屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

詩を読むと靴屋が儲かる島の冬

拝啓

「風が吹くと桶(おけ)屋が儲(もう)かる」ということわざを知っている日本人も少数派になってきているかも。そもそも桶屋とはどんな職業かもわからなくなってきている昨今ですが……

  風で土ぼこりが立つ(昔は舗装された道などなかったのです)
  すると土ぼこりが目に入って、盲人が増える(盲人を昔はめくらなどと呼びました)
  盲人は三味線を買う(三味線や琴や尺八奏者は按摩とともに盲人が就ける職でした)
  すると三味線に張る猫皮がたくさん必要になり、ネコがたくさん殺されて
  ネコが減ればネズミが増える
  増えたズミは桶をかじって穴をあけ(桶は木製の手桶や風呂桶など)
  桶の需要が増えて桶屋が儲かる

という次第です。

それの現代屋久島版「詩を読むと靴屋が儲かる」とは……

六角堂では今年の5月から月に一度「島の朗読会」を催しています。

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そこでは自分の好きな文章や詩を朗読すると、有志の音楽家が即興で音を付けて下さるという企画。私も主催者の一人として、毎回何かしらの文章や詩を朗読させていただいております。

その朗読会にご参加くださった方から、結婚式の司会の手伝いを依頼されたのですが、そんな人の一生の大きな節目に関わるお仕事などとてもとてもとお断りしたのですが、成り行きで引き受けることに……ところが私には傘はあっても「靴がない」

日頃履いている黒い革靴は山道も歩けばSAMSへ買い物にも行くクタクタの普段履き。礼装用の靴など持ってきても梅雨時にカビが生えて駄目になるだけと京都に置いてきたまま。電話帳で島内の「靴屋」を検索しても出てくるのは登山靴の店だけ。

鹿児島市内までトッピーに乗って靴を買いに行かなきゃしょうがないのか~~でも往復の交通費の方が高くつくかも。それならネットで見繕って買うしかないのか~~~でも試し履きしないで靴など買いたくないし……と溜息さんざんついたその時、思いついたのが栗生の「PONPON」(http://pon-pon.jp/about.html)さん。

電話で相談すると、なんとか期日までに間に合わせて作って下さるとのこと。そこで栗生までひとっ走りして、まずはデザイン選び。

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シンプルでベーシックで履きやすくて丈夫なのが良いという基準で選択。そして次はソールの選択。

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街のホテルや駅のコンコースや雨に濡れた階段などでも滑りにくいのが良いという基準で選びました。そして採寸。見開きのノートの上に足を置いて輪郭を取って数値を記入。

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そして十日後に出来上がった靴がこれです‼

ミシンではなく手縫いで仕上げて下さった労作、カッコエエ!

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その翌日、湯泊のこのお宿&レストランの

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結婚式の会場となったレストランで挙式

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幸せ満杯の新婚さんの夫婦生活が屋久島からスタートしました。

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あつらえた靴が次に役立つ日が来るのかどうか分かりませんが、生まれて初めてオーダーメードの靴を作る機会を得られただけでも良しとしたいと思います。

ちなみに、今回の靴のお値段は「鹿児島までのトッピー往復代+トッピー代と同額程度の靴」の値段です。

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買う買わない、作る作らないは別にして、屋久島にこんなお店があるのだということを「見物」しに行くだけでも値打ちがあります。

まずは PONPON ☎ 0997-48-2284で営業日をご確認ください。

敬具