屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

ほのぼのとナナフシ止まる師走かな

拝啓

いよいよ師走。「去年今年貫く棒の如きもの 」とは高浜虚子の新年の句。人間の営みなどとはお構いなし、超然と流れていく「時」のスケールや力強さをイメージした句でしょうか。

日常の細々雑多な煩いなどをぶち抜いていく「時」のどうしようもなさに脱力してしまいがちなこともしばしばですが、そんなささやかな日常を愛おしむ暮らしそのものが人間の人間たるあり方なのかもしれません。

そんな師走の穏かな小春日和に誘われて、車を走らすこと約15分。伺ったのは尾之間に先週オープンしたばかりの「キッチン・ボンクラード」さん。JRホテルの手前の小道を左に居れ、こまどり館の前までくると道の向こうにお店ポツリ。

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1時過ぎでしたが、駐車場は満車に近く、先のお客様の車が出られるように店先に車を止めて店内へ。ちょうど席を立たれたお客様の代わりに腰を下ろしたのは、目の高さに水平線の広がるなんとも気持ちの良い解放感に溢れた一等席。瀬渡しをする船が立てる波しぶきの音まで聞こえてきそう。

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メニューボードの誤字と訂正はオーナーさんの愛敬がにじみ出て。

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“MENE ✖ U”の頭にある「プレートランチ ハンバーグ」を注文。ぼんやり海を眺めながら待つことしばし……

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一掬いのミネストローネの香りに軽い深呼吸、口に含むジャガイモの程よい食感が心地よく、爽やかな酸味がハンバーグの肉の旨みを引き立ててくれました。

よく見ればご飯は六角形の山形。

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何やらご縁が深まったようでうれしく思ていると、網戸にナナフシが。

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前足?二本を頭に擦り合わせた姿は「七」ではなくて雪の結晶のような六角模様。オーナーさんに伺えば「島ではナナフシのことを竹虫と呼ぶんです」とのこと。

島の自然と手作り感たっぷりの美味しさを満喫できるほのぼのしたお店が、末永く続くことを願わざるを得ませんでした。

敬具