屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

寒き世の人に熱あれ光あれ

拝啓
 
祈りの場といえば、神さんや仏さんの前でひざまずく宗教的な場を思い浮かべるのが通例でしょう。しかし、日々の暮らしの衣食住にまつわるあれこれが、少しでも良くなりますようにと人々が祈るような気持ちで見つめているのは政治の舞台かもしれません。ただ、宗教と政治は人々の平安と豊かさを願う思いを実現するためのものなのでしょうが、共に争いやいがみ合いの根源となりがちなのが辛いところです。
 
この数日、急に冷え込んできた屋久島ですが、今日はついに荒天のためフェリー屋久島2も欠航になってしまいました。そんな冷え冷えとした島のあちこちに、なぜ今か分からぬまま700億円を掛けて行われる衆議院議員選挙の「ポスター掲示場」が立ちました。島が属する鹿児島県第5小選挙区には二人の方が立候補されました。
 
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安房から尾之間までの県道沿いにある政党のポスターも、選挙を前にして増えたようです。
 
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お金を儲けたい、弱い立場の者も安心して暮らせる国にしたい、そして人を殺して平気な人間にはなりたくない。みんな当たり前の願いです。
 
島に来て、県道を走るたびに気に掛かる手書きの看板が麦生の土産物屋ポン・タン館のすぐそばにあります。
 
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「憲法九条を守る屋久島の会」という団体が立てている看板です。
 
海軍の予科練で終戦を迎えた父と、東京大空襲で焼け出されて疎開した母は、戦争に対する姿勢が大きく異なっていて、それが家庭の不和の根っこにあったのではないかと思うことすらありました。そうしたことが影響したのでしょうか、学生時代にアルバイト代で買い求めた本の内の二百冊ばかりは「戦争」にまつわる児童書や絵本でした。
 
六角堂イートハーブに眠っていたそれらの本を手に取って頂けるよう、ロフトの絵本コーナーを模様替えしました。次週のおすすめ絵本は「長新太特集」にする予定ですが、その内の一冊「へんですねえ  へんですねえ」をご紹介します。
 
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この絵本は1972年に「ベトナムの子供を支援する会」が発行し、売り上げの半分はベトナムに「母と子保健センター」を建てるために使われました。文は今江祥智、構成は田島征三です。はたして今もなお、この絵本を持っている人がこの国にどれほどいることか。少なくともamazonで買うことができないのは確かです。
 
六角堂イートハーブの新装絵本コーナー、是非お立ち寄り下さい。Hotなカレーと香り高いコーヒーでおもてなし致します。
 
敬具
 
追伸
自民・公明・共産のポスターしかUPしていないのは、その他の政党を無視したからではありません。島には他の政党のポスター自体が(少なくとも県道脇には)掲示されていないのです。島は、どうやら野党乱立の世相とは無縁のようです。
 
追々伸
選挙間近の12月9日、県道脇に社民党のポスターが立てられていました。
 
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宮之浦から安房までの県道脇の政党ポスターは、共産と公明が競うよういくつも立ち、自民がちらほら、社民は2本。民主も維新も生活も次世代もみらいも幸福もなく、屋久島はまるで昭和の世界です。