拝啓
屋久島初上陸以来15年、六角堂開業丸9年、移住して6年半が経ちますが、今なお足を運んだことのない喫茶店を「新発見」。
コテージにご滞在のお客様がたまたま立ち寄られたお店の話に興味をそそられ、早速行って参りました。
場所は宮之浦の益救神社の鳥居の近く。
ガソリンスタンドの並びにある「喫茶 ドルフィン」さん。
ブロック塀に大書されたイルカの絵と店名。
何度も通りかかった場所ですから、気付かなかったはずはないのですが、
お店の扉は駐車スペースの奥だからか、お店の存在を認知せぬまま。
営業中の札を確認して扉を開ければ、正面に招き猫&ドルフィン。
その右手のカウンター席以外、居並ぶコミックスの壁に圧倒。
そして、左手奥にはなんと!
昔懐かしのテーブル型ゲーム機が二台、ご高齢のお二人が並んでレバーとボタンを操りつつパキューントゥキューンピピパパポポパパ……と。
お邪魔になっては申し訳ないと写真を撮らせて頂くことは控えました。
とりあえず青いガラスの灰皿が置かれたテーブルに座ってメニューを確認。
せっかくなのでカレーを注文。
すかさずコミック書棚に向かえば、その一角にはこの5月、コロナ禍による初の連載休止が話題になった『ゴルゴ13』シリーズが第1巻からズラリと。
『ビッグコミック』で連載が始まったのは今から52年前。
その記念すべき第1話が載っている第1巻を棚から抜き出し、おもむろに表紙を開ければ……
おお、若かりしデューク東郷がシガリロを吹かすシーンで登場。
ちなみに吸っているシガリロ(タバコほどの太さの葉巻)はトルコ葉の『トレンド』という架空の銘柄。
これに憧れて一時シガリロにはまっておりました。
※ シガリロを試してみたい鹿児島(屋久島)の方は、鹿児島中央駅の郵便局向いのたばこ店か、天文館の地蔵角交番の並びにあるたばこ店でお求めください。
で、ページを繰るうちに今度はカレーが登場。
福神漬けが脇に添えられているところにまっとうさを感じつつ、
感じの良いドレッシングが掛かったサラダをサクッと頂き、カレーを一口。
お店の佇まいに似て、昭和を彷彿とさせる味わい。
やはり初めての喫茶店ではカレーライスを頼むのが一番と再認識。
掬ってはめくり掬ってはめくり、第一話の完読と同時に完食。
ゴルゴもカレーもご馳走様でした。
次回は必ずやあのゲーム機を操ってみたいと思いつつ、2020年の世界へと扉を開けて踏み出しました。
帰りがけ、ゴルゴ13の最新話が気になって、島唯一の本屋「泊書店」で『ビッグコミック』2020年10月25日発売 No.1497を購入。
そこには7月に連載再開した第600話の後を受ける第602話が。
第1話と比べると、ゴルゴ13の面持ちも52年の歳月で随分と変化したことが見て取れます。
そして最後のページには
さいとう・たかをプロダクション特有の「製作スタッフ」一覧が、きっちり印刷されておりました。
そして左の広告ページには、シガリロを咥えた彼のアップが。
ドルフィンさんの店内にBGMは流れておりませんでしたが、
なにやらそこにはゴルゴ13連載開始の1968(昭和43)年のヒット曲
小川知子の「ゆうべの秘密」や
高石友也の「受験生ブルース」が流れていたような錯覚も。
健康志向、自然志向、お洒落な島カフェ好きの皆様には、縁の遠いお店かも知れませんが、
人と文化の多様性を尊重したいと願う方ならば是非、一度は足を運ばれることをお薦めいたします。
敬具