拝啓
屋久島を含む九州南部は5月11日に梅雨入り。
平年より19日早く観測史上二番目に早い梅雨入りだとか。
今日12日の午前中、屋久島には「土砂災害レベル3」の大雨危険度通知が出され、
昼過ぎには大雨警報も出る本降りに。
六角堂の敷地を流れる沢も一気に増水して轟轟の濁流に。
母屋の脇のティーツリー(メラレウカ)も激しい風雨に揺さぶられ、
鹿児島の県花カイコウズ(アメリカデイゴ)の深紅の花弁も雨に打たれてハラハラと。
雨に打たれる紅白の彩りを一人で具えているのが、
麦生のポタニカルガーデンで分けて頂いたばかりのゲンペイクサギ=ゲンペイカズラ(源平葛)。
シソ科の蔓性低木で萼が白で花冠が赤いことから源平(源氏の赤と平家の白)の名に。
そんな花の可憐さを彷彿とさせてくるのが、
永久保の雪苔屋さんで始まったばかりのかき氷、「栃木のいちごミルク」。
ミルクを掛けるとフカフカの氷がシュワ―――ッとくぼんで、
イチゴの粒々がくっきりと。
市販のイチゴシロップとは全く別物の風味と触感。
これから始まる長く蒸し暑い島の梅雨を乗り切る力強い味方です。
一方、真白に開いていたクチナシも雨に打たれてすっかりクチナシ色に。
この真っ黄色のクチナシと赤いツルバラを彷彿とさせてくれた逸品は……
しばらくぶりに伺った、安房の鱗屋さんの「ハガツオの漬け丼」。
しっとりとして滋味豊かなハガツオの漬けと黄身の相性は抜群。
付け合わせの玉ねぎのピクルスが漬け丼の味わいをぐっと引き立ててくれていました。
さて、こんな色鮮やかで楽し気な屋久島ですが、気になることもあれこれと。
それは島の防災・防疫に対する行政の姿勢。
梅雨入り前日の10日、屋久島では再び新型コロナの感染者がお一人。
鹿児島県が発表した「(5月11日)の鹿児島県記者発表資料」によれば、
10代男子生徒で自宅療養中とのことでしたが、役場のHPの緊急情報では詳細報告なし。
さらに、翌日の11日には50代の役場職員1名の感染が確認。
しかし防災無線では役場庁舎の消毒のため12日は閉庁との連絡が流れるのみ。
豪雨のため防災無線がよく聞き取れなかったので、感染状況を確認しよう役場のHPを開けば……
※詳しくは、鹿児島県ホームページでご確認ください。以下ボタンをクリックするとページが移動します。
で、鹿児島県のHPに飛び、
やっと辿り着いたのが記者発表資料。
なんで、こんな手間を掛けねば地元の状況を知ることができないのか。
おまけに、12日の夕方には町のHPの「緊急情報」のインデックスから感染や役場の閉庁記事の項目が削除され、
「新型コロナウイルス感染症 町内感染者の発⽣状況」のページを開いても
20210512_Infection_status (yakushima.kagoshima.jp)
感染経路は分からず、個々人が必要な判断をするための情報はなし。
個人情報の保護に気遣ってのことかもしれませんが、町役場の発表が県の発表より情報量が少ないのは不可解。
ましてや、役場や鹿児島県のHPを確認するためにスマホやパソコンを使いこなせず、耳が遠くなったお年寄りが、あの一回きりしか放送されない防災無線でどれほどの内容を受け取れるのか疑問。
憶測による誹謗中傷を避け、有効な感染防止策を取りたいのであれば情報発信にもっと丁寧さや工夫が必要かと。
思い起こせば2年前、5月18日の豪雨災害。
今でもネットには当時の記事が残っています。
屋久島で記録的大雨 土砂崩れで観光客ら262人孤立か
2019年5月19日 0時50分
18日午後、島東部の複数箇所で土砂崩れが発生。登山口からふもとまで観光客を運ぶバス4台が下りられなくなり、191人がバス3台と小屋の中で避難。このほかバス1台に24人が取り残されている。また、国の自然休養林「ヤクスギランド」に向かう県道沿いでも土砂崩れが発生。バス1台と車10台が下りられない状態で、ヤクスギランドの施設で34人が救助を待っている。13人が山小屋にいる。
陸海空3自衛隊、鹿児島県屋久島に災害派遣 豪雨による孤立者を救助 | FlyTeam ニュース
活動規模は人員約80名、航空機2機、連絡員4名、連絡員車両2両で、現地では、孤立者の下山に際し、ロープの展張等による支援などを行いました。
その翌月の屋久島町の「町報 No.141 令和元年6月号」のトップ記事は、
あのいわくつきの「祝 新庁舎落成」。
その「おめでたい」記事の後に、同じ日に起きた豪雨災害の報告記事「まさかは必ずやってくる」。
コロナの感染拡大にばかり気を取られている昨今ですが、
年々ひどくなる豪雨や台風による風水害や、
「必ずやってくる」南海トラフ大地震による大津波への備えを忘れぬよう、過去の災害履歴を追ってみることも大切かと。
ただ、不安に絡め捕られてばかりいては心の余裕を失ってピリピリするばかり。
そこで警報解除後、カフェに飾っていたヤクシマアジサイを
明日をよい日にできますように。
敬具