拝啓
前回は島の北に潜んでいる『鍋焼きうどん」探索の徘徊記録をご案内しましたが、今回は南の「鍋焼きうどん」を。
いずれもTHE SYOWAな老舗の一品。
今回のdetailもなかなかにディープです。
【安房】
『かもがわ』
安房の「レストランかもがわ」さんは1969(昭和44)年に創業した老舗食堂。

半世紀以上厨房に立ってこられた女将さんが「うちはファミリーレストランだよ!」と豪語されるだけあって、スイーツ系以外何でもありのメニュー。
刺身定食やら焼き魚定食、エビフライ定食やらカレーやらナポリタンやらとならんで当然のごとく「鍋焼きうどん」もございます。
それは土鍋ではなくアルマイトの鍋で登場。

モヤシのトッピングにびっくり

掘るほどに現れる具だくさん。

腰痛こらえながらの立ち仕事、どうぞ女将さんも娘さんもお元気で末永く繁盛なさいますように。
『いろは食堂』
交差点を挟んで『かもがわ』さんの斜め前の『いろは食堂』さんは3階建てのお店の1階部分が半ば駐車スペースのため一見さんは入りづらいかも。

2018年の『食べログ』の次のような口コミによれば『いろは食堂』さんの創業は60年以上前。

彼ほどに懐かしがられるお店の「鍋焼きうどん」がこちら。

「いろは」さんを特徴付けるピンクのナルトとぷりぷりのエビがうれしい。

どうぞよい後継者を見つけて末永く繁盛なさいますように。
『八重岳食堂』
安房の『八重岳食堂』さんの創業は1933(昭和8)年。

今年で創業93周年となる屋久島でも多分現役最古の老舗食堂かも。

こちらの鍋焼きうどんにももやしがたっぷり。

これが屋久島流なのか?
お店の壁にはかつてのお店と先代女将の姿も。

1950年に屋久島を訪れた林芙美子が「八重岳食堂」で鍋焼きうどんを食べたという記録は見当たりませんが、彼女の主な滞在先となったのは八重岳食堂の川向いにある屋久島山荘。
上の写真は屋久島山荘の外壁に設置されているパネルの写真。

下の写真は2月に撮った写真。
手前が屋久島山荘で対岸の橋のたもとに八重岳食堂。
屋久島山荘は彼女の代表作『浮雲』の執筆が行われた宿として知られており、現在も「浮雲の宿」として親しまれています。

[屋久島屋久島経済新聞』の過去記事にも八重岳食堂の紹介が。
創業83年「八重岳食堂」の3代目が語る 名物「屋久島定食」への思い - 屋久島経済新聞
三代目の大将と女将さんで末永くお店が繁盛なさいますように。
『銀月』
安房のうどん店『銀月』の営業時間は21時から25時。

川辺りがかつて飲み屋横丁だった当時から飲みの締めに寄るお店。
何度か店先まで足を運びましたが、地元の高齢常連グループさんの盛り上がりに押されて屋久島移住以降12年間、敷居をまたぐことができず噂の鍋焼きうどんと出会えぬままでした。
その片思いの鍋焼きうどんがこちら。

カウンター席に登場した姿だけでニンマリ。
なんちゅう鍋や?とGooglレンズさんに伺えば……これか!?

鍋はさておきその中身。

麺はどうやら平たい乾麵を茹でたもの。
屋久島(鹿児島?九州?)の方には馴染みなのかもしれませんが、細めのきしめんのような食感は初体験。

すくえばすくう程に現れる不思議な具材の組合せ。

馴染みのない出汁の味わいの元をママさんに問えば横向きながら「イノシカチョウだよ」と。
一瞬えっ?となりながらも花札の『猪・鹿・蝶』だと分かった顔を女将さんに向けると「みんな知ってるほんだし」と笑われました。
そこでおさらい。

「いの一番」と「猪鹿蝶」を掛けたのは縁起の良さと親しみやすさを備えた出汁だと言う例え?
ではそれを「ほんだし」と言い換えたのは何故か?

「いの一番」は味付け用、めん類などの出汁用は「ほんだし」だからか?
実際どちらをどう使っているのか分かりませんが、宴会の締めのうどんに「安房のアゴ(トビウオ)ダシ」だの「一湊のサバ節」だの「山川港の鰹節」だの「利尻の昆布」だのとウンチク垂れる高価格のうどんを出してもね、と言うところかと。
それをひと言「猪鹿蝶」と言い切ったところに女将さんのきっぷが。
よい勉強になりました。
ちなみにこちらにも『いろは食堂』さんの食べログで投稿されていた方が投稿。

創業70年ほどのお店を先代さんから引き継いだ2代目女将さん、どうぞお身体に気を付けて末永く繁盛なさいますように。
【尾之間】
『味徳』
2026年2月現在、安房から南西へ向かって春牧の『喜来里』さん『みち草』さんを過ぎると夜ご飯をいただけるお店は尾之間の『味徳』さんまでないのが現状。

『味徳』さんの公式ホームページによれば創業は1984(昭和59)年なので今年は42周年。
こちらのメニューに「鍋焼きうどん」はございませんが「幸楽うどん」の名が。

エビフライ付きです。

豚肉と野菜の旨味も出た出汁は程よくスッキリ、麺はやや柔らか目。
ここでチェック。
見た目はよく似た、食べてもよく似た、店によってはどちらとでも言えそうな「鍋焼きうどん」と「幸楽うどん」の違いとは?
Googleさんに尋ねれば

あるいは

などとあまり要を得ず。
今度女将さんに名の由来を伺わねば。
その女将さんと2年前に亡くなった火野正平さんとのツーショット写真がお店の壁に。

NHKの『日本縦断こころ旅』の屋久島ロケでは『味徳』さんが昼食場所に。
その半年後、彼が虹の橋を渡ることなど誰も思わず。

女将さんにとってもお店にとっても一生の記念かと。
お店の壁に飾られた『酒神ディオニュソス(バッカス)とその妃アリアドネ』に見守られつつ

末永く商売繁盛なさいますように。
敬具