけめ)」の習わしを伝える看板が立っています。
 
山の神の領域と人の領域を分ける場が詣所・守所(お札所)であり、この千尋嶽神社はその山へ詣でる入口=山口お札所だとのことです。
 
無病息災・五穀豊穣・大漁祈念を願うのは人が人として存在し始めた原初からの営みでしょう。そうした素朴な願いの場が屋久島の此処彼処に残っています。
 
その一方で、こんな祈りの場もあります。
 
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千尋の滝展望台駐車場の脇に立つ看板。順路に従って進むと、台風でか乱雑に倒れた柵に沿って散策路があります。その先に待つのは……
 
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木組みの塔の上に吊るされた鐘、そしてその柵には……
 
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小さな絵馬が吊るされていました。
 
何とも「商業的」な場所と思われる方もいらっしゃるでしょうが、それはそれ。ささやかであっても切ない願いが掛けられた場所を大切に守っていきたいものです。
 
敬具