屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島ほんの気持ちばかり第17回 ノマドの店先古本市 懐かしい人々との再会

拝啓

菅総裁辞任による自民党の権力抗争のニュースの陰でひっそり終わったパラ リンピック。

屋久島では一昨日3日の2名に続き、昨日4日にも屋久島町69例目、70例目となる2名の感染者確認のお知らせが。

町内の発生状況|人と自然と。世界自然遺産屋久島

ただ、久しぶりの雨のせいもあってか島の空気は秋の風情で弛緩気味。

 

そんな午後、

原のノマドカフェさんを訪れると、店先に古本市。

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店内には空席もありましたが、段ボールに詰め込まれた数十冊の本を探りながらお昼を頂こうとテラス席へどっこいしょ。

今回は、カオマンガイを頂くことに。

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ごそごそと箱から本を抜き出して品定めしている内に、カオマンガイの登場。

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ポットにカップ三杯分、たっぷり入った紅茶を啜りながら、

微かな風に吹かれてページを繰る至福のひと時。

お会計を済ませた後で投げ銭かごに自分なりに相応と思える玉をチャリリンと。

連れ帰った本は四冊。

 

一冊目は、

週刊金曜日 井上ひさし 永六輔 小沢昭一 この日、集合』(金曜日2006年8月刊)

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日本文化の一時代を築かれたお三方はすでに物故者。

井上ひさし 2010年4月9日没

小沢昭一 2012年12月10日没

永六輔 2016年7月7日没

本の内容は反戦護憲。

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六角堂で是非語って頂かねばと即決。

 

二冊目は、

小泉今日子 書評集』(中央公論新社 2015年10月刊)

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ノマドさんで一息入れるたび、何度もお会いした小泉今日子さん。

私より八つほど年下、1966年2月のお生まれで、アイドル時代には全く興味がありませんでしたが、年を重ねられるほどに何やら親しみが。

この書評の一つに井上ひさしさんの「イソップ株式会社」が。

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これも何かのご縁かと六角堂にお連れ致しました。

 

三冊目は、

小川軽舟著『俳句と暮らす』(中公新書2016年12月刊)。

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その第一章は「飯を作る」。

人の生き死にと食への執着のおかしみが題材とされた草間時彦の句に共鳴。

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六角堂の「食の棚」に置かせて頂きます。

 

そして四冊目は、

前野隆司著『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』(講談社 2013年1月刊)

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六角堂「明冥文庫」のテーマは「SEI (生・聖・性)と SHI(死・詩・子)」。

なので、死に関する本は本棚一本に収まらないほどあるのですが、

今回この本をお連れすることにした理由は他にも一つ。

それが、これ。

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① 本の角の折り返し。

② グリーンのマーカー。

③ うっすら引かれた鉛筆の傍線。

Amazonなどで古本を購入する際には「可」のランクにされてしまう書き込みですが、

これもまた古書の楽しみ。

ノマドさんが折ったり引いたり塗ったりされたのかは分かりませんが、

少なくとも同一人物がマーカーと鉛筆で印をつけることはないかと。

とすれば、鉛筆の傍線と緑のマーカーが重なった部分は、

この本を手に取った二人の方の関心が響き合った部分かも……

などと、思いを巡らせつつの読書もまた、鈴虫鳴きしきる秋の夜長の一興。

敬具

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