拝啓
2月4日、天草二日目の夜。
天草の海や山の神様と、日本の近代産業黎明の遺産を訪ねた後、
展望デッキから眺める滑走路には、垂れ込める夕闇と満月。
誰もいないロビー。
今回の天草探訪、
本当はこの天草空港に天草エアラインで第一歩を踏み入れたかったのです。
しかし、
屋久島、あるいは鹿児島から利用するには、一旦福岡か大阪空港まで飛び、福岡か熊本空港から天草エアラインに乗り継ぐしかありません。
時間はいっぱいあるけども、お金はあんまりないので、今回は諦めた次第。
それでも空港に来たのは、現在検討されている屋久島空港のリニューアルのための視察。
(だからといって何の権限もありません)
県営天草空港と天草エアラインの一身同体とも言える独特な関係に以前から関心を寄せていたので、見ておきたかったのです。
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/113/60455.html
幾多の試練を乗り越えた天草エアラインの歴史は、何度も書籍化されています。
それと、
ここを訪ねたもう一つのミーハー的動機は、
只今放送中のNHK朝の連ドラ『舞い上がれ』の作中で、主人公が就職するはずだった「長崎エアライン(仮想)」のモデル探訪。
「天草エアライン」と長崎を拠点とする「オリエンタルエアブリッジ」がそのモデルだと言うのがもっぱらの噂。
最終便の着陸を見たかったのですが、レンタカーの返却時間の制約で断念。
残念。
旅の友、スバルR2を返却したニコニコレンタカーの営業所から、スタッフさんに宿の近くまで送って頂き、
トコトコ向かったのは天草初日に発見した映画館『本渡第一映劇』。
※天草初日、昼間の写真
映画館の入り口には「市民シアター」の案内板
この日、2月4日からは『人間の証明』上映。
松田優作主演で1977年に封切られ、西條八十の詩のフレーズ『母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?』が一世を風靡した映画。
劇場で観たことがなかったので、是非ともと思ったのですが、
すでに上映中で断念。
残念。
ふと入口脇の小スペースを見ると、おやおや!
所狭しと、かつて上映された映画のポスターが。
そしてその奥には、この映画館と天草の映画館史の紹介が掲示。
貴重な資料だと思い、パシャパシャパシャリ。
一旦は潰れた映画館を市民有志が復活させた経過は、
天草エアラインにも劣らぬドラマ。
第一映劇の灯がいつまでも点り続けますように。
夕食は映画館からほど近い「茶寮やまと屋」さんでクーポンの助けを借り、
ちょっと贅沢に、「天草大王・地魚御膳」を。
デザートの水羊羹に感心。
ちなみに天草大王は天草産地鶏のブランド名。
車海老も特産のようで、町のあちこちに貼られていたポスターは結構なインパクト。
屋久島特産のトビウオやサバ、鹿肉もこれぐらいの迫力あるアピールがあっても良いのではと。
この夜も栄美(Emi)屋旅館にお世話になったのですが、
翌日が天草マラソンでお安い部屋は満室。
広々とした和室で出天草に備えました。
翌朝はフェリーでいよいよ長崎へ。
【市民からの学び】
◎ 空港と飛行機
先の見えぬ屋久島空港のジェット化滑走路延長とターミナル建て替え計画。
役場がまとめた「屋久島空港の滑走路延伸基本計画(案)」へのパブリックコメントを見ても、どうもすっきりせず。
http://www.town.yakushima.kagoshima.jp/living/kuko-enshin/pikiroku/
おまけに東京便を当てにしていた三菱ジェットは開発中止。
JB pressのネット記事から学ぶべきこと多々。
『三菱スペースジェット失敗の理由、ホンダジェットとの比較を詳解』
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73967?page=7
それに輪を掛け、2月16日のH3ロケットの初号機打ち上中断≠失敗。
三菱株は一時大暴落。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-16/RQ1PU6T1UM0W01
どうする三菱!
一方、
オリエンタルエアブリッジの広報メッセージは新鮮。
https://www.orc-air.co.jp/より以下抜粋
「日本で一番地域に価値を届ける航空会社」
我々は航空事業を通じて、離島地域の社会課題を解決します。
ORCが就航している離島の人口減少率は他の地域と比較しても著しく高く、厳しい状況です。
そんな中、我々は単なる輸送機関ではなく、様々な形で離島の課題解決にコミットしています。
離島の豊かな自然、心やさしき島民、150以上の神社を有する豊かな歴史、世界遺産である潜伏キリシタン関連遺産、世界最大級の潮流発電などの自然エネルギーへの取り組み、多様な固有種により築かれた独特な生態系を有する豊かな自然などの数多くの資産があり、そこでは人間らしい暮らしが育まれています。
我々はこのような素晴らしい資産=価値を世に広め、ビジネスで支援をすることをビジョンに掲げました。
「日本で一番地域に価値を届ける航空会社」
地域の幸せを共創することこそが我々の事業の目的です。
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/113/60455.html
天草空港は……熊本天草観光の一翼を担う交通アクセスラインとして旅のドラマを演出しています。
天草空港は、天草の自然の豊かさや人の温かさの情報を発信するモニュメントであり、天草エアラインのAtr42-600の機体に描かれたイルカには「イルカと共生できる環境をそのままに、未来へ前進」というメッセージが込められています。
それに対して鹿児島県の屋久島空港案内は淡白。
http://www.pref.kagoshima.jp/ah09/infra/port/kuko/yakushima.html
その違いはどこから来るのか?
それを分析することが島の未来を切り拓く糧になるのだと思うことしきり。
◎ 島の映画館
コロナ禍も相まって都会のミニシアターが苦境に立たされている一方、
思わぬ地方で新たな小屋が生まれたり、再建されたり。
その様子は以前このブログ記事『映画俳優が誕生した今こそ 屋久島にミニシアターを』でも紹介しましたが。
重ねて参考にしたいのが鳥取県の「jig theater(ジグシアター)」。
廃校になった小学校の図工室をシアターに。
工房やカフェも併設。
https://www.facebook.com/jigtheater
「2021年7月に開館し、柴田修兵と三宅優子のふたりで運営しています」というオーナーさんのシシアター案内には次のような一文も。
「映画館(文化)は社会の組み立てをどこか根本的に誘導するような存在かもしれない」
「大袈裟だと思われるかもしれませんが、社会をも組み立ててしまうようなもの、それが映画なのです。」
それが外の目からどう見えるか、『エイの映画ブログ』さんの訪問記をご参照頂ければと。
https://ride-on-movie.com/2022/07/02/theater130/
映画だけでなく、ライブも芝居も上演できる常設館を屋久島にも。
その価値や可能性を語り合える場作りから始めたいものです。
つづく