拝啓
島のカレーを紹介する『屋久島カレー事情』にも一区切りをと、
向かった先は日頃足を向けることの少ない島の北部。
まずは、
「屋久島丼紀行第57回(最終回)屋久島最北端の親子丼」でご案内した、
一湊のなっちゃん食堂。
お店の奥には、ド~ンと大きな招き猫。
脇にも三匹並んでお客様をお出迎え。
おもむろにメニューを確認して、
カレーライスを(追加)注文。
開業10周年、30周年の飾り物やら地域の出来事が掲載された新聞の切り抜き、幾枚もののサインが記された色紙に溢れた店内に身を置き、
待てば、思い描いたとおりのカレー登場。
お冷のグラスにスプーンがつっ立っていないところを除けば、
まさに平成をはるかに越えた昭和のカレーライス。
ひと匙口に入れると懐かしいカレー粉の香り。
そして微かに和風出汁の風味も。
一湊だけにさば節か?と勘繰るも、それとは違うある種の懐かしさ。
「和風の香りはさば節ですか?」と問えば、
「だしの素をちょっと」とのお答え。
その気取らなさに敬礼。
次に向かったのは北緯30°24′72″、東経130°26′26″。
スパイシーなカレーが頂ける島最北端のカフェ、永田の「Sea & Sun」さん。
「Open」の標識を確認して急こう配の坂道を上がり、
遠く口永良部の霞む店内に入り、
メニューを確認。
メニューに載っているグリーンカレー以外に、今日はキーマカレーもあるとのことなので、これもご縁とキーマを注文。
しばし待つ間に、店内巡回。
その其処此処に、なっちゃん食堂とはまた異なる、ネコ大勢のお出迎え。
写真中央の石の雌猫さんは、なにやら一湊の恵比寿様とお友達のよう。
で、やって参りましたキーマカレー。
盛りっ盛りのサラダと、カレーのど真ん中に鎮座する卵のインパクト大。
赤インゲン豆やらヒヨコ豆やら、サラダの触感を楽しんだ後、
まずは皿の端からひと匙掬えば、ゆるゆる広がる優しいスパイスの香り。
おもむろにトンロリ卵をグチャーッと混ぜて、
卵と玄米の微妙な協奏に舌を委ねつつ、キーマカレーをハフハフと。
後から来られた観光のお客様も、随分とご満足なご様子で完食。
で、
こちらは屋久島商工会発行の「しょこパン商品券」が使えることを思い出し、
+200円で深煎りコーヒーを追加していただくことに。
ママさんと世間話をする中で、
コロナの影響深まり往く、島の飲食関連のお店の深刻さを再認識。
ご高齢者の多い永田では、お店を開けることもはばかられ、
じゃらい亭 さんも休業中。
ひとりしずかさんも大阪との行き来ができず長期休業。
理具庵さんは閉店されたご様子だとのこと。
See & Sunさんもまた、1月4日から2月末まで休業されるとのこと。
また、
宮之浦にある姉妹店の「海蔵's(seaglass)」さんは、
屋久島の繁華街に夜カフェ チャージフリーで気軽な夜のひとときを - 屋久島経済新聞 (keizai.biz)
夜の営業を控えつつ、お昼の営業は別の方に委ねているそう。
カレーはSee & Sunとはまた別物だそうなので、何時の日かそのカレーを頂こうと。
屋久島の魅力は、
懐かしいなっちゃんの味と芳しいSee & Sunの味わいの両方が共存してこそ、
島の未来を守る要は「人と自然の多様性」と心に留めつつ、
六角堂へとちんたらボチボチ。
敬具