拝啓
六角堂の萩の花が秋風に揺れる彼岸の入り。
そう言えば島に来て「秋のお萩」も「春の牡丹餅」も食べていない、と気付いたのが運の尽き。
その時思い描いていたのは粒餡・きな粉・黒ごま・青海苔の四色おはぎ。
例えばこんなん。
いそいそと買い物がてら、尾之間のAコープでおはぎを探せど見当たらず。
レジでおはぎの所在を問えば、総菜部まで確かめに行って下さり、係の方が持って来られたおはぎがこれ。
「まだ解凍できていないので並べてなかったんですが、良ければお家で解凍を」と。
一瞬戸惑ったものの、ここはそれ、せっかくの好意を無駄には済まいと頂いたものの……
やはり、出来立て自家製を頂きたくて、おはぎ探訪の旅へと向かうことに。
六角堂にいったん戻って車を東へ。
お隣の集落、高平で毎週日曜開かれる「にこにこ市」ならあるやもしれぬと訪れましたが……空振り。
そこでさらに車を進め、
松峰の「田中屋」✖、宮之浦の「わいわいランド」✖。
宮之浦の「新月堂」さんでは「今年作るかどうか明日決めるが分からない。よければ明日電話を下さい」とショップカードを渡されましたが……
お店の方によれば、「今やおはぎは総菜扱いで菓子屋で作ることはまれ、スーパーならあるのでは」と言われて向かった先は「ヤクデン」さん。
お店のスタッフさん尋ねれば、総菜コーナーに案内されて、
たった一つ残っていたのがこれ。
2個で298円+消費税かとためらいつつも、せっかく案内して下さったのだし、残り福と言うこともあるかしらんと頂くことに。
ただ、どう見てもヤクデン自家製とは思えず、
次に向かったのは一湊の「平海製菓」さん。
しかし、お店の入り口は固く閉ざされ、ガラス越しに覗いたショーケースにおはぎの姿は見つからず。
そう、地元のお姉さん方が運営するお店ならばと取って返し、
宮之浦の「ふれあいプラザやくしま館」で伺えば、「ないよ」。
楠川の「じょんこう」さんで伺えば、「かからん団子ならあります」。
小瀬田の「愛子の里」でも、「作ってないねえ、作っても売れるかどうか」。
やはり駄目かと思いつつ、最後の望みを掛けて立ち寄ったのが春牧の「しいば」さん。
その総菜コーナーにおわしましたのがこちら。
シイバ製ではないものの、もうこれ以上探索するのは無理と諦め、二個入りを頂いて一路六角堂へ。
で、お皿に盛ればこんな具合に。
ヤクデンさんとシイバさんのは見た目は同じ。
お味はどんなもんじゃろと、箸でググっと切れば……
どちらもきな粉餅の中に餡子が、やはり仕入れ先は同じかと。
「どっさり作ったから食べておくれ」と言って下さる親戚や知り合いのない身の上。
おはぎを頂けただけでも幸せと思わねばと餅を噛み締めつつ、ご馳走様でした。
ただ、やっぱり思っているのとは違う。
かつての勤務先にほど近い京都東山の「小多福」さんほどのバリエーションは求めませんが、
小多福 (京都市) 最新のレストランの口コ(2020年) - トリップアドバイザー
甘いもの付きな島民が多いのですから、春と秋のお彼岸ぐらい自家製の四色おはぎが其処此処のお店に並んでいてもよいではないかと。
否、観光客減に苦しむ今こそ、新たな島の名産品を見出そうとするならば、
私の生まれ故郷の名古屋市守山区瓢箪山に本店がある「OHAGI3」の抹茶おはぎ「半月」の着想を拝借し、島の風景に見立てたおはぎシリーズを開拓してはと。
OHAGI3の「おはぎ」商品紹介 | OHAGI3(おはぎさん)|無添加にこだわった愛知県発「月のおはぎ」
はたまた、海に囲まれ、森に抱かれた島らしく、磯の香りの苔玉風おはぎがあってもよいのでは?
昔ながらのおはぎの腕を振るえるお姉さま方の力を活かしつつ、
春と秋の彼岸を軸に季節折々の島の食材を活かした「創作おはぎコンテスト」でも開けば、地域活性に留まらず新たな商品・市場開発にもつながるかと。
六個のおはぎで胸は焼けましたが、おはぎの夢は広がる秋の夜は長し。
敬具