屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

おみずの島プロジェクト 誰でも憩えるベンチのある島に Smileyのたそがれベンチ

拝啓

このベンチに座ったことのある方がいらっしゃれば幸い。

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安房川沿い、如竹通りの歩道にはベンチが置かれておりますが、

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その多くはこうした背もたれなしタイプ。

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中にはパラソルが立てられるような器具付きも。

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亀石の案内板がある川岸にも、

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ベンチがあり、

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ベンチは「集落振興事業」で設置されたものであることが窺えます

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東川隆太郎氏による里ガイドセミナーレポート@安房 | 屋久島マルシェ (yakushima-marche.com)

m001001[安房区]安房川とその周辺 (biyakushima.com)

 

そうしたベンチと違い、

最初にご紹介したベンチは、安房のSmileyさんによる特注。

以前設置されていたベンチが風雨にさらされ朽ちかけていたのを気に病み、

家族に相談して自腹を切って補修されたもの。

ゆったり過ごしてもらえるようにと背もたれを付け、

お茶でも飲めるようにと肘掛け兼用テーブルも追加されたとのこと。

 

お店に入って、

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安房川を望む席に座り、

マフィンやらケーキやらパフェやらを月姫茶と一緒に頂きつつ、

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窓の外を眺めれば、ベンチ。

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時には犬の散歩の途中のオッチャン、

時には学校帰りの小学生、

時には観光客風のカップルさんがひと時憩い、

もちろんSmileyのママさんが独りたそがれている姿を見ることも。

 

ベンチを再認識したのは、

京都で一月ばかり入院生活をしていた10月、

鴨川の河川公園に置かれた何十種類ものベンチのデザインに興味を持ったのが始まり。

それはあたかもベンチのコンペ会場の様相。

目に付いたのは、

石の土台と木製の座面を組み合わせたタイプ。

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そして、

緩やかなカーブを持った金属パイプと木製座面を組み合わせたタイプ。

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加工した石をそのまま置いたベンチもまた楽しげ。

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年季の入ったものもあれば設置したばかりのものも混在。

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ジョギングを楽しむ市民の健康づくりへの配慮もまたゆかし。

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様々なベンチが、

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訪れる人々を待ってくれています。

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土日の昼頃ともなれば、空いているベンチを探すのが大変なほど。

近くのお店で買ったテイクアウトのお弁当や飲み物を楽しみながら、

座っているのは近くの住民だけでなく観光客の方々も。

その様子は、このブログでもご紹介いたしましたが、

6kakudo-tegami.hatenablog.com

そこでも触れたように、

気掛かりなのは屋久島のベンチ。

島でベンチと言ったら、

まず思い浮かぶのがバス停の待合所のベンチ。

中には著名なデザイン家が設計されたものを、

集落の方が使い勝手の良いようにカスタマイズされた待合所や、

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地区の子供会でドレスアップされたものも。

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ただ、そこで憩う人の姿を見ることはめったにありません。

それは、バスが一時間に一本しか走っておらず、

全国各地の田舎と同じように車社会だからとばかりは言えません。

商店の近くにあるベンチには結構たむろしているのです。

 

その代表は春牧のシイバさん前の東屋ベンチ。

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ただそれも、

維持補修がままならないようで、座ることをためらうベンチも。

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この初冬、一番人で賑わっているベンチは、

尾之間のパンドシュクルさんの横に最近置かれたベンチかも。

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では、公園のベンチはどうなのか?

島には街によくある「児童公園」がほとんどありません。

その中で、一番立派なのは平野神社の広場かと。

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ブランコ、シーソー、鉄棒、滑り台、

児童公園四点セットがあるのは島でここだけかも。

ただ、そこで遊ぶ子供の姿も、

長~~いベンチに寝そべる若者の姿も見たことがありません。

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安房のAコープの裏手にある小さな公園もまた同様。

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屋久島町が策定した「わたしたちのまちの未来 屋久島町第二次振興計画 令和元年度~令和 10 年度」の、

「第2章 基本構想(3)基本構想の構成【一生学び、切磋琢磨する環境づくり】」には、

こんな施策が示されています。

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shinkou_keikaku2-1.pdf (yakushima.kagoshima.jp)

 

雨でも楽しめる場所の構想も結構ですが、

・子育て中の親子が「公園デビュー」できるような身近な場所

・移住を検討中の子連れのお客様が、地元の方と触れ合える場所

・小・中・高校生が、学校の帰りに友達同士で家への帰りを惜しむ場所

そしてなにより老若男女・同性異性を問わず、

・仲良しカップルがテイクアウトの珈琲片手に、ひと時寄り添う場所

そうした具体的な暮らしの場面を思い描いた「居場所づくり」に、

ベンチは欠かせないもの。

さらに、

屋久島には、他の町では見られない素敵な風景が各所に。

それは森の緑や水のせせらぎ、

きらきら光る海を眺められる場所ばかりとは限りません。

例えば、

屋久島空港の滑走路を見通せる小瀬田のmori cafe standさんの裏。

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右手に種子島、左手彼方に大隅半島

空気が澄んでいれば開聞岳も見渡せます。

店内でピリ辛麻婆豆腐丼なんぞをハフハフし、

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食後の珈琲を頂きながら窓の外を眺めていれば、

ブ~~~~ンと飛行機のエンジン音。

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南風の時は離陸のための滑走、あるいは着陸するプロペラ機の姿。

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北風の時は唸りを立てて飛び立つ姿を楽しめます。

mori cafeのお客さんはもちろん、

SAMSやドラモリに買い物に来た子供連れが、

飛行機に歓声を上げていることも。

もしここに、

ちょっとばかり洒落たベンチがあったなら。

夜の帳が降りた後、

最終フライトの飛行機が誘導灯の光る滑走路から飛び立つ姿を、

しっぽり眺めるカップルさんのシルエットも。

スマイリーのたそがれベンチと共に、

mori cafe twilight benchが秘かな観光名所になるやも知れず。

 

商店や飲食店のそばにベンチを置くことで、

町に暮らす人の姿が浮かび上がり、

島の活気が滲み出て、

観光のお客様や移住希望者の方々の心も引き寄せられるというもの。

 

島の元気を産み出すベンチ。

役場や商工会や観光協会、各集落や個人事業主と手を携えて、

島中に人が憩い、島の経済も活性化するベンチスペースを産み出す。

次は、そんな「屋久島ベンチ条例」の制定を請願しようかしらん、と。

 

観光客、消費者、生活者の目線に立ったアイデアを絞るには、

会議室ではなく、島のベンチに座ってお茶をしながら語り合うのが一番かと。

 

六角堂ちんたらBookCafeにお越しの際には、

樹間のベンチでぼーっとひと時お過ごしいただければ幸いです。

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12月の営業は、まもなく開始予定。

明日には日時とメニューをご案内させて頂く予定です。

敬具

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