屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島カレー事情 第9回 賭け事は性に合わぬとシカトする 玄関口のカレー 小瀬田・宮之浦

拝啓
 
どの街であれ田舎であれ、駅前の商店街の定食屋に入ると、その地域の雰囲気や味わいが感じ取れてよいものです。
地元の方には何でもないものが、旅人にとっては物珍しく刺激的に感じられることもしばしばです。
 
そこで屋久島の空と海の玄関脇のお店のカレーを試してみました。たぶん島の人はほとんど口にすることのない「カレー」です。
 
第8回の屋久島カレー事情では「カレーうどん」をテーマにしましたが、まずはその続編。
 
島の空の玄関屋久島空港内にある「エアポートやくしま」に「カレーうどん」があることに今日初めて気づきました。
早速注文して出てきたのは……
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見かけも具材も宮之浦の蕎麦屋「楓庵」のカレー南蛮そっくりでしたが、麺は冷凍讃岐うどん風のしこしこ歯ごたえのある太めの麺でした。
 
六角堂コテージにご滞在くださったお客様から得た情報を元に、宮之浦のわいわいランドまで足を延ばすと、東洋水産株式会社(マルちゃん)の「讃岐好み 和風仕立て カレーうどん ゆで 粉末スープ付1人前」が陳列棚にひっそり。
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わいわいランドは島で一番賑やかなスーパー。
そこに九州とは縁もゆかりもない東京の会社の讃岐風うどんがあるということに、なにやら「島一番の町」宮之浦の「都会性」を感じました。
 
そんな海の玄関口宮之浦港の入り口にある観光センターでは、二つの屋久島特産カレーに出会うことができました。
まずは1Fの売店にドンと積んである屋久島森のカレー もりっぱも大好き!」(販売者 やくしま市場)。
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パッケージの表紙には「屋久島森のカレーはタンカンジャム 屋久島産ウコン 屋久島醤油を隠し味に 美味しく 仕上げました。」の文言。
ただし裏面の「原材料名」を確認するとタンカンジャム(屋久島産)、紫ウコン(屋久島産)はありますが、残念ながら屋久島産ターメリック(秋ウコン)の表示はなく「カレー粉」とだけ記されています。
 
そして「観光センター2Fのレストラン」に上がると、その入り口に置かれたメニューブックに屋久島薬膳カレーの写真がありました。
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ただ、ここにも屋久島産ターメリックの表示はなし。
それでもめげずに屋久島薬膳鹿肉カレー・サラダ付」を注文。
待つことしばし、出てきたのはこんなカレーでした。
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屋久島では鹿は「観光資源」であると同時に「害獣」で、毎年何十?頭も「駆除」されていますが、島内に食肉センターがないため飲食店で出されるシカ肉はすべて島外産。
 
日本全国各地で農作物や森林への鹿被害が急増している中、鹿肉を「商品化」する取り組みが広がっており、ご多分に漏れず屋久島でも近々、保健所の許可を得て鹿肉を処理する業者が開業するとの噂も聞きます。
 
島の県道脇に立つ看板。
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来年の春には、島のあちこちの飲食店で「屋久島産鹿肉入り○○」が登場するかもしれません。
六角堂イートハーブで「鹿肉キーマカレー」が出される日が来るのか来ないのか、さてどうなることやらです。
 
間もなく10月、花札では「鹿と紅葉」の季節。
その起源をご存じない方は下記HPをご参照ください。
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六角堂が島の皆様から「しかと」されないことを願う秋の夜長です。
 
敬具

これまで紹介した「屋久島カレー事情」インデックス
 
 
  陳列棚のカレー
 
第7回  南蛮の香り受け継ぐカレー蕎麦 熊毛郡ゆかりの南蛮蕎麦
  宮之浦「楓庵」
  安房   「きらんくや」
 
第6回  カレーから立ち現れし店の主 レストランのカレー
  安房ファミリーレストランかもがわ」
  安房サンパウロ
  原   「屋久島オリオン」2019年閉店
  安房「よろん坂」
  尾之間「モッチョムビュー トーン」  2017年閉店
 
第5回  カレー屋と聞けば目覚める腹の虫 カレー専門店
  小瀬田「屋久島カレー茶房 ハイビスカス」
  宮之浦「カレー専門店 屋久島カレー グロース」
  安房   「カレーと多国籍料理の店 Amara」2016年閉店
 
第4回  手で割って頬張る楽しさカレーパン カレーパン事情
  宮之浦「ひらみ屋」
  安房   「ヒロベーカリー」
  安房   「しいば」
  尾之間「Pain de Sucre パン・ド・シュクル」
 
第3回 風を待つ街にカレーの風が吹く 「本格」「印度風」ばやり
 
  島外のカレー
 
第2回 一皿の命の旨味有難し 樹林のオーロラカレー
  小瀬田「樹林」
第1回 独りでもカレーが繋ぐ人の縁 萬萬亭の500円カレー
  小瀬田「萬萬亭」