屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

2022-2023 年越しシリーズ ⑥ 真菌とヒト オピストコンタの力

拝啓

あたふたしている内に、正月三が日も過ぎ去りました。

日本の「しきたり」の一つに、

三が日にすべきではないタブーが幾つかあるとのこと。

・掃除をすること
・水仕事
・火を使う料理
・刃物を使うこと
・お賽銭以外のお金を使わない

三が日とはどんな意味?やること&してはいけないことをチェック! | LIFE STYLE | SANYO Style MAGAZINE

 

ひょっとしたら、古くからある屋久島の飲食店は、そうした風習を守って正月休業されてきたのかもと。

ただ、観光地の宿泊業や飲食業はお客様をおもてなしする仕事。

年神様もちゃんとご了解下さるかと。

 

1月3日の朝はまず、年越しをされたお客様のための朝食。

「軽め」「焦げ目」とのご要望に応じて、チーズとシナモンの厚切りトーストの特製スープを付きに。

 

お客様のチェックアウト後、

夕方チェックインされるお客様のための準備をテキパキと……ではなくチンタラと。

 

何とか完了した午後3時前、

遅めの昼食をと伺ったのが原の「Kitchen 雪花(ゆか)」さん。

店じまいの準備をされていらっしゃいましたが、快く?迎えて下さいました。

頂いたのは、正月限定メニュー酒粕のお雑煮と自家製漬物ごはんセット」

玄米ご飯には、米麴を醤油で漬け込んだ風味豊かな醤油麹

なばなの漬物のほろ苦さが食を進めます。

そしてメインの酒粕雑煮

口当たりはまったりしながら、酒粕のシャープな力強さが印象的。

聞けば千葉県香取郡神崎町の寺田本家の酒粕を使っているとのこと。

ネットで検索すると……

寺田本家の酒造り – 株式会社 寺田本家

全量無農薬米を使用し、一切添加物は使わず、微生物も全て蔵付きの菌で発酵し、唄を唄いながら出来るだけ機械は使わずに、手造りで微生物と響き合いながら

作られたお酒がもとになった酒粕

 

醤油麹、漬物、酒粕=麹と酵母とオーナーさんの技。

ご馳走様でした。

 

キッチン雪花さんの営業はInstagramFacebookでご確認を。

屋久島オーガニックヴィーガン料理・*Kitchen雪花•*(@kitchen.yuka) • Instagram

Kitchen雪花 (キッチンユカ) | Yakushima Kagoshima | Facebook

 

麹や酵母の料理を頂きながら、

思い起こした言葉が「オピストコンタ」

 

麹と酵母を区別される場合もありますが、
元をただせばどちらも真菌類
そしてこの真菌と動物とが属する生物グループが「オピストコンタ」

共有形質は鞭毛を持った細胞(精子や胞子)が、後ろ側にある1本の鞭毛で進むこと。

生物分類学上、ヒトもカビもキノコも同じ仲間なのだと。

 

NHKのオンデマンドで観た「ヒューマニエンス 40億年のたくらみ 『“真菌” 地球を創造する分解者』」で知ったこの事実、2022年で一番印象的な概念でした。

www.nhk-ondemand.jp

 

お客様のチェックインまで、まだ少し時間があることを確認し、

向かった先は麦生の「そらうみ」さん。

思えば、12月22日に雪苔屋さんで頂いたのを最後に、

お店で珈琲を頂いておりませんでした。

2023年初cafe珈琲。

ゆっくりと燃える薪ストーブの炎を眺めながら頂く珈琲は、

忙しなさの中の貴重な一服でした。

 

そらうみさんの営業はHPでご確認ください。

ホーム - 屋久島ジェラート そらうみ (jimdofree.com)

 

その夕刻。

コテージにチェックインされたお客様から、

炭焼きBBQ用具セットレンタルのご要望。

午後6時過ぎ、七輪型コンロとトングやアルミ皿などの用具をコテージの庭にある六角テーブルにセット。

母屋の厨房のガスコンロで炭の火起こし。

そろりそろりと火起こし鍋を持ってコテージまで上がり、

無事予定時刻にセット完了。

寒さを厭わずお楽しみ頂けたご様子に一安心。

 

カビやキノコの力が朽ち木や死骸を分解し、

新たな命を再生する。

火を使うことを知ったヒトは麴や酵母の力を借りて、

新たな食を創造する。

 

ダイナミックな自然と人の営みを、お正月の食を通して再認識させて頂けたことに感謝。

 

敬具