屋久島ラーメンの細道第27回ガジュマルの門をくぐらん麺の湯気

拝啓

この10月からスタートしたNHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』は日清食品の創業者夫婦をモデルにしているようで、開始早々から屋台のラーメンを啜る場面が頻発。

漫画deまんぷく

https://www.nhk.or.jp/mampuku/manga/

そんな秋の一日、とある島のごはん屋さんで女将さん曰く、「島ではソバだろうがウドンだろうがラーメンだろうが、出汁は甘く麺は腰のない柔らかなゆで加減にしないと、高齢者が多いのに歯医者が少ない島のお客さんには常連になってもらえない」と。

島民1万3千の3分の1近くが移住者で、島生まれでも一度は都会生活の経験があったり街からお嫁に来られた方も多いので、堅麺やこってりあるいはすっきりスープを好む方も多いのではと申し上げると、昨年オープンした中間集落の「つわの花」さんがラーメンを始めたので試しに行ってみたらということに。

それではと向かった中間川のほとり、ガジュマルのアーチの奥。

店先の看板を見れば、おお、確かに「ラーメンおにぎりセット」の表示。しかも、しょうゆ味の但し書き。

勇んで扉を開けると……なんと本日の営業は終了しましたとのこと。そこで翌日伺うと、フェリーの欠航で麺が品切れ。それで諦めてならじと三度目に伺うと、「今日はラーメン大丈夫です」のお答え。

ほっとして、店内でメニューを再確認

焼き魚定食も気に掛りましたが、ここは初志貫徹と

ラーメンおにぎりセットを注文して待つことしばし……

形の良いおにぎりとS＆Bテーブルコショーを従えてラーメンの登場。

チャーシューとシナチクと海苔が載っているのが昭和の趣き。

まずはレンゲでスープを掬うと、すっきりとした黄金系、期待満々。

ひと匙口に運べば、来店前の予想を裏切り、どんぶり前の期待に応えてスープは程よい塩味のしょうゆ味。麺を啜ればゆで過ぎない麺の舌触りと歯ごたえ。テーブルコショーが味を引き締め、何やら瀬戸内海沿いの尾道ラーメンを彷彿とさせる味わい。これで600円とは、なんともお財布にも優しい一品。ラーメンの由緒由来が何であろうと、島の民家の空気と一緒に頂くラーメンには家で食べるラーメンにはない価値があります。

厨房で腕を振るう奥様がどちらのご出身か伺いそびれましたが、お運びして下さった女性は姫路から移住されたとのこと。