屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島の「三密」 身に何を結び、口に何を唱え、意に何を観ずれば、災厄退散成就せんや

拝啓

庭のレモンの花がほろほろ咲き

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ブルーベリーが実を結び始め

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コテージ脇のコデマリは雨に濡れ

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沢ではカニが光る

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屋久島麦生の六角堂。

昨日、コテージをチェックアウトされたお客様をお見送りし、これでGW前まで長期滞在のお客様以外、ご滞在予定のお客様はなく、cafeも当面休業のまま。

 

鹿児島県では新型コロナウイルス発症者がしばらく確認されなかったせいもあってか、島は何やらのんびりムードで春分の日から始まった三連休も縄文杉登山は大賑わい。

ところが志村けんさんの死が報じられ、鹿児島県の離島沖永良部島で発症が確認されたころを境に、島でも不安が高まり

島の飲食や観光関連のお店は休業や業務形態変更のお知らせを続々と。

六角堂のお隣の雑貨とマッサージのお店「Rung rung naam + healing trip bodywork」さんは苦渋の選択の様子をフェイスブックでお知らせ。

お向かいのレストランヴィータさんは休業とテイクアウトメニュー準備中のお知らせ。

徒歩2分のジェラート「そらうみ」さんも

車で2分のアクセサリー& 雑貨店「HONU」さんも

西に向かって車で10分、尾之間のカフェと暮らしのお店「サロン湯の峯」さんも

東に向かって車で10分、安房のTシャツ・雑貨店「ガラモスタ」さんも

車で20分、空港近くの「喫茶 樹林」さんや

「島cafe La・モンステラさんも当面休業を決定。

ガイド業でも

海中心の屋久島マリンサービスYMS」さんは4月の予約受付と催行を中止。

「島結」さんは予定していた【女性限定】屋久島ヨガリトリート&白谷雲水峡・太鼓岩トレッキングツアーを中止。

 

休業できなくとも、少しでも安心・安全にご利用頂けるよう、

永久保のおやつと珈琲のお店「雪苔屋」さんはテイクアウトのみの営業に

栗生の「CAFE LA PONTO」さんはコロナ対応のお知らせを出し、

平内の「naa yuu cafe」さんは当面テラス席でのお食事をお薦めし、

原のラーメン屋屋久島オリオン」さんや、安房のお食事処「やくどん」さんは、換気のために窓を開けての営業。

安房蕎麦屋「きらんくや」さんを伺うと

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お食事を済まされたお客様の席を、女将さんが幾度も幾度も丁寧に拭いておられました。

 

こうした小さなお店の切ない決断や、できる限りの心遣いをどれだけ理解しているのか分からないのが、出張旅費をちょろまかして居直り続ける荒木屋久島町

「今一番の問題は、新型コロナウイルス」と言いながら、島の暮らしをつぶさに見ることも、職員に調べさせることもせぬままに、観光で成り立つ島の暮らしと命をどう守るのか具体策は一つも示せず。

着服した総額約180万円の使い道は「出郷者や国会議員、全国離島振興協議会職員、町職員らとの会食費」と「国会周辺から羽田空港へのタクシー代」だと臆することもない様子。

急遽、5月10日に行われることになった屋久島町議会議員補欠選挙の行方が、島の明日の暮らしを決めそうです。

 

ただ、政治腐敗と同様に1万3000人ほどの島民の新型ウイルス感染への意識にはかなりの落差があるのも事実。

4月4日、東京都内で新型コロナウイルス感染者118人が確認され、感染した10代から90代までの男女のうち7割近くの81人の感染経路が分かっていないと報道された土曜の午後の島はと言えば……

買い置きが切れたマスクを求め、フェリーから入荷する時間を見計らい「ドラッグストア モリ」「ホームセンターSAMS」「ドラッグイレブン」を順に巡るも、マスクは全店1枚もなし。

それでも安房周辺にあるパチンコ屋を路上から眺めれば、

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駐車場には車がずらり、合計ざっと100台は。

店内の様子も、所轄の屋久島警察署からどのような指導が入り、定められた対策がどれほど実施されているのかは分かりません。
パチンコを楽しまれる島外観光客は少ないかもしれませんが、港湾、運輸、飲食関係で島外者と接触する場面の多い方、島外からの出張業者のお客様に加え、島内の高齢者の方も少なからずいらっしゃるのでは。

古来「三密」といえば、密教でいう凡人では推し測れない仏の三業
身密(身に印を結び)・語密(口に真言を唱え)・意密(意に本尊を観ずる)理想的行為でしたが……

今や、換気の悪い“密”閉空間、多数が集まる“密”集場所、間近で会話や発声をする“密”接場面

 

島内から発信されるSNSには「早急にロックダウンして島外からの感染を防ぐべきだ」という意見もあるようですが、町の暮らしに深刻重大な影響を与える「島の封鎖」を行う以前に、行政も個人も行うべき課題はいくつもあるかと。

 

過剰な不安や誤った情報に煽られることなく、

根拠のない楽観や思考停止の先送りに堕することなく、

暮らしと命を守るため個々人で何ができるのか、

町や県や国に対して何を要望すべきなのか

人間だったら冷静に考えろ……と

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お客様が来られず退屈しまくっている接客担当従業員のニャーが、こちらを見つめております。

敬具