拝啓
時折小雨がぱらつく屋久島麦生でしたが、所用で西の平内まで足を運ぶと柔らかな秋の陽射しが県道にあふれていました。
平内を越えて湯泊まりを過ぎると、其処此処に芙蓉(フヨウ)の花が咲き乱れていました。
風に揺れるススキの開きかけた穂が、季節の移ろいを感じさせてくれました。
さて、平内の手前の小島集落にはカトリックの教会があります。「屋久島シドッティ記念教会」(屋久島カトリック教会)です。
この教会はキリスト教が禁教となった後の1708年、イタリアから日本に密航したシドッティ神父を記念して建てられた教会です。できれば神父さんにお話を伺いたいと思ってインターフォンのスイッチを押しましたが、無言。残念でした。やはり教会という場所は、迷える人間がふらりと訪れた時にはいつも扉が開かれていてほしいものです。
シドッティ神父の顛末については『密行 最後の伴天連 シドッティ』(著:古谷智子、刊:新人物往来社)で知ることができます。よろしければ六角堂の文庫で手に取ってご覧ください。
その小島集落には、屋久島のどの集落にもあるように神社があります。
小島には小島神社。大山積神(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%9F)を祭ってあるとの石碑がありましたが、その詳細は不詳。大きなガジュマルの樹の根方にある祠と石(神の憑代?)が、とても神秘的で風情がありました。
ただ、この神社にも宮司さんはおらず、静かに拝殿する場所になっていました。元来、日本の社はそうしたものですから、そうあるべく自然な姿のかもしれません。
これから折々、屋久島の人々の祈りの場所をご紹介して参りたいと存じます。
敬具