拝啓
屋久島の緑華やぐ爽やかな季節。
観光のお客様の姿も絶え、ひっそりとした島のBook Cafeから今回も、
#ブックカバーチャレンジと里巡り散歩のご紹介。
5月7日 安倍公房著
「砂の女」
#7日間ブックカバーチャレンジ 第2ラウンド #day2
閉じ込められた空間から脱出しようともがいていたのに、
いざ脱出・解放の手掛りを見付けた時、
出ていくことにひるんでしまう人間心理の妙。
45年前、この本で読書感想文コンクールに応募し賞を頂きました。
その時の同級生、すみ いつこさんにバトンをお渡しします。
コメント欄
究極の籠り
ちんたら散歩風景~麦生
ひっそりと開くモンステラの花
散歩に出かけたのが遅く、帰る頃には洋上の満月。
5月8日 夏目漱石著
「こころ」
#7日間ブックカバーチャレンジ第2ラウンド #day3
「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」
漱石の『こころ』を読んだことのない人でも何処かで耳にされたことがあるのでは。
ただこの台詞を「ちゃんと向上心を持って前向きに生きろ!」と人を励ますつもりで使ってはまずいかも。
この裏には「復讐以上に残酷な意味」があったのですから。
下 先生と遺書 四十一
Kが理想と現実の間に彷徨してふらふらしているのを発見した私は、ただ一打で彼を倒す事ができるだろうという点にばかり眼を着けました。
そうしてすぐ彼の虚に付け込んだのです。
私は彼に向って急に厳粛な改まった態度を示し出しました。
無論策略からですが、その態度に相応するくらいな緊張した気分もあったのですから、自分に滑稽だの羞恥だのを感ずる余裕はありませんでした。
私はまず「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」といい放ちました。
これは二人で房州を旅行している際、Kが私に向って使った言葉です。
私は彼の使った通りを、彼と同じような口調で、再び彼に投げ返したのです。
しかし決して復讐ではありません。
私は復讐以上に残酷な意味をもっていたという事を自白します。
私はその一言でKの前に横たわる恋の行手を塞ごうとしたのです。
(青空文庫より)
https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/773_14560.html
写真の新潮文庫はかつて授業で使っていた時のもの。
全員この文庫を一冊買い、「色」や「形」を表す言葉など、キーワードに付箋を付けて作品解読。
この本のバトンは、このチャレンジに度々「いいね」を下さっている高橋瑞穂さんに渡します。
コメント欄
問題のページ 新潮文庫P282
ちんたら散歩風景~
田んぼに映るモッチョム岳。
従業員が「おかえりやす」。
5月9日 安克昌著
「心の傷を癒すということ」
#7日間ブックカバーチャレンジ 第2ラウンド #day4
コロナ災禍は自然災害というよりも福島の原発事故に似て人災の趣き深し。
ウィルスが人を殺すのではなく、
国家が人々の暮らしを追い詰めている。
閉塞状況の中で一番被害を受けやすいのは社会的弱者。
そして子供たち。
時事通信社が報ずる次の記事は見落としたくないもの。
「学校再開後のいじめ自殺警戒 「コロナストレスも」―専門家」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020050800703&g=soc
今年の1月に放映されたNHK土曜ドラマ「心の傷を癒すということ」
https://www.nhk.or.jp/drama/dodra/kokoro/
のモデルとなった故安克昌医師の記録。
今なすべきことが見えてくるような気がして読み返しました。
この本のバトンは、死者6,434人を出した1995年1月17日の阪神淡路大震災を潜り抜けた、Chiaki Moriさんに渡します。
コメント欄
安医師がなくなったのは39歳。3人目の子供が生まれた二日後でした。
ちんたら散歩風景~栗生
今回は地元集落を離れての散歩。
いつもより余計にご案内いたします。
栗生橋のたもとに車を止めてスタート
栗生川の左岸を上流に向ってテクテク歩けば鹿の猟犬小屋
さらに進むと何やら罠が
猿罠。ちゃんと設置者と連絡先も記入。
さらに進むと今度は鹿小屋。
その奥には何と六角形のトイレまで。これも何かのご縁。
その先に「シャクナゲの森公園」の奥の出口。
ここまで30分以上歩いて出会った人はゼロ。
県からの三密対策指示なのでしょうが、日頃から閑散とした憩いの場を閉鎖するとは。
バリケードの向こう側でひっそりと咲き残るシャクナゲの愛おしさ。
敬具