拝啓
9月30日に島を離れて京都に3週間ばかり滞在することに。
10月1日に緊急事態宣言は解除されたとはいえ、暮らしが元に戻ったわけでもなく、
この先この国はどうなるのか……
規模も歴史も形態も全く違えど、
島と同じく観光産業を基盤とする京都の町を通して、
屋久島の課題を探ってみたいと思った次第。
これから数回に渡って「島の外から明日の島を見る」を。
今回は、台風16号ミンドゥルさんの影響もあり、
屋久島町民は離島カード割引で7,950円。
しかし、観光のお客様の片道料金は15,900円。
鹿児島から神戸まではスカイマークを利用。
ただ9:05発の便と20:30発の2便しかないため、
3時間半ばかり鹿児島空港で乗り継ぎの時間つぶし。
「たす得」で6,300円でしたが、通常料金は14,000円。
料金は340円。
そこからJRの新快速で京都駅まで約50分。
料金は1,100円。
京都駅前ではライトアップされた京都タワーが、
遠路はるばるの身をお出迎え。
何やらほっこり。
初めてのお客様ならきっとワクワク。
翻って、屋久島の空港や港はどうか?
宮之浦の高速船乗り場には「ヤクシカ」のくたびれた張りぼてが。
空港やフェリー乗り場には「らしい」もののお出迎えは皆無。
島の玄関に入ってすぐ、
「着いたぞ~~~」の気分を噛み締めさせてくれる工夫をが欲しいところ。
そもそも、観光案内所が空港や船着き場の中にないということ自体変!
と感じるセンスを失いたくないものです。
今回の麦生の六角堂から約8時間の移動、
片道の交通費は締めて15,690円。
離島カード割引がなければ23,640円(往復47,280円)
ちなみに、
大阪伊丹空港からの
JAC直行便の往復割引料金は
35,810円×2=71,620円
75日前からのウルトラ先割で
16,260円×2=32,520円
随分安くなるようにも見えますが……
伊丹から奄美大島まで
ウルトラ先割で往復すると、
7,260円×2=14,520円
5,800円×2=11,600円
飛行機代だけを考えると、まともに太刀打ちができません。
おまけに、島についてからのバス料金の高さ!
三宮から京都までに掛かったJRの1,100円とほぼ同額で行けるのは、
麦生から時計回りで大川の滝まで47分、
ちょうど1,100円。
麦生から反時計回りで宮之浦港入口まで54分、
20円オーバーの1,120円。
二泊三日でも、二人連れならレンタカー借りた方がなんぼか早くてお得。
はたまた、
久しぶりにバス停に停車する京都市バスを眺めていると、
停車と同時にプシューと車高が下がり、
乗り降りしやすくなってから扉が開くノンステップバスがほとんど。
京都市交通局:バス車両の70年で確認すると、
定員31人の小型ノンステップバス(三菱 PA-ME27HL)も走行中。
高齢者や小さな子供たち、
大きな荷物を背負い引き摺る観光のお客様が主なお客様。
おまけに時間帯によってはガラガラの屋久島のバス。
超低床バスや小型バスを導入することでこそ、
バス会社の「本気度」が示されるというものでは。
鹿児島市内以外、めったに島外に出ることのない住民。
日常生活でバスに乗ることなどほとんどない島の大人たち。
そうした住民や行政担当者の、
飛行機やバスの料金の高さ・不便さに対する感受性が低いのは事実。
今後ますます増えていくのが……
車の免許を持たない・取らない日本の街の若者。
免許を返納する高齢者。
国際免許を持たない外国からのお客様。
六角堂で長期ご滞在されるお客様の中にも、
レンタカーを使われない方も案外いらっしゃいます。
ますます主流になる個人旅行のお客様や、
移住を検討する街にお住いの方々に寄り添った「誘致対策」を打ち立てるには、
今までの地元感覚を払しょくすることが不可欠かと。
そしてもう一つは新たなお宿のスタイル。
京都に到着した晩に泊まったのは、
京都駅八条口のビジネスホテル。
徒歩2分ほどのホテルではハロウィンのオバケたちがお出迎え。
あくる10月1日は病院で入院のためのPCR検査。
かつての職場を遠望しつつ病院へ。
陰性の結果が出て入院OKとなった6日までの5泊は、
伏見区墨染の「民泊」に滞在。
元々中国、韓国を中心とした外国人観光客を当て込んだ民泊は、
京都市内でも乱立しており、
住環境悪化を懸念する地域住民から建設反対の声がそこかしこに。
このお宿の周辺には何枚もの「反対!」ビラが。
それがこのコロナ禍で、利用しているのはワケアリ日本人ばかり。
チェックインやチェックアウトも含めて、
滞在中一度もお宿のスタッフとは顔を合わせることのないシステム。
部屋はキッチンこそありませんが電子レンジと冷蔵庫はあり、
バスルームと洗面はゆったりでもちろんWi-Fi完備。
周りには飲食店やコンビニやコインランドリーもあって駅まで徒歩2分。
それなりの料金で一週間ほどの滞在ならまあまあ過ごせます。
ただ、
地元住民との触れ合いや生の地域情報を求めるお客様には不向きかも。
2021/08/04 の南日本新聞の記事でも指摘されたように、
屋久島のお宿の在り方や観光客誘致の仕方にも、
様々な知恵や工夫が必要になってきていることを実感。
次回は、食に関するレポートを。
敬具