屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

情報乏しい島での期日前投票と比例代表

拝啓

参院選真っただ中。きっと街では色とりどりの幟が立った選挙事務所が目抜き通りに立ち、様々な政党のポスターが張られた街路を街宣車が通り抜けていることでしょうが……

屋久島では「比例には○○党」と書かれたポスターが県道際にポツリぽつりと立っているだけ。テレビもなく新聞も取っていない暮らしの中では選挙公報やネットの情報だけが頼り。

前回まではいつも買い物に行くAコープの近くの役場支庁舎で期日前投票ができましたが、新庁舎が竣工してからは口永良部島以外の島民全員、小瀬田までエンヤラ出向かねばならなくなりました。
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で先日、投票所入場券の葉書を持って、期日前投票に。
腹ごしらえをした定食屋に置かれた南日本新聞の一面には三候補の紹介が。
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で、新庁舎に到着すると。
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真新しい庁舎の入り口すぐが投票所に。
まずは鹿児島選挙区の投票。
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続いて比例区の投票。
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それを済ませて帰ろうとすると、脇のボードに「選挙公報」が張られているではありませんか。
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家には届いていないので聞いてみると「7月8日現在、屋久島に到着していません。
告示後の印刷のため、各戸に配布されるのは投票日直前になります。
インターネットで閲覧できるそうです」とのこと。

帰って「鹿児島県 参院選 選挙公報」で検索して
「鹿児島県/第25回参議院議員通常選挙」のページを開くと

鹿児島選出議員の選挙公報はこちら
鹿児島選挙区の自民党現職の「おつじ秀久」氏は78歳。
無所属の「合原ちひろ」氏は39歳で国民民主党所属の「野党統一候補」
もう一人の無所属「前田しゅうじ」氏は71歳の自民党員

比例代表(政党)の選挙公報は……重くていつまでたっても開きません!

今の政治に満足し、今の路線に未来を期待する鹿児島県民は、おつじさん。
自民党は好きでも現職が嫌いな方は、前田さん。
今の暮らしや政策に疑問を持ち、将来に不安を抱いて変革を求めるならば「野党統一候補」の合原さん。
ここまでは単純な選択。

問題は「比例代表」
1.自分が選挙区で投票した候補者をより高い確率で当選させたいなら、
同じ候補者名を比例代表にも書くのがお得。
➀現職のおつじさんを当選させたいし、自民党が好きな人は、「おつじ」。
②合原さんを応援していて国民民主党にも頑張ってほしい人は、「合原」。

2.現職は嫌いだが、自民党に政権を取り続けてほしい人は、名前ではなく「自民党」。

3.現政権では不安で改革を求めるが、国民民主党は支持したくない人は。
13ある政党の内の一つを選んで政党名を書く。
例えば、選挙区は「合原」、比例代表は「共産党」とか「社民党」とか「りっけん」。
比例代表の名簿登載に乗っている頑張ってほしい人の名前を書く。
例えば、選挙区は「合原」、比例代表は「山本太郎」とか「おしどりマコ」とか。
名簿の「特定枠」に名前がある人に是非当選してほしい場合はその人の名前を書く。
例えば、選挙区は「合原」、比例代表でALS(筋萎縮性側索硬化症)の当事者を当選させたいなら「ふなごやすひこ」とか。
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BUZZAP!(バザップ!)【参院選】比例代表では「候補者個人名」を書く方が「政党名」より断然お得って知ってましたか?【2019年改訂版】には
「非拘束名簿式比例代表制」「特定枠」についての解説が、わりと分かり易く紹介されています。

ただ、最大の問題は投票率産経新聞の報道によれば、
前回の衆院選の投票率は53.6%
18歳は47.8%
19歳はなんと33.2%
前回の参院選の投票率は54.7%。
18歳は51.2%
19歳は42.3%

有権者でありながら投票の権利を行使していない人が半分近く。

総務省の年代別投票率の推移の資料を見ると
衆院選
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参院選
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国政選挙に限らず、選挙で投票をしないということは、その時一番強い奴の味方をするといういうこと。

例えはよくないですが、学校や職場や地域でいじめられている人がいても、
知らん顔して関わろうとしないというのと似ているかも。
ただその結果、いつ自分が標的になるのかわからぬ不安が残り、
何とも居心地の悪い社会を作る一人になっていることにある日気付く。

自分の身を守るには誰に付くか、誰を応援するか。
寄らば大樹と強い奴にすり寄り忖度するのか。
そりゃおかしいぜと声を上げるものと手を組むのか。

若者が投票に行かないのは、若者のせいではなく、自分の意見をもち、それを表明することをよしとしない社会風潮のせい。
女子供が政治的な発言をすることは生意気でみっともないとされた古風のせい?
いずれにしても、それは時の権力者にとって都合の良い話。

2019年7月8日17時00分の朝日新聞デジタル
『安倍礼賛者』にされた左派の論客 リベラルは共闘下手 - 2019参議院選」には次のような記述があります。
  著述家の浅羽通明さんは「左派やリベラルは知識人。頭でつながっている人たちです。
自分が一番頭がいいと思っているので、いつか衝突する」と手厳しい。
逆に「政権支持派は胃袋でつながっている。権力についていることが目的化しているので、いや応なくまとまる。自分を殺せる」
 じつは頭VS.胃袋。左派対右派、リベラル対保守の構図にさえなっていない、というわけだ。
 冷戦中の米国で、肉体労働をしながら在野の思想家として書き続けたエリック・ホッファーは、当時の左派知識人が仲間うちでたたきあうのを念頭に、
「知識人とは人に自分の意見を傾聴されたい人のこと。無視されるよりは迫害されるほうを望む」と書いた(「Working and Thinking on the Waterfront」)。
「権力の側は、権力についていることじたいが至上命令」(松尾さん)であるのに対して、
左派やリベラルは、「格差を小さくして平等な社会を実現する」(井手さん)という理想を胸に抱く。
多様化した時代に、理想は人の数だけある。
その多様さを多様なまま大事にするのが左派、リベラルの「理想」であり、また難しさだろう。

インテリだろうが労働者諸君だろうが、学生さんだろうが、覚えておいてほしいのは
「社会的弱者が暮らしやすい社会は、誰にとっても暮らしやすい社会」ということ。
社長さんも立身出世を願う人も、
「人より余分に儲ける喜びより、儲けを皆に振舞える喜びを」

「寅さん」が参院選挙に立候補していたら、比例代表には「車虎次郎」と書いたのに。

敬具