屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島ほんの気持ちばかり第6回 はまゆの美魔女ケーキと魔ッスルコーヒータイム

拝啓
秋分を過ぎて一雨ごとに秋は深まり、山から海へと吹き下ろす涼やかな風に吹かれる屋久島。夕闇と共に鳴き競う鈴虫と蟋蟀に松虫までが割って入る屋久島麦生の六角堂

こんな季節に恋しくなるのは薫り高いホットコーヒーのひと時。夜更けてfacebookを眺めていると湯泊温泉「はまゆ」さんのお知らせが

はまゆ、本日もオープンしました。今日は、シフォンサンドの他、ベイクドチーズケーキ!あります。 珈琲と一緒にどうぞ。 18:00までです。

こってりしたチーズケーキに深煎りの珈琲。これは是非頂かなければと、コテージにご滞在になるお客様の準備を早めに済ませ、いざ湯泊へ。

イメージ 2

玄関前のメニューボードを見れば

イメージ 3

おお、あるではありませんか「🍰ベイクドチーズケーキ」が。いらっしゃいませの笑顔に迎えられ席に着けば脇には愛らしい張り子のオムスビ。

イメージ 4

目が合うだけで心が和みます。早速ケーキとコーヒーを注文し、店内を見回すとプレオープンの時にはなかった本棚が。

イメージ 5

背表紙をゆっくり眺めて
イメージ 6

見るにつけ
イメージ 7

はまゆさんの蔵書のキーワードはこれだっ!と抜いた二冊が

イメージ 8

石田紀佳著『魔女入門 暮らしを楽しくする七十二候の手仕事』(2016/2すばる舎刊)
星野道夫著『魔法のことば 自然と旅を語る』(2010/12文春文庫)

手仕事のお好きな奥様と自然を愛するガイドのご主人のお二人の組み合わせ、通底するのは“魔”と見た!
ご主人のTシャツの胸にアルファベットの「M」が刻まれていたのはこれを暗示していたのか、それで入り口に縁Musubiの張り子……
などと妄想するうちに、やって参りましたケーキと珈琲。

イメージ 1

何やらプリーツの衣装が恥ずかし気なチーズケーキを目にやりつつも、まずは一口珈琲を含むと、ん~~力強い味わい。ご主人の筋肉質の後ろ姿が、納得したかと無言で語っているかのよう。

イメージ 9

“魔ッスル珈琲”と秘かに名付けてしまいたくなる一杯。昔、今から40年ほど前に味の素ゼネラルフーズが「マックスウェル」というブランドでインスタントコーヒーを発売し、味わいのあるCMやラジオ番組を流していたことも。そんな郷愁に浸りつつチーズケーキの包みを解けば……

イメージ 10

おお、なんという色っぽさ。何かでコーティングしているのかと思って尋ねれば、何も塗らずにじっくり焼くと自然な照りが出てくるのだそう。まるで陽に焼けた水着の後の如し、などと言ったらセクハラや!っと顰蹙を買うかもしれませんが、これぞまさに“ベイクド美魔女ケーキ”。屋久島の樋口可南子(個人的感想です)が焼いただけのことはあります。

などとケーキと珈琲を交互に頂きつつ、先刻の『魔法のことば』を捲って行けば

イメージ 11

深煎りコーヒーにふさわしい一節が目に留まりました。そして、『魔女入門』をサラサラ捲れば
イメージ 12

ベイクドチーズケーキそっくりの形をした「スモークサーモンの押し鮨」。そのレシピに目をやっている内に、どうやら地元集落の方らしいご高齢のお客様が一人二人とご来店。そろそろお暇しようかと、島の海の幸を使って美魔女鮨作ってはくれまいかとお願いしたものの、ケンモホロロのご返答。せめて張り子のお結びにちなんだ天ムスをとお願いしつつ店を後にすると……

イメージ 13

妙齢のご婦人方が続々とご来店。店内のお客さんの平均年齢は優に70歳を超えているかと。昭和の佇まいで地元に溶け込むはまゆさん、
美魔女と魔ッチョの営むお店が仲睦まじく末永く繁盛いたしますように。

敬具

追伸
1976年にFMで放送されていた「マックスウエル・コーヒータイム」の録音が次のYouTubeでご試聴いただけます。

また、よろしければマックスウェルに続く1980年代のマキシムのCMや

「ブレンディ・コーヒータイム」のオープニングCMも


ついでですが、マキシムのCMのセリフ「ん~~マキシム、イッツスムーズ」は、1970年代にチャールズ・ブロンソンのCMでヒットした「マンダム」のセリフのパクリではないかと
ちなみに1970年の発売当時、「mandom」とは“Man Domain”(男の領域)という意味だったのが、現在は“Human & Freedom”へと意味付けを変更をしたとか。そんなところにも時代の潮流を感じつつ、秋の夜長は更けてゆくのでありました。



これまで紹介した「屋久島ほんの気持ちばかり」インデックス

鳥居著『キリンの子 鳥居歌集』
石和鷹著『地獄は一定すみかぞかし 小説 暁烏敏』
前野隆司『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』
荒木経惟『いい顔してる人』
鍵井靖章『アシカ日和』
高田渡『バーボン・ストリート・ブルース』